スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
起業家・先輩から学ぶ

70歳で起業しポンプを製造。松下OBによるシニアベンチャー 雇われない生き方:VOL.169

70歳で起業しポンプを製造。松下OBによるシニアベンチャー 雇われない生き方:VOL.169
PROFILE

玉川 長雄さん(90歳)

(株)アクアテック/大阪府大東市

VOL.169
70歳で起業しポンプを製造。松下OBによるシニアベンチャー

「やらまいか!」の精神が
運命の扉を開いてくれました

 当社のチューブポンプは、リングでチューブを圧迫する仕組み。ローラーでしごく従来のポンプに比べて、チューブにかかる負担を軽減するものです。開発のきっかけは胃カメラの洗浄装置を開発する話をもらったこと。小型のポンプが必要になったのですが、ちょうどいいのが見当たらず、「ないものは自分で作ろう」と。

 松下電器で50年、サラリーマンをしました。担当はオーディオ。「テクニクス」というブランドが売れに売れた時代のことです。無我夢中になって働いて、気がついたら定年。その後、中小企業の技術顧問をしているうちに、チューブポンプを開発したわけです。まさか自分が起業するとは思いませんでしたけどね。でもあちこちから引き合いがあって、さてどうしようかとなりました。

 そこは「やらまいか」ですねえ。私の出身地、浜松の方言で「何でもやってやろう」という意味なんですが、おかげで運命の神様が扉を開いてくれたように思います。やったら何でもできるやんか、オーディオ屋もチューブ屋になれるんや、そう思いました。社員にも言うんです。考えてもできないというのはおかしい、とことん考えれば必ずできる、できないのは考えてないからやと。

ものづくりの楽しさ、満足は会社員時代と同じ。それをずっと当たり前に続けているだけで、苦労などありません。考え続けるというのが、健康長寿にも一番いいと思いますよ。ただ今は社長でもあるので、会社ぐるみで楽しまんといかんなとは、考えているところです。それから何より、お客さま本位のもの作りを守らないといけない。お客さまが「あったらいいな」と思っているのに、世にないもの「は」自分で作る。ないもの「を」を作ろうとすると間違いが起こりますよ。独善的で、こんなすごい技術ができたぞと自慢するようなものをやったら、売れない。「を」より「は」が大事です。


更新日:2017/4/12
取材・文/東 雄介 撮影/太田未来子、刑部友康、阪巻正志
アントレ2016.秋号 「定年無用!独立老師が語る退かない人生」より

アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。