前回まで「事業コンセプト」とその9つの要素について見てきました。
今回から事業計画書上に記載する各項目について、ヒントを書いていきたいと思います。説明書的な記事だとおもしろくないので、実際に事業計画書を書くときの「気付き」になるエッセンスをちりばめていきますね。
前回、(「競合分析から自社の強み・弱みをあぶりだせ【独立・起業のノウハウ集 第10回】」)で、
事業の規模感について説明しました。目指す方向性や資金力によって事業規模が決まってくるというお話です。
その事業規模には、「人員計画」も含まれてきます。
自分一人だけで事業をするのか、アルバイトは採用するのか、従業員を積極的に採用して拡大していくのかなどです。
事業計画書でも、人員計画について詳細に記載する欄があります。どの時点で、何人採用するか、役職、職種はどんなで給料はいくらなのか。どういった手段で採用するのかなどです。
あまり意識しないかもしれませんが、創業融資や補助金の審査のために提出する事業計画書では、人員計画は重視される項目のひとつです。なぜなら、公的創業融資や補助金は、国民の血税を投入したうえで行われる公的支援だからです。
起業家が新しい事業を作り出したときに得られる社会的なメリットのひとつに雇用創出効果があります。雇用が創出できるならば、税金を投入する公的支援としてさらに意義深いものとなるからです。
例えば、融資制度によっては、正社員などの雇用の拡大、維持を図る場合には金利が優遇される場合もあります。このようなこともぜひ意識してくださいね。
事業計画書には、市場環境の調査状況について書く欄があることが多いです。
非常に大事なところですので、ココを書く際の注意点を整理します。
事業計画書は乱暴に言えば「作文」ですよね。ただ、魂が入っていなければ、読み手にそれが伝わってしまうわけです。
市場環境の調査状況を書かせるのは「本当にその人がその業界に詳しいのか」「どれだけ熱意をもって調べているのか」について、融資担当者が探ろうとしているからなのです。この点を必ず意識してください。
例えば、こんな感じで書きます。
「現地周辺を調査したところ、○○駅周辺には競合店は2店舗しかなく、しかも弊社が提供するような高付加価値なサービスを提供するところは皆無であった。」
いいですね。ちゃんと熱意をもって調査したうえで、冷静に判断している感じが伝わります。
逆に、よくあるダメな事例としては、市場環境の調査状況と言われると図書館やWeb検索などで統計データを集めてきて、もっともらしく「作文」としてまとめてしまうパターンです。
例えばこんな感じ。
「日本の人口高齢化により○○市場はこれから20年~30年の間、○%の伸びが期待できる…」
など、マクロ経済のような机上の空論だけに終始してしまうケース。
確かにそのビジネスの市場がこれから伸びるのか、伸びないのか、そういったデータも重要です。書けば多少の説得力は増すでしょう。ただ、そればっかりではダメなのです。どこかから引っぱってくるだけのデータでは魅力はないですし、たいして読んでもらえません。それどころか、熱意を疑われます。
大事なのは、
- どれだけ業界経験が豊富か
- がんばって調査した上で冷静に判断しているか、準備しているか
- それをPRできているか
です。
逆に考えると、業界を詳しく知っていること、熱意があることを伝えるチャンスです。
どのように伝えるべきか是非考えてみてください。
【まとめ】
・公的融資の観点では、雇用拡大につながる可能性のある「人員計画」は重視されるポイント。
・市場環境調査欄は、きれいにまとめるのではなく「熱意」を伝えよう。