2015年11月、佐々木礼子さん(仮名)の年間密着取材を開始しました。「EU圏でキャビンアテンダントとして長く働き、永住権も取得したのですが、体調を崩したことをきっかけに日本に戻ってきました。でも、転職ができないので、独立しようと思ったんです」とお話しくださいました。
いつも前向きで、背筋をシュッと伸ばした佐々木さんが、独立すると心に決めてから、起業形態・業種選びを模索する中、その時その時の思いを伺ってきました。
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2015年夏に独立を決めたのは
転職がうまくいかなかったから
言葉に不自由しなくなり、仕事も覚え、仕事がオフの期間はアメリカの大学にも通って勉強をして過ごしていたが、体調を崩して帰国を余儀なくされる。
説明会やセミナー、アントレカウンターで
見分を深めるなど、行動の2015年秋
資格を生かした独立を目指す佐々木さんが興味のある業種は、通訳・翻訳、中古車の輸出、航空会社の教官、旅行関連、不動産など、様々だが、事務も法務も営業も、もちろん経営の知識も経験もないのに起業するなんて無謀じゃないかと思うこともあるという。フランチャイズのようにパートナーがいる独立のほうが良いのではないかと悩みながら、自分に合った道を模索していた。
いろいろ悩んでいたら、「アントレ独立カウンター」が無料でセミナーと個別相談を行っていると知ったので、さっそく申し込みました。相談員の方に、気になるフランチャイズがあるなら、実際に目で見て確かめた方が良いと勧められたので、気になっていた輸出関係の某フランチャイズの説明会に行ったんです。
もともと、メールをしても返事もないような状態だったので、私には合わなそうだと迷っていて。実際の説明会でも対応が悪く、自分には合わないと感じました。
ほかのフランチャイズは違うかもしれませんが、たくさん資料請求した中から選んだ会社がこの結果だったので、フランチャイズは選択肢から外すことにしました。
方向転換を重ねた
2016年冬~2016年春
某国家資格は残念ながら不合格だった佐々木さんだが、前向きな姿勢は変わらない。
独立の選択肢から外したフランチャイズだったが、気持ちをリセットしたという佐々木さんは、年始に急きょ某フランチャイズの説明会に参加することに。
もともと気になっていたフランチャイズなんですけど、加盟金が高かったので説明会は行かなかったんです。たまたま自宅付近で説明会が開催されるっていうから、参加したら、本当にいろんな質問に気さくに答えてもらえて。加盟金さえ高くなかったら決めても良いかな?と思ったくらいだったんですが、車の運転が必須で…。私はペーパードライバーで運転に自信がないから諦めました。
でも、この説明会で、日本の伝統工芸品を製作・販売している代理店業があって!海外に販売したりしているらしいから、キャリアが生かせるかと思えたんです。
さっそく、翌月、その伝統工芸品を扱う代理店の説明会にも参加したという。
日本文化を海外や訪日外国人向けに発信する事業というのは、まさにやりたかった仕事!スタッフの皆さんが熱心で、どんな質問でも、すぐ答えてくださいます。
会社の風通しが良さそうですし、返信が早いので好感が持てますね。私も東南アジアを中心にヨーロッパや中東からもお客さまを呼び込みたいです。
この時期、アルバイトを辞めたものの、次のアルバイトがなかか決まらずもどかしい思いをしていたが、独立の方向性がまとまってくるとともに、アルバイトの方も随分前に履歴書を送った企業から急に声がかかり始めるなど、ものごとが一気に動き始める。
フランチャイズを選択肢から外し
再び方向転換した2016年夏
専門学校の非常勤講師や家庭教師と複数のアルバイトで忙しくなった佐々木さん。
日本の伝統工芸品を製作・販売している代理店の工房に、最終確認のため見学へ。
見学の後、やっぱり個人で独立しようと決めました。代理店として独立するには多額の費用がかかるという、マイナスイメージを払しょくすることができなくって。
元々フランチャイズには興味がなかったのですが、自分一人の力で独立する自信がなかったのでフランチャイズで……と考たんですが、独立できる国家資格もいくつか持っているので、思い切って1人で開業しようかな……と思い始めました。
英語教育関係から始めて、めどが立ったら、旅行業務取扱管理者の資格を生かして、訪日外国人に観光案内をしたりしたいですね。
この頃、アルバイト先の同僚から塾の講師アルバイトを紹介されるなど、仕事の依頼が次々と舞い込んでくるようになり、某国家試験も近づく中、講師業で超多忙となった。
いただいた仕事はすべてお引き受けするつもりで頑張っていかないと未来は開けないんじゃないかと思っています。
去年の転職活動は何百通と履歴書を書いて、落ち続けていたので、講師業で初めて自分が評価されたと嬉しく感じています。
今さらですが、転職がうまくいかなかったのは、会社選びを間違えていたからかもしれませんね…。実は経営者としてのオファーももらいましたけど、今は独立しか視野にないのでお断りさせていただきました。
独立準備は残すところあとひとつ。
目標の某国家試験に受かるだけの2016年秋
講師業が多忙を極め、「次の某国家試験、難しいかも」と取材中に一度だけ弱音を吐いた佐々木さんだったが、試験を間近に控え、ポジティブに。
試験に合格したら2017年春くらいには英語教育と訪日外国人向けの観光案内で独立したいです。仕事のオファーも本当にたくさんいただいていて、みなさん、私の開業を待ってくださっているんです!
転職活動をしていた時はWEB応募も含めると、おそらく300通は、履歴書を書きましたがうまくいきませんでした。
でも、その苦い経験のおかげで、就職指導やさまざまなジャンルの講師としてのお話がいただけるなんて、あの大変な時期があったからこそでしょうね。
世の中に無駄な経験はない…自分の身の周りに起こること全てに意味があり、そしていずれは必ず解決する…。というのは、まさにこういうことなのだと思います。
佐々木さんの笑顔とともに
~取材を終えた編集部
2015年、初めてお会いしたときは、転職活動がうまくいかなくて、とお話しくださった佐々木さん。
当時も笑顔とともに語ってくださっていましたが、2016年冬に、気に入った代理店と出合った頃から笑顔が変わったように感じました。ご自身の方向性が決まった安心感からなのか、心から独立に向けた活動を楽しんでいるようにお見受けしました。
ちょうどその時期に、アルバイトも決まり、どんどん仕事のオファーも増え、お会いするたびに笑顔が増えていったように感じています。
いつも周りに感謝の気持ちを持ち、自分に厳しく、目標をもって歩み続けていく前向きさが、新しい道を切り開く原動力なのかもしれません。
更新日:2016/10/28文:樋口代史子 撮影:中村公泰撮影協力:八重洲ブックセンター本店 喫茶ティファニー
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