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自宅を改装して、接客も育児も両立できるように。  ママさんヘアデザイナーが選んだ「独立」という道

自宅を改装して、接客も育児も両立できるように。  ママさんヘアデザイナーが選んだ「独立」という道

プロフィール
古城幸恵(こじょう・さちえ)
1976年生まれ。短大卒業後、事務員として就職したが、一念発起して憧れだった美容の世界に飛び込む。サロンで働くと同時に専門学校で学び、資格を取得。その後、仕事と育児の両立を考え、開業を決意。2011年11月、自宅を一部改装し、「SHIRO」をオープン。

結婚後、子育てをしながら大手の美容サロンで働いていた古城さん。「限られた時間の中で家庭と仕事を両立させるにはどうすればよいのか」という問題に直面し、導き出した解答は独立・開業。家の一部を改装してサロンを開き、自分のライフスタイルに合った形で、充実した毎日を送る“ママさんオーナー”にお話を聞いてきました。

サロンにいる間、日常を忘れて全てをリセット。
真っ白な気持ちになってもらえるように

――外側からパッと見たところ、お洒落なレストランかカフェにも見える素敵なサロンです。「SHIRO」というネーミングの由来は何ですか?

古城:訪れたお客さまに、日常のストレスをリセットして、真っ白な気持ちになっていただきたくて。完成する前から「白(SHIRO)」と名づけようと決めていました。

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――サロンの雰囲気もインテリアも、とってもリラックスできる雰囲気ですね。

古城:お客さまとは常に1対1で、ここで過ごす時間は貸し切りになりますので、居心地が大切。木目調の落ち着ける素材や、店名のように明るいホワイトを使うことにはこだわりました。

――完全予約制なんですよね。

古城:はい。今はアシスタントを付けず、1人でやっているということもありますが、カウンセリングから仕上げまで、お客さまにしっかりと向き合うためにそうしています。1日限定何人とは決めていませんが、メニューによって、その方のお時間をきちんと確保したいと思っています。

友達の髪を遊び半分で切ってみたとき、
「美容師になりたい」という思いが再燃

――短大を卒業してからは、普通に会社員をされていたんですね。

古城:最初は事務員として会社に勤務していました。でも、美容師になってみたいという気持ちは高校ぐらいの頃からあったんですよ。やっぱり美容師をめざしてみようと思ったきっかけは、友人の髪を切ってあげたことです。

――それはまたずいぶん大胆な…(笑)。

古城:その子に頼まれたんですよ。図画工作用のハサミを使って(笑)。それがとても可愛くできたので、こういう方向が自分にはやっぱり合うのではないかと、あらためて思いました。学生の頃から感覚を形にする美術系の科目が得意だったんです。

――そこから、何か具体的な行動は起こしたんですか?

古城:職場の先輩に相談してみたところ、「友人が美容室を経営している」ということを知り、紹介してくださって。やりたいという思いが伝わったのか、経験のない私をアシスタントとして雇ってもらえることになったんです。

子育てをしながらも、仕事を楽しくやりたい…。
模索した結論は、自宅の近くでの起業だった

――それまでは会社員だったんですよね。美容師の資格はいつ取られたんですか?

古城:美容室でアシスタントとして働きながら専門学校に通わせていただきました。同級生はほとんどが10代でしたが、気後れするよりも皆より年齢が上という焦りもあり、「負けずに頑張って、誰よりも早くデビューするぞ!」という思いが強かったです。そのかいあって、無事、資格を取ることができました。

――その後は、大手サロンに移られたんですね?

古城:自分の力を試してみたくなったんです。そのころは、本当に仕事が楽しくて、楽しくて。ただ、すでに結婚していたのですが、移籍後の出産を機に仕事と育児の両立のバランスが難しくなってきました。お祝いごとの着付けなどは朝早いことが多いのですが、そういった早朝や夜間の仕事に携わることも困難で。職場の皆さんは理解してくださっていたのですが、私自身、仕事が楽しいと思えることがバロメーターということもあり、仕事も大事、家庭も大事、でも時間には制限がある。そんなもどかしさを感じることも増えてきてしまいました。

――それで独立することを決断されたと。

古城:そのサロンには10数年間お世話になり、美容師として成長させていただきましたが、今後、家庭も仕事も大事にするための最良の方法と考えて、独立を決断しました。元々、将来は自分のサロンを持つ目標もありましたし。

――自身のサロンを持つことも簡単ではなかったと思います。育児も接客も無理なくできるという理由で、ご自宅をリフォームされたんですか?

古城:最初は近所のテナントを借りて独立するつもりだったんですよ。家は休む場所だと考えていたので。初期費用ももちろんそうですが、テナントを借りるとなると自分の稼働率をさらにあげる必要があります。その頃はこどもたちもまだ小さいですし、その選択は今ではないと思いました。
あまりお金をかけすぎるとそれが負担になって仕事が楽しくなくなることもありますし、ストレスを抱えずに仕事ができることを重要視して。幸い、夫の理解も得られましたので、自己資金の中で家の一部を改装することにしました。

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自分のタイプとしては、経営者というより「職人」。
将来は同じようなプロと共に腕を振るう夢も

――やってみて経営はどうですか? オーナーとヘアデザイナーを1人でこなさないといけないですよね?

古城:たいへんなこともありますが、おかげさまで予想していたよりは順調に推移しています。早朝の着付けの仕事など、時間に融通をきかせて受け入れることが出来るようになったので、サロン勤務していた頃より出来る仕事は増えたと思います。ここまで育ててくださったオーナーさん、お客さま、家族の後押しがあってこそですね。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

――お客さんには、常連さん以外にも口コミも多いそうですね。

古城:そうですね。近隣の方のほか、前にお世話になったサロンで知り合った方も中にはいらっしゃいます。まだアシスタントの頃に、私のカットモデルとして来店された方も、それ以来ずっと続けて来ていただいたり。新規のお客さまもほとんどが常連さんの口コミのおかげです。

――今後の目標をお聞かせください。

古城:私自身、経営者というよりも、どちらかといえば職人に近いと思っています。だから、アシスタントさんを雇ってお店を拡げる方向ではなく、プロとして色々な技能を持った方と組んで一緒にやっていくことも、考えています。私がまだ持っていない美容系の資格・・・たとえばネイリストの方と組んで、1つのサロンでトータルなサービスを提供できるようにするとか。まだ具体的にそう決めているわけではないんですけどね(笑)。生涯できる仕事なので、この先続けていく中で、そんな事が近い将来できればいいなと思っています。

取材・文/神門駿兵 撮影/田部雅生 構成/細井香里

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