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リストラとは?解雇との違い・いざというときの対処法を解説

リストラとは?解雇との違い・いざというときの対処法を解説

リストラとは、整理解雇とも呼ばれる人員整理の一種です。会社は業績悪化や不景気を理由に従業員を解雇することができ、この解雇がリストラと呼ばれます。しかし、リストラとは人員整理だけをさす言葉ではありません。リストラだと思っていた解雇が不当解雇にあたり、慰謝料や解決金を獲得できた事例もあります。本記事ではリストラの詳しい意味やほかの解雇との違い、されたときの対処法を解説します。

リストラとは?

リストラとは『Restructuring (組織再編、再構築)』という意味で、一般的には『解雇』や『人員削減』とほぼ同義で使われています。しかし、本来の意味は『企業を再構築すること』であり、解雇はその一貫として行われるに過ぎません。

広義的なリストラは『企業の再構築』、その一環として行われる『人員削減』が狭義的なリストラである、と考えておきましょう。

リストラと解雇の違い

前述のとおり『企業の再構築』を目的とした人員削減がリストラです。ただ、リストラされた側からすれば、解雇もリストラも変わらないように思えます。

実は、解雇には『普通解雇』『懲戒解雇』『整理解雇』の3種類があり、そのうちの整理解雇がリストラにあたります。整理解雇以外の解雇をされた場合、つまり、企業の再構築を目的としていない場合は、リストラではなく解雇をされたことになります。

解雇以外のリストラ手法

では、解雇による人員削減以外には、どのような方法で企業を再構築するのでしょうか。具体的には、次のようなリストラ手法があります。

【人員削減以外のリストラ】
・固定費削減
・業務効率化

【人員削減によるリストラ】
・退職勧奨
・希望退職者の募集

解雇には3つの種類がある

解雇とは『普通解雇』『懲戒解雇』『整理解雇』の3種類の総称です。リストラとは、3種類の中の『整理解雇』のみを指す言葉です。

それぞれの解雇はどのように違うのでしょうか。一つひとつ解説します。

普通解雇

普通解雇とは、従業員側の責による解雇のことです。具体的には業務遂行に必要な能力や協調性が足りていないこと、就業規則に違反したことなどを理由に、企業は従業員を解雇できます。

客観的かつ合理的に『解雇された従業員が悪い』と判断できる場合にのみ、普通解雇は可能です。

ただし、企業側が解雇をするときには解雇権濫用法理(労働契約法16条)の制限があるため『客観的に合理的な理由』と『社会通念上の相当性』がないと、『不当解雇』と判断されて解雇が無効になることがあります。

懲戒解雇

リストラとは?解雇との違い・いざというときの対処法を解説

懲戒解雇とは『重大なセクハラ、パワハラ』『会社の金を横領』など、重大な規則違反や組織の秩序を著しく乱した従業員を、一方的に解雇することです。減給や降格、出勤停止などの『懲戒処分』の中で、最も重い処分です。公務員に対する懲戒解雇は、懲戒免職と呼ばれます。

懲戒解雇は『解雇』と『懲戒処分』の性質をあわせもっています。そのため、従業員を懲戒解雇できるのは、整理解雇と同様に『解雇権濫用法理』(労働契約法16条)に該当するかつ『懲戒処分の有効性の要件』(労働契約法15条)を満たすと判断できる場合に限ります。

整理解雇

整理解雇とは『業績悪化による人件費削減』『会社倒産』などの『企業側の経営上の都合』により、従業員を解雇することです。普通解雇や整理解雇と異なり、従業員側に責がないのが特徴で、整理解雇は『リストラ』の手段のひとつに挙げられます。

原則として、解雇予告手当を支払うか、30日前までに解雇予告をしなくてはなりません。

整理解雇(リストラ)の4要件とは?

