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【アントレ編集長挨拶】創刊20周年を迎えて

【アントレ編集長挨拶】創刊20周年を迎えて
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菊池 保人
株式会社リクルートキャリア アントレ編集長

1962年、愛媛県生まれ。東京工業大学卒業後、87年、リクルート入社。01年より新卒・中途・アルバイト、住宅、進学、学び、結婚、自動車、旅行、飲食、美容領域にてメディア・商品リニューアル・業務BPRを推進、事業のIT戦略立案・実行部隊責任者。09年、リクルート横断のネットマーケティング戦略立案・実行責任者。12年、リクルートキャリアにて新規事業開発を担当。13年『アントレ』編集長就任。

2017年2月27日、アントレは創刊20周年を迎えました。

数多くの方が手に取ってくださった雑誌『アントレ』やご利用いただいた「アントレnet」、足もとが悪い中でもおこしいただいた様々なアントレ主催のイベント。アントレがなければ作れなかった機会の数々と、カスタマ一人一人に生まれた独立への物語の拡がりを想うと胸が熱くなります。そして、ここまで支えてくださった関係者の皆さま、深く感謝いたします。

21年目が始まる今日、「アントレnet」のトップページを刷新しました。これからもデザイン・内容・構造、全て積極的に変化させていくつもりです。そして独立を考えて行動されているカスタマの皆さまから、常に選んでいただけるメディアであり続けたいと考えています。世の中の変化に対応するため、変化を仕掛けるため、スピードアップして走り続けたいと思います。「雇われない生き方」が特別なことではなく、普通の選択肢として考えられる世の中へ、その実現に向け、21年目へ新たな一歩として踏み出す決意です。

この20年、社会や経済の構造変化にともない、独立・起業に関わる多種多様な変化が起きています。中小企業庁がとりまとめている「中小企業白書」には、5年に一度、起業に関する調査の結果が掲載されているのですが、最新の調査結果が掲載されている「2014年版中小企業白書」(※1)によると、『アントレ』が創刊された1997年以降、起業希望者は減少傾向にあり、2012年は約84万人と97年からほぼ半減しています。これに対し、自営業主となった起業家数は大きく変化しておらず、97年から12 年にかけて、毎年20万人以上の方が起業にチャレンジしているとあります。

起業という選択肢を身近なものにするため、まず取り組まなければならないことは「独立を選択しチャレンジする人」への支援です。支援を充実させ独立希望者が増えていく構造に転換していくことが求められます。ここにこそ、アントレの存在価値があり、我々が情熱を注ぐ意味があると想いを強くしました。

さらに分析していくと「シニア」と「女性」というキーワードが見えてきます。60歳以上の起業家は、12年に約32%と、97年の約1.5倍に増加しています。50歳以上でみると、2年では約47%。実は実起業家数のほぼ半分をシニアが占めているのです。50歳以上の方で「自分で起業したいと思っている人」は約31%しかいませんから、様々な都合があり、結果として独立を選択したともいえるかもしれません。シニアは年金支給開始年齢が引き上げられ、支給額そのものも減っていくことが目にみえているため、元気なうちは積極的に働きたいと考えるのではないでしょうか。さらに現実的に転職が難しいため、独立の動機ははっきりしており、開業のための自己資金もあって社会経験も豊富、その意欲が高くなるというのは想像に難くありません。この傾向は今後も加速すると容易に想像できるでしょう。

最新のアントレ独自データもそれを裏付けています。アントレnet会員における60歳以上の割合はこの5年で倍増し、資料請求・説明会予約等のアクション総数は2.3倍にまで伸びています。

シニアと逆の傾向にあるのは女性です。女性の起業希望者の割合は年齢を重ねるごとに高くなっているのですが、実起業家における女性の割合は減少傾向にあります。ご家族の都合に合わせることも少なくないなど、男性よりもまだまだ障壁が高く、独立を目指しても現実として選択できないケースが多いのではないでしょうか。

「シニア」が活躍できる世界をつくること、「女性」の前に立ちふさがる壁を取り除いていくことこそ、我々が改善していくべき社会課題であり、アントレが今後も世の中へ変化を仕掛けるために、取り組むべきメインテーマだと認識しています。

リクルートワークス研究所のリポート「Work Model 2030 - テクノロジーが日本の『働く』を変革する」(※2)からは、アントレの次の20年へ向けた役割や未来の方向性が垣間見えます。このリポートの中で、最初に出てくるその象徴的なセンテンスが「職業寿命50年、企業寿命25年」です。この2つの寿命の違いは、人が働き続ける中で、転職を前提とするキャリア作りが必要で、その変化が全ての人に起きることを意味しています。

リポートでは、これが所得の低下やキャリアの断絶へとつながらないための提言が展開されています。これまでの「企業が個人のキャリアを考える」という構造から、個人が自分のキャリアを考え、人のモノサシではなく、自分の個別性に向き合って生きていく、そういう社会へ転換していく必要性を説いています。さらに、これまで企業と雇用契約を結び、企業が所有する資源(生産設備や店舗)を使って製品・サービスを提供してきた構造から「テクノロジーの発達によって、国・企業・業態・タスク、あらゆる境界が曖昧になっている」「一人ひとりのアイデアや個性の価値がますます高まっている」と指摘しています。シンプルにいうと、雇用契約に縛られず、実質的な距離や規模の大小に関係なく、個性を発揮できる時代がくるといっているのです。アントレは、企業競争のグローバル化が叫ばれている頃から、ローカルでの独立開業・サービス業での雇われない生き方を支援してきました。人同士の接点で価値を生む仕事や、生活圏でのローカルな地域固有の情報や行動が求められるサービスが重要になっていきます。これは今後ますます加速することでしょう。

アントレの調査からは、「独立を選択する人」は「職を変えようとするときに、職を変えられなかった人」とは、仕事選びにおいて重視する軸に違いがあることが判明しました。「職を変えようとするときに、職を変えられなかった人」が「収入・知名度・安定・福利等働く条件」を重視していたのに対し「独立を選択する人」は「仕事内容・やりがい・仲間・貢献感」に重きをおいていたのです。

これは一人一人の個別性、自分らしさに向き合ってみて、初めて変化できることです。誰かの価値観ではなく、まわりからの見え方でもなく、自分が何を重視するか、自分らしさの軸を真剣に考えた時にたどり着けるシンプルな結論。それを言葉にして覚悟した人が変化できているのでしょう。
編集長センターでバストアップ_トリミング

自分らしさ、自分の個別性に向き合っていくのは、いろんな衝突があったり辛いことも多くなります。自由になるのは未来だけ、その未来に続く今をどう変えていくか、自分の個別性を生きていくチャレンジはこれからも拡がっていきます。一人一人の個別性の物語がたくさん生まれ、その目標へ向かい、一歩一歩進んでいけるように、我々はそれを最大限支援し続けるメディアであり続けたいと考えています。

20周年を迎えた今、積み重ねてきた皆さんとのつながりを大切にして、次の20年に向け、新たな決意のもと、勇気をもって力強く踏み出していきたいと考えています。我々アントレは「雇われない生き方」に全力で向き合っていきます。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

【出典】
※1「中小企業白書(2014年版) 第2章 起業・創業―新たな担い手の創出―」
(中小企業庁)

※2「Work Model 2030 - テクノロジーが日本の『働く』を変革する」
(リクルートワークス研究所)

更新日:2017/2/27 撮影:中村公泰

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