鈴木 堅之さん(42歳)
VOL.174脊髄反射で足を動かす 足こぎ車いすを開発
「あきらめない人」の車いす。
だから私もあきらめない。
人
間には原始歩行という反射があって、生まれたばかりの赤ちゃんでも歩くような動作をする。「COGY」はその原始歩行が起きやすい姿勢をつくる装置です。これでリハビリした脳性まひの子が、運動会に出るまでに回復したことがあるんですよ。
ずっと障害者支援の仕事がしたいと思っていました。足こぎ車いすを初めて見た時は、うそだろう、と思いましたよ。でもこれを広めたくて、足こぎ車いすを販売する大学ベンチャーに営業として入社しました。その会社は4年で閉じましたが、知財を譲り受けて自分で起業を。病院に見せに行っても「うそだろう」と散々言われました。でも私は日々、足が動くようになって喜ぶ人を見ていた。あきらめられなかったんです。
COGYはあきらめない人の車いすです。立てない、歩けないといった「できない」経験を積み重ねると、人は「あきらめる」ことを獲得してしまう。でも、これがあればあきらめずに済むんです。こんな商品を扱うからには、私もあきらめるわけにはいきません。ボロボロになって、よくやるわと笑われて、でも頑張るって格好いいという姿を見せなくては。
アントレ2017.冬号 「これが私を生かす道 ライフワークで食べていく!」より