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脱サラしてパソコン教室を開業するまでの1年間 独立開業への道365日 中北さん編 [総集編]

脱サラしてパソコン教室を開業するまでの1年間  独立開業への道365日 中北さん編 [総集編]
2015年11月、中北一郎氏(当時47歳)の年間密着取材を開始しました。
2015年夏、取材にご協力いただける方を募集したアントレ編集部は、多く独立開業希望者と面談をさせていただきましたが、中北さんの場合は「それは、だいたいいつ頃のエピソードですか?」と伺うと、「○月×日です」と、時にメモを見ながらも、はっきりと丁寧に答えてくださっていたのと、「何でも隠さずお答えします」とおっしゃっていたのが印象的でした。

その後、独立開業を決め、経営者となった中北さんに色々な話を伺ってきました。
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○転職先の内定を辞退して独立を決めたのは
「また会社員やるの?」という妻の一言

大学卒業後、ソニー株式会社に入社したのは、独立したいと思っていたからだという中北さん。

大学時代にね、脱サラして起業した友人のお父さんから、成功している会社に入って勉強することが独立への一番の近道だという助言をもらったんですよ。

会社員時代も、ずっといつかは独立するという想いはもっていましたね。具体的に動き出したきっかけは、2012年の早期退職制度の募集だったんです。

その時は、申し込むのが遅くなっちゃって応募できなかったんですが、仕事の区切りもついたし新しいことに挑戦してみたいと思うようになりましたね。
そうこうしていたら、2014年にもまた募集がかかったので、今度はすぐ妻に相談し、即、応募して転職活動を始めたんです。

中北さん

退職が決まり、「新しいこと」を目指した中北さん。しかし、独立ではなくキャリアを生かしての転職活動をしていたという。

実は、ある企業から良い条件の内定ももらったので、半分くらいそちらに行く気でいたんですが、本当に良いのかな?と妻に相談したら、また会社員やるの?と言われて。ビックリしましたよー。

中北さん

奥さまのこの一言が独立の転機になる。

さっそく、脱サラして開業した奥さまのお父さんに電話をしたんですよ。その時初めて会社を辞めること、既に内定をもらっていること、家族の生活もあるのでリスクのある独立は迷っていることを相談したんです。

そしたら、自分で何かやると思っていたよと言ってもらえたので、独立を決めました。

中北さん

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○IT関連での起業は考えていましたが
フランチャイズで開業しようとは思っていませんでした

奥さまのお父様から「自分のスキルを生かせる仕事を始めた方が良いんじゃないか」と独立の助言をもらった中北さん。

IT関連での独立を考えていたが、たまたま、友人に教わった日米フランチャイズEXPOに参加し、初めてフランチャイズビジネスを考え始めたという。

興味を持ったのはパソコン教室ですね。私もパソコンに携わる仕事をしてきましたし、人に教えることはもともと好きですし。

初めはね、フランチャイズを信用していなかったんですよ。しかも、パソコンが普及した時代のパソコン教室なんて。でも、言われてみれば、うちの近所に10校も教室があったんです。

そこで、儲かるからくりを調べてフランチャイズのパソコン教室関連10社くらいコンタクトをとって話を聞きに行ったり、実際に体験入学してみたいりしたんです。そうするとね、ビックリすることに、思いのほか、人が来るんですよ!
平日の午前中でも賑わうので、いけるんじゃないかと実感しました。

中北さん

○数あるフランチャイズから、今の本部を選んだのは
データを重視する考え方が自分に合ったから

いくつかフランチャイザーに話を聞きに行きましたが、統計など数字を見るフランチャイズが自分に合うと思いました。フランチャイザーの持っている膨大なデータと研究結果は安心感があります。あと、開業していらっしゃる方にお会いして話を聞くことが出来たので。

中北さん

フランチャイザーからは、店舗の立地をいくつか提案してもらったり、教室をオープンする前はオーナー研修やスタッフ面接時のロールプレイングなど、びっしりと研修をしてもらったという。

自宅にはオープン前までに見ておくべきDVDなどがビッシリだったが、新しいことに踏み出した中北さんは、開店準備の疲れをもろともせず終始にこやかにお話しくださいました。

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○フランチャイザーによる細やかなロールプレイングを終え2016年2月5日に念願のパソコン教室をオープン!

