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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第2回 開業場所は「街の性格」で決める

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第2回 開業場所は「街の性格」で決める

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」は、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです

Q.最近、「住みたい街ランキング(東京)」の常連と言われた「吉祥寺」の人気に陰りが見え始めているというニュースがありました。一方で、テレビドラマやマンガの影響で価値が急上昇している街があります。これまではどちらかといえばイメージが悪く、人気がない街だったにもかかわらず、一部調査では一気にランクインまで果たした、東京都北区にある街はどこでしょうか?

さて、答えとその理由はわかりましたか?

街ごとに「性格」がある

新しくお店をやろうと考えたときに、どの街で始めるかは非常に重要です。そして、実は「フランチャイズ(FC)」と「自力で始める場合」とでは、場所選びにおいて着眼点が全く違うのです。

それを紐解くためには、街の性格を知ることがポイントとなります。参考にできるのが、「住んでみたい街ランキング」。いろいろなメディアがこの手の調査を行っていますが、街の人気度を表す1つのバロメーターとしてはどれも有効です。そして、ランクインした街を見ながら、どういう性格の街が人気なのかを考えてみるのは、着眼点を鍛えるのにもってこいです。

それでは解説します!

今はどの街に行っても、チェーン系のお店が並んでいます。画一化が進み、街に特徴がなくなってきたなんて評価をする人もいます。でも、経済効率的にはそういう街がいいのも事実です。人の流れがあるからこそ、たくさんのお店が参入し、街全体が活気づきます。

そして、フランチャイズでお店を始める場合は、実はそういう競争相手が近くにいる場所の方が商売になるのです。

それはなぜかというと、既にマーケットができているからです。「このエリアでの最初の出店になります」「あなたがこのエリアを切り開いてください」といった決まり文句があるように、競合が少ない方がビジネスをしやすい(シェアを取りやすい)と考えがちですが、実はそういう場所はイチから市場を掘り起こさないといけない場合が多く、苦戦することが多いとう見方もあります。

また、フランチャイズの1つのメリットにドミナント戦略というものがあります。特に飲食や小売りのビジネスの場合、近所や隣の駅にも同じチェーンのお店があれば、その既存のお店の看板が新しく出すお店の広告宣伝費のかわりになると言われていますから、商売がしやすいのです。

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街の「ごちゃごちゃ感」の裏には何がある?

では、自力でお店を出す場合についてはどうでしょうか。ポイントは、街の性格を見極めることです。そのために参考にしたいのが「住んでみたい街ランキング」です。

オウチーノ総研が2017年2月に発表した最新の調査を見てみましょう。
1位「目黒」、2位「荻窪」、3位「武蔵小杉」、4位「赤羽」、5位「池袋」

以下、恵比寿、大泉学園、北千住、三鷹、中野・・・と続きます。

さて、よく定番と言われるような街と、そうでない街がランクインしているのが分かると思います。まずはこれらの街の共通点を考えてみましょう。

それは、先ほど説明したフランチャイズで出店する場合とは少し異なり、「ごちゃごちゃしていたり、独特のものがある街」と表現できると思います。

つまり、「チェーンではないお店が支持されるようなマーケットが残っている街」とも言えます。ここに気付けるかどうかが、起業家としてビジネスチャンスをつかむための1つのポイントです。

というのも、ごちゃごちゃした街は、チェーン以外の何かを受け入れる風土があり、そういうものを好む人が比較的多く住んでいる街といえるからです。新しいことを始めようという場合、そのような消費者がいる場所なので、独自の商売がしやすくなる、というわけですね。

始めたいビジネスのターゲットはどんな人?

さらに先ほどのランキングの街を2つのタイプに分けてみます。

●目黒、恵比寿、武蔵小杉、三鷹
→比較的高所得な人がいるマーケットがある街

●荻窪、赤羽、池袋、北千住、大泉学園、中野
→庶民的で大衆っぽさが残っている街

やりたいと思うビジネスは、どちらの層に向けたものなのか。そこをきちんと見極めたうえで出店場所を選んでみると、さらに効果的というわけですね。

地方都市でも同じ発想で街の見極めができる

いかがでしたか。今回は東京近郊のケースでお話しましたが、これは地方都市でも同じです。着眼点としては、「昔ながらのごちゃごちゃした商店街が残っている街」というのが1つの目印かもしれませんね。たとえば名古屋でいえば「大須」や「覚王山」というイメージです。

出店場所の立地を選ぶのは、事業を始めるにあたってとても大事なことです。街の個性や、そこに住む人の特徴などにも着目してみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「赤羽」でした。東京都北区にある赤羽は、マンガが原作のテレビドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」で取り上げられたこともあり、注目度が上がって人気が急上昇したと言われています。


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プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。

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