前述のとおり、整理解雇(リストラ)とは『従業員側に責によらず、企業側の都合で従業員を解雇すること』です。日本では労働者の権利は法律で守られているため、そう簡単に整理解雇(リストラ)ができるわけではありません。具体的には、次の要件の一部もしくは全部を満たさなければ、整理解雇(リストラ)はできません。

人員削減の必要性

整理解雇(リストラ)の1つ目の要件は『人員削減の必要性』です。人員削減の必要性とは「人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること」です。整理解雇(リストラ)の手法には、整理解雇以外にも『固定費削減』や『業務効率化』などがあり、「これらよりも人員削減をするのが妥当である」といえなければなりません。

解雇回避の努力

整理解雇(リストラ)の2つ目の要件は『解雇回避の努力』です。解雇回避の努力とは「配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと」です。具体的には、次のような努力が挙げられます。

【解雇回避努力の例】
・希望退職者の募集
・新規採用の中止
・転籍
・出向
・労働時間の短縮

人選の合理性

整理解雇(リストラ)の3つ目の要件は『人選の合理性』です。人選の合理性とは「整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること」です。被解雇者の選定方法やその運用方法も、合理的で基準に沿った運用が行われなければなりません。

解雇手続の妥当性

整理解雇(リストラ)の4つ目の要件は『解雇手続の妥当性』です。解雇手続の妥当性とは「労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと」です。従業員が納得できるだけの説明や努力をしていることを指します。

大企業と中小企業では、満たすべき要件が異なる

大企業と中小企業では、整理解雇(リストラ)をするときに満たすべき要件が異なります。大企業では紹介した4要件すべてを満たしていなければ整理解雇(リストラ)できませんが、中小企業では、事情によっては1要件しか満たしていなくても整理解雇(リストラ)できる場合もあります。

理由は『大企業と中小企業では、事業規模も企業体力も大きく異なるから』です。

大企業は中小企業と比べて多くの資金を持ち、業績が悪化してもある程度耐えることができます。グループ会社や部署・部門が多ければ、整理解雇の代わりに配置転換でしのぐこともできるでしょう。

一方、中小企業は大企業ほど資金がないケースが多く、一事業の業績悪化が倒産に直結しかねません。グループ会社もない場合は出向も難しく、配置転換程度ではどうしようもないケースがほとんどでしょう。

そのため、中小企業では整理解雇(リストラ)の1要件だけでも満たせば整理解雇ができる場合があるのです。

整理解雇(リストラ)ではなく、不当解雇だと感じたときは

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被解雇者全員が納得する整理解雇(リストラ)など、ほとんどないでしょう。『これは整理解雇(リストラ)ではなく不当解雇だ』と感じる人もいるはずです。実際に不当解雇なら、会社に慰謝料や解決金を請求するなどの対応を取った方がいいでしょう。

しかし、整理解雇(リストラ)と不当解雇の境目を一般人が判断するのは難しいです。まずは、次のようなケースに当てはまらないかを確認し、少しでも気になったら弁護士などへの相談をおすすめします。

【求人を出しているのに整理解雇(リストラ)をしていないか】
求人募集を行っているのに整理解雇(リストラ)をするのは、整理解雇(リストラ)の4要件の1つ『解雇回避の努力』を怠っているといえます。中小企業は1要件に当てはまれば整理解雇(リストラ)を行えるケースがありますが、同時に不当解雇の可能性も考えられます。整理解雇(リストラ)が不当だと感じたら、まずは求人情報をチェックしてみてください。

【解雇予告もしくは解雇予告手当はあったか】
普通解雇もしくは整理解雇(リストラ)をする場合、解雇の30日前までに解雇予告を出さなくてはなりません。解雇予告を出さない場合は、直近3ヵ月の平均賃金の30日分を『解雇予告手当』として支払う義務があります。

懲戒解雇の場合は除きますが、何も悪いことをしていないのに突然解雇され、手当ももらえないのであれば、それは『不当解雇』の可能性が高いです。次の仕事を探す間もなく解雇されては、生活もままならなくなります。この場合は、特に弁護士に相談した方がいいでしょう。