スタッフを採用すると、今度は開店直前まで全員でフランチャイザーのロールプレイング研修を受講。

教室の工事が1日後倒しになってしまったので、実際の教室で行うスタッフ研修も遅れたりしてバタバタでした。チラシ配り、新聞折り込み、ポスティングなどの販促もしました。いよいよオープンだと毎日ワクワクしています

中北さん

販促方法やユニホームなど、決めることは盛りだくさんなこの時期、「責任も決定権も自分にある」とことあるごとに嬉しそうに口にしていましたす。

教室にいつ伺ってもスタッフさんと旧知の仲かのように軽口を叩いていたのが印象的です。

○開業後に気づいた唯一の失敗点は
「お金を借りられるだけ借りなかったこと」

開業から2カ月。それまではお金のことを口にしなかった中北さんだったが、収支が気になりだした。

販促費がかかって仕方がないんです。ひと月に80万円以上かかったりするんですよ。人件費や求人募集の費用、販売促進用のチラシなど、これが想定以上にかかる。

契約前にフランチャイザーから提示されていましたが、あれは本当に最低限ですね。開業前は支出を抑えたいと思って日本政策金融公庫からの借り入れを少な目にしましたが、追加融資を受けることは難しいので、こんなことなら初めに満額借りていればよかったですよ。

中北さん

生徒を呼び込むための販売促進費や、スタッフの追加募集、パソコンの不具合による総取り替えなど想定外な自体が中北さんを襲う。

○人とお金に悩まされる日々を送るも
「スタッフが全て。結果はついてくる」の信念

教室をオープンしてから1カ月目で1人のスタッフが退職。その後も「思っていた仕事内容と違った」などの理由から辞めるスタッフが。

開校から半年、3人目のスタッフが退職したときは、初めてポジティブではない言葉が飛び出す

退職理由を聞き、数カ月働いただけで仕事の何が分かるのかと少し憤ってしまいましたね。長く勤めたソニー株式会社では、雇用形態に関係なくみんな、髙い意識を持って責任ある仕事をしていたので、そんな理由ですぐに退職を決めてしまうなんて、考えられなかったんです。

経営側としては辞められてしまうと本当に痛いんです。3カ月で辞められてしまうと100万円がパーですからね。

人を1人育てるのには作業とお金がかかっていますが、当の本人はそんなことは関係ないですからね。本当に悔しいですよ

中北さん

人を動かすことはマニュアル通りにはいかないと痛感した中北さんだったが、その後はITに強くなくても一生懸命やろうという姿勢を持った方を採用するなど、フランチャイザーの採用マニュアルに自身の経験をプラスして運用しているよう。

常に「スタッフが全てですから。きちんとやっていれば結果は後からついてきますから」と口にする中北さん。
なかなか黒字化しない中、スタッフの正社員化手続きも開始。さらに、フランチャイザーからは人件費が多いと指摘を受けるも、

赤字でも人件費だけは削りたくないんです。スタッフのモチベーションを保つためにも。アルバイトってすぐ辞めることができちゃうけれど、教室のことを真剣に考えて、意見してくれるような、本当に良いスタッフたちに恵まれていると思うので。

中北さん

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○結束の高まるスタッフと中北さん
今後の複数店舗経営の実現に向けて

アントレ編集部はスタッフ5名に「経営者としての中北さんはいかがですか」と個別に聞いてみたところ驚くべきことに全員から同じ返事が返ってきた。

それは、「いいことも悪いことも、思ったことは直接中北さんに話しています」という言葉。これには取材陣も驚きを隠せなかったが、確かに取材中も、家族のような距離感で話をする場面は何度もあった。

スタッフからは「皆さんの教室ですからって中北さんはいつも言っています」「一番大切なのは生徒さんだから、生徒さんのためになると思うことは相手が誰でも遠慮せずに話し合いをしています」という返事。中北さんの思いとスタッフの意識は共通のものでした。

そして、驚いたことに、スタッフは副業で教室勤務をしているという方がほとんどでした。中北さんは開業前から複数教室経営をしたいと語っていたので、これは矛盾しているのでは?と聞いてみたところ、

「経営を任せたいと思う人はもちろんですが、うちで学んで世界に羽ばたいてほしい人も採用しているんです。大学生も雇いました。うちで働いた経験が次のステップになればいいと思っています」

中北さん

今の夢は、教室が黒字化して経営が安定したら2校目を出すこととだという。

成熟して既にパソコン教室があるような街ではなく、これから成長していく可能性のある街で開業したいですね。つくばエクスプレス沿線あたりとかいいですね」

中北さん

1年間の取材を振り返り、この取材の間に黒字化しなかったことがとても残念だと言っていた中北さん。

1年前と変わったことはありません。全て想定内です。1年前の自分にアドバイスするとしたら、借金は満額するべきだというくらいですかね。会社員時代に比べて、自分で全ての判断ができるのは自分に合っていると感じますし、ストレスも減りました。

中北さん

いつ取材してもイキイキと楽しそうに働いていた中北さんは時に苦しむことはあれど、常に裁量権を持つ経営者であることを楽しんでいるようでした。

更新日:2016/10/21
文:樋口代史子 撮影:吉原朱美




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