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開業準備にかかった“開業費”は、どう処理すれば?

開業準備にかかった“開業費”は、どう処理すれば?

開業時には、机や文房具などをはじめ、いろいろな費用がかかってきます。開業する前に発生した支払いについては、どのように帳簿をつければいいのでしょうか。
開業のためにかかった費用は”開業費”で処理するのが一般的です。今回は、その”開業費”の処理方法についてみていきます。

1.”開業費”とは何のこと?

開業前の準備活動に要した費用は”開業費”で処理します。実は、”開業費”は「費用」ではありません。「繰延資産」という「資産」の科目になります。「資産」の科目でいったん処理し、その後、毎年少しずつ費用に計上します。これを「償却」といいます。
なぜ「費用」ではなく「繰延資産」なのかというと、「開業前に準備費用をかけたからこそ、今後ずっと仕事を継続できる。つまり、開業年度だけの費用ではなく、それ以降の年度にも影響する費用に当たるため、開業年度だけの費用にはならない」という考え方にもとづくからなのです。

2.”開業費”となるもの・ならないもの

個人事業主の場合、開業までにかかった費用は基本的に”開業費”になります。例えば、店舗を開く場合の立地の調査費やパソコンの購入費、事務所の家賃などです。
ただし、”開業費”にできないものもあります。その代表的なものは次の4点です。

①1つあたり10万円以上するもの
1つあたりの取得価額が10万円以上する備品や機械は「固定資産」になるので、”開業費”になりません。「固定資産」はその種類、使い方などで、それぞれ何年で経費とするかを、別に法律で規定しています。

②販売用商品の仕入代金
販売目的で購入した商品や材料は、開業後に販売して利益を得るためのものなので、”開業費”ではなく「売上原価」になります。

③敷金など後日、返金されるもの
敷金や加盟金など、後日戻ってくるものは、そもそも経費ではないため、”開業費”にはあたりません。

④礼金
礼金は事務所等を借りるときに貸主に支払う金額のうち、戻ってこない部分(月々の家賃を除く)のことをいいます。礼金も”開業費”と同じく「繰延資産」ではありますが、”開業費”とは取り扱いが異なるため、原則として、”開業費”にすることができません。
法人の場合は個人事業主の場合と”開業費”の取り扱いが一部異なります。法人は、開業のためだけに特別にかかった費用しか”開業費”にできません。個人事業主の場合は、開業前に支払った事務所の家賃や従業員の給料は”開業費”にできますが、法人の場合それらは開業のためだけの費用ではないので、”開業費”にできません。地代家賃や給与手当などの経費で処理します。

3.何年で”開業費”を償却するのか

“開業費”を何年で償却するのかは、会計上の考え方と税法上の考え方とがあります。
会計上の考え方…5年間で均等償却
税法上の考え方…任意償却

会計上は5年間で均等に償却することになっていますが、税法では任意償却です。任意償却とは、0円から”開業費”の全額(2年目以降は帳簿価額)まで、その年に費用とする金額を納税者が自由に決めることができる償却方法です。そのため、今年は赤字になりそうだから償却を0円にしようだとか、黒字が多いので開業初年度で全額費用にしようということが自由に決められます。
実務上は税法にのっとって処理するケースが多いです。

4.いつまで遡って”開業費”とできる?

開業から何年前までの支出が、”開業費”として認められるのだろう? と不安に思う人も多いのではないでしょうか。
実は、明確な期間は決まっていません。理論上、開業のためにかかった費用は、何年前のものでも”開業費”とすることができます。”開業費”について重要なのは、支払った時期ではなく開業のための支出だったかどうかということなのです。
しかし、実務上、5年も6年も前のものを”開業費”とすることはあまりありません。少し前のものを”開業費”にする場合は、それが開業のためにかかった費用だという証拠を残しておく必要があるでしょう。

5.”開業費”の領収書はすべて帳簿につける?

開業前にかかる費用は数多くあります。では、それらすべてを帳簿につけていく必要はあるのでしょうか。望ましいのは、やはり明細ごとに1つ1つ入力していくことです。これが帳簿づけの基本だからです。
しかし、”開業費”の詳細を別途エクセルなどにまとめて集計している場合は、まとめて入力しても差し支えないと考えられています。この場合、エクセルなどの資料とともに、別途まとめた”開業費”とした費用の領収書を必ず保管するようにしておいてください。

開業前の書類・領収書と、開業後の書類・領収書は分けて保管しておきましょう。固定資産の登録については、通常一括で登録して問題ありません。また償却費の仕訳も明細ごとではなく一括で処理します。
あまり多くないケースだとは思いますが、開業初年度で消費税の課税事業者の場合は、最低でも消費税の課税・非課税など税区分ごとに分けて帳簿につける必要があります。注意しましょう。

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目次

  1. 1.会社の経理を始めるために
  2. 2.法人の決算に必要なものまとめ
  3. 3.貸借対照表で会社の資産状況を把握しよう
  4. 4.損益計算書で会社の利益を把握しよう
  5. 5.法人のための税申告・納付まとめ
  6. 6.法人にかかる税金は9種類もある
  7. 7.税金を滞納したら、どんな罰則がある?
  8. 8.法人のための節約のコツ

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元記事はこちら
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