世の中には、ありとあらゆる商売がある。
どんな商売も工夫ややりようで繁盛させることはできるはず。
そこで、一見もうけることが難しそうな意外な商売を繁盛させたり、長続きさせている先輩にそのポイントを聞いた。大いに参考にしてほしい。
「中古ラジカセ」商売を16年継続!/
松崎順一さん
03年に中古ラジカセを中心とするアンティーク家電のネットショップを始めた松崎順一さん。
宣伝は一切していないが、マニアが調べて訪問してくるそう。「客数は増えもせず減りもせず。売り上げは安定している」と言う。
そんな松崎さんの存在を知ったテレビ番組の制作関係者などから、昭和時代を舞台にしたテレビ番組への貸し出しや時代考証、さらに有名ブランドのショールームの展示演出といった仕事が舞い込むようになった。
一方、マニアックな知識を買われて、ポータルサイトに「昭和プロダクト考古学」といった連載記事を執筆。これら物販以外の仕事が増え、毎年数%ずつ売り上げを伸ばしながら、この道で16年目を迎えている。
アンティーク家電の魅力とは?の問いに「造形の面白さと操作感」と答える。「最近のデジタル家電は、人間から操作の楽しみを奪う“おせっかい家電”」と手厳しい。
そんな松崎さんは、好きなことが高じて自分が欲しい家電をつくるメーカー「松崎電器(仮称)」を立ち上げる。クラウドファンディングで資金を集め、19年に第1弾の商品のラジカセを発売する。
「数千万円単位のお金が動くのでドキドキ(笑)。自分の世界観を共有する方にお売りして、喜んでもらいたいと思っています」
家電メーカー事業を第4の柱に、松崎さんはこれからもアンティーク家電の魅力を世の中に発信していくライフワークを楽しんでいくつもりだ。
松崎順一さん(58歳)
撮影/田部雅生、刑部友康、坂井みゆ
アントレ2019.春号
「紙バンド、中古ラジカセ、草むしり 意外な商売 意外に繁盛」より