【整理解雇(リストラ)について、きちんとした説明はあったか】
解雇の30日前までに予告していれば、整理解雇(リストラ)ができるわけではありません。整理解雇(リストラ)の4要件には『解雇手続の妥当性』が定められ、従業員に整理解雇(リストラ)が必要な理由・時期・整理解雇(リストラ)する規模・方法や、どうやって被解雇者を選んでいるのかを説明することが義務付けられています。

『解雇通知を受け取っただけ』『口頭で簡単に説明されただけ』なら、詳しい説明を求めてもいいでしょう。

整理解雇(リストラ)された後にすべきこととは?

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もしも整理解雇(リストラ)をされてしまったら、その整理解雇(リストラ)が不当解雇にあたらないか確認し、必要に応じた措置を取りましょう。

『不当解雇かもしれないけどよくわからない…』と感じる場合は、弁護士に相談することをおすすめします。法律事務所の中には初回相談を無料としているところや、手当獲得や復職などの成果が出たときのみ報酬の発生するところもあります。厚生労働省には、職場のトラブルに関するご相談や、解決のための情報提供をワンストップで行う『総合労働相談コーナー』というものがあります。

解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象としているのが特徴で、予約の必要はなく、無料で利用できます。

「いきなり弁護士に相談するのは敷居が高い」と感じる人は、こちらを利用してみるのはいかがでしょうか。

参考:厚生労働省『総合労働相談コーナーのご案内

整理解雇(リストラ)が妥当でない可能性がある場合、次のような措置が取れます。

【整理解雇(リストラ)に対して取れる措置とは】
・解雇理由証明書の請求
・整理解雇(リストラ)撤回の要求
・裁判など

これらの措置を取ることで整理解雇(リストラ)が撤回されたり、慰謝料や解決金、受け取れなかった解雇予告手当が受け取れたりすることもあります。

整理解雇(リストラ)とは少し異なるケースですが、上司から「明日から来なくていいよ」といわれた従業員がクビになったと思い、翌日から本当に仕事に行かなかった事例があります。この従業員が後に裁判を起こした結果、上司の発言はそのまま「来なくていい」というだけの意味と判断されました。

つまりクビではなく「雇用は継続するけど、会社には来なくていいよ」という意味だったのです。これにより、会社はその従業員に対して、会社に来なくなった日から本来発生していたはずの給与を支払うこととなりました。

このように、裁判によって想像もしていなかった結果がもたらされることもあります。日本の社会は労働者を守るようにできているので、少しでも不信感を持ったら、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。

整理解雇(リストラ)されない会社とは?安心して働ける仕事を探そう!

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整理解雇(リストラ)とは、そう簡単にできるものではありません。何より、整理解雇(リストラ)などされる心配なく、安心して働けるのが一番です。

では、整理解雇(リストラ)のない会社とはどんな会社でしょうか。

長く不景気の続く現代社会で、明確な答えを出すことはできません。どんな会社にも業績悪化や倒産のリスクはあり、それはイコール、整理解雇(リストラ)の可能性もあるということです。

だからこそ、早い段階で『整理解雇(リストラ)をされても生きていける力』を身に付けておきましょう。

今の会社でなるべく多くの経験を積み、転職市場における自分の価値を高める。本業で身に付けたスキルや趣味で得られた知見を使って副業をはじめ、複数の収入源を確保する。このような努力は、先行きの見えない現代社会において欠かせないものです。

何より、これらの努力を続ければ、将来や仕事の選択肢が増えます。整理解雇(リストラ)や減給におびえることなく、『いざとなったら独立すればいいか』くらいに考えられる人は、不景気の続く社会において強者といえるでしょう。

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PROFILE

赤塚元基

フリーライターとして独立した契機は、実は転職失敗。自身の(苦くもあった)経験を活かし、皆さまの心に寄り添いながら、お役立ち情報をお届けします!

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