小池理雄さん(45歳)
2006年、原宿に残る唯一の精米店の3代目に。
それまでの社会経験を生かし新しい精米店のあり方を模索する。
五ツ星お米マイスターを取得。
VOL.178五ツ星お米マイスター。原宿唯一の精米店の3代目
ブレンド米は米屋の技術。
こだわりのすし屋も認めた
本
格的に店を継いで6年目、乃木坂のすし屋の大将に頼まれたんです。「これまでコシヒカリを使っていたけど、粘りが強くて扱いにくいし、せっかくだから俺好みのブレンド米を作ってくれないか」。これほど真剣にブレンド米の話をされたのは初めて。でもブレンドはそれぞれの米のよさを熟知する米屋だからこその仕事ですし、すし屋といえば米に一番厳しい人たち。腕が試されている感じがしました。だから私がおすすめした米を喜んでくださった時は、本当にうれしかった。
これには下地がありました。米の味の感想というと普通は甘い、粘る、柔らかい、おいしい、ぐらいでしょう?
でもテレビでご一緒した芸人さんたちは「何がどう違うのかちゃんと言葉にしてほしい」と指示されていた。これは米屋の自分も抜けてたところ。それができないとお客さんの好みだって分かりませんよね。
その日から毎朝違うお米を食べて細かく評価をつけています。
見た目、におい、粘り、硬さ、うまみ、甘み、喉越し、食感を点数化して感想を添える。単に「甘かった」でなく「甘さの立ち上がりが早い」と書いたりね。米屋でも、ここまでやる人はなかなかいないですよ。
アントレ2017.春号 「起業家7人が語る 私がプロになった瞬間」より