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元主婦が80歳で起業。仲介手数料無料で年商5億円 雇われない生き方:VOL.163

元主婦が80歳で起業。仲介手数料無料で年商5億円 雇われない生き方:VOL.163
PROFILE

和田 京子さん(86歳)

和田京子不動産(株)/東京都江戸川区

VOL.163
元主婦が80歳で起業。仲介手数料無料で年商5億円

自分の足で、自分の名で、
世のお役に立ちたかったのです

のね。夫を亡くした時、達成感があったんです。もう自分はいつ死んでもいいんだって。ところが介護生活から解放されて、食べたい時に食べ、寝たい時に寝ていたら自浄作用で元気になった。自由ばかりも何だから勉強でもと孫が渡してくれた宅建のテキストが、また面白くて。私これまで7つの家に住みましたが、欠陥住宅と訳あり住宅に、ずいぶん泣かされてきたんです。
 
 79歳で資格を取得して80歳で起業。何でその年でと人には言われます。でも1億玉砕の時代を知る人間には、自分だけ生き残ってしまって申し訳ないという気持ちがある。私は学校を出ると家庭に入り、何もできずにいました。親に養われ、夫に養われで、自分の名前を呼ばれる機会もなかった。ずっと思っていたのです。自分の足で立ち、自分の名前で、世間のお役に立ちたいと。

 不動産業は人に好かれる仕事ではない、と身にしみて感じます。ちょっとした営業トークのつもりでも、お客さまは言葉のとおりに受け止めて期待をし、そして現実を見てがっかりされる。これが不信感のもとです。だから私は、誠実であろう、うそだけは言うまいと努めてきました。「昨日はああ申し上げましたが、実際はこう申し上げたほうが正解かも分かりません」と後になって訂正したことが何度もあります。うちへいらしたお客さまは皆、私を信じてくださった。本当に感謝です。
 
 この年ですから、相棒の孫の支えなしではやっていけませんが、ひとり立ちしたことには変わりがない。こればかりは最後まで譲れない喜びです。まあでも、会社経営がどれだけ大変か知っていたら起業しなかったかもしれません。購入者からの仲介手数料無料なんて、3日で「しまったな」と思いました。かといって、やめますと言ったらお客さまが許しません。仕方がないので、私が死ぬまで、ということにしました(笑)。


更新日:2017/1/4
取材・文/東 雄介 撮影/太田未来子、刑部友康、阪巻正志
アントレ2016.秋号 「定年無用!独立老師が語る退かない人生」より

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