「VUCA」時代の急速な変化に対応できるメンバーを、どう育成していくか？

前回、今後の「VUCA」時代の中で各企業はどう対応していくことが求められるか、ご紹介しました。

これから独立開業して事業の継続的な成長を実現するには、企業としての変化対応とともに、それを実現できるメンバーを育成し戦力化することが必要です。

ここでは、今後の「VUCA」時代のメンバー育成に求められることは何か、ご紹介していきましょう。

ものごとの変化が高速化し、かつ予測不能に

今後の「VUCA」時代では、各企業は経営の意思決定スピードを上げ、「VUCA」に素早く対応することが必要だ、と前回ご紹介しました。

実は「VUCA」時代を迎える以前から、「ヒト・モノ・コト」の変化スピードは高速化しています。その大きな要因の１つが、インターネットの普及です。

以前は、多くの人たちに情報発信するためには、何かしらの「メディア」を利用する必要がありました。しかしインターネットを活用できるようになると、人々は「メディア」を利用せずとも個人で情報発信できるようになり、双方向的に24時間いつでも情報のやりとりができるようになりました。

これにより個人が受け取る情報量が格段に増え、あらゆるものごとの変化が高速化しました。今後の「VUCA」時代では、それに加えて環境変化の先行きが予測しづらくなります。この環境変化に対応するため、各企業は変化の兆しを素早く把握して意思決定のスピードを高めるとともに、その決断を迅速に実現できるメンバーの育成、戦力化が必要になります。

「VUCA」時代のメンバー育成に必要な３つのポイント

経営の意思決定を素早く実現するため、メンバーには以下の３つが求められます。

① 個々のビジョンを明確にする

前回、「VUCA」時代に対応したビジネスを展開していくためには、自社のビジョン、経営方針を明確に持つことが必要だとお伝えしました。

これは、企業だけでなく、個々のメンバーにも求められます。

メンバーが「今後何を目指していくか」「何を成し遂げたいか」など自分自身のビジョンを明確に持つと、仕事へのモチベーション向上につながり、主体的に業務に取り組むことができるようになります。

また企業やチーム内で共通ビジョンを掲げる際にも、個々のメンバーが自分自身のビジョンを明確化できれば、ひとり一人が当事者意識を持って「自分の強みをチームの中でどう発揮すればよいか」を考えられるようになります。

「VUCA」時代の変化スピードに対応するためには、常にリーダーが判断するだけではなく、状況に応じて最適な能力を持つメンバーに判断を委ねることも必要です。変動する状況を読み、どう対応するのが最適か判断するとともに、メンバーに権限を委ねられるよう日頃から信頼関係を構築しておきましょう。

② 常にスキルアップを求める

市場ニーズの変化が予測しづらい「VUCA」時代では、変化に素早く対応できるよう、個々のメンバーのスキルアップが必須になります。

ひとり一人がそれぞれ得意分野でスキルアップしリーダーシップをとれるようになれば、各メンバーの自信にもつながります。そしてそれぞれの得意分野を活かすことで、たとえば未知のトラブルやリスクを回避できるようにもなります。チームとして対応できる選択肢が多くなるので、想定外の市場ニーズの変化にも柔軟に対応することが可能です。

このように個々のメンバーのスキルアップはチーム力の向上につながりますので、常に各メンバーに求めていきましょう。

③ 変化を恐れずチャレンジを

変化スピードが速い「VUCA」時代に対応していくためには、企業も個人も変化を恐れず常にチャレンジしていくことが不可欠です。

過去の成功事例や自分自身の成功体験から身につけたビジネス手法は、これまで有効だったかもしれませんが、今後の「VUCA」時代ではまったく通用しなくなることも十分に考えられます。そのため、常に変化を見ながら自分自身の考えやビジネス手法を柔軟に変化させていくことが必要です。

メンバーにとっては、自分自身がこれまで苦労して身につけてきたビジネス手法を、あえて自ら変えてしまうことには抵抗もあると思います。

しかし今後の時代の変化に対応するためにも、ひとり一人が変化を恐れず柔軟に対応できる力を持てるよう、常にチャレンジすることをメンバーに求めていきましょう。

変化を自分のものにできるメンバーの育成を

ここまで、今後の「VUCA」時代にメンバーに求められることについて、説明してきました。

人間は誰でも、変化を求められる度に億劫になるものです。しかし、今後の「VUCA」時代では市場ニーズが目まぐるしく変わるため、過去の実績やスキルは一気に廃れてしまいます。

そのため、ひとり一人のメンバーにもビジョンを明確化し、常にスキルアップして変化に対応していくことが求められます。それがチーム、そして企業全体の戦力の底上げに直結します。

今後の「VUCA」時代を乗り越えていくため、柔軟に臨機応変にチャレンジし続けられるメンバーを育成していきましょう。