スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
独立ノウハウ・お役立ち

従業員の自主性を活かす「自己啓発」の進め方とは?

従業員の自主性を活かす「自己啓発」の進め方とは?

独立開業して事業経営をしていく際、継続的成長のために従業員を採用し増やしていく機会があると思います。そのときに重要になるのが、従業員の「育成」です。

一般的に、従業員の育成方法には次の3つがあると言われています。
①OJT
②Off-JT
③自己啓発
前回まで「OJT」「Off-JT」についてお伝えしてきました。今回は「自己啓発」について、その特性とOJTやOff-JTとの違い、進め方についてご紹介していきます。

「自ら課題を見つけ、学習する」自己啓発

自己啓発とは、企業が準備した教育の枠組みに頼らず、従業員が自ら課題をみつけ、自ら学習しスキルの習得・向上を図ることです。OJTやOff-JTは会社が学習テーマを決めてそれに取り組むのに対し、自己啓発では従業員が「自ら課題を見つけ、自ら学習する」ことが求められます。それにより「能力の向上」とともに心構えや考え方などの「意識の成長」が見込まれ、従業員自身がより良い自分へと成長することが期待できます。

自己啓発のメリットとデメリット

自己啓発では従業員自身が学習内容を決められるため、自らが求めていた新しい考え方や正しい知識を習得でき、それにより自身の能力アップに繋げられます。また自分自身でスケジュールを決められるため、求める知識やスキル獲得までの時間を短縮できるのが自己啓発のメリットです。

一方、時間やお金を無駄にしてしまう可能性があることが、自己啓発のデメリットです。ただやみくもに自己啓発本を手に取っても、自身の目指す方向とマッチしていなければ遠回りになり、時間もお金もかかってしまいます。また目指すものが決まっても、知識や結果を求めるあまり色々なノウハウを探し回っても時間を浪費するだけです。

自己啓発では、まず従業員自身がどうなりたいのか、仕事で何を求めているかを見つめ直し、「学ぶべきこと」をしっかりと決めることが大切です。あせらず少しずつ学んでもらい、従業員自身の成長に繋げていきましょう。

まずは目標を明確にする

OJTでもそうでしたが、自己啓発でも、従業員自身がどうなりたいかを考え、目標を明確にすることが大切です。

まずは従業員自身に自分の夢や理想といった、将来こうなりたいという望ましい状態を書き出してもらいます。その際、欲しいものを明確にし(×リストラされない自分 〇会社から評価を得る自分)、「いつまでに(期限)」「誰と」「どこで」といった具体的な状況を特定し、その目標を達成できたらどんなことがあるのか、明確にイメージしてもらいます(「仕事を通しての成長」「給与アップで豊かな生活」など)。

こうして書き出してもらったものを整理して、目標を明確にしていきます。

学習の「型」を知り「実例」を参考にする

目標を明確化したら、その目標を達成するにはどんなやり方があるのか、モデルや型(パターン)を学び、また過去実際にあった「事例」を参考にしてもらいます。

モデルや型(パターン)では、たとえば思考の「フレーム」にはどんなものがあるかを学んでもらいます。思考の「フレーム」を事前に理解し把握しておくと、従業員が自身で実践する際に効率よく進められます。

またケーススタディとして事例や実践例を理解しておくと、似たようなことに遭遇した際に、従業員自身がどう進めるとよいか考える際の参考になります。

方法を選んで実践する

目標を明確にし、学習の「型」や実例を学んだら、実際に学習してもらいます。学習の方法には、そのときの状況等によって、いくつかの方法があります。以下ご紹介します。

① 読書

最も手早く取り掛かれるのが「読書」です。学習したい内容に合わせ、どんな能力やテーマの本が必要なのか選びます。「好きなときに、好きなだけ学習できる」のが、読書という方法のメリットです。

② オーディオブック

読書しようと思い実際に本を購入するが、いわゆる「積読(つんどく)」になって学習できないという人をよく見かけます。その場合には「オーディオブック」などの活用が有効です。通勤時間にも耳から情報を手に入れることができ、スキマ時間の活用、「ながら学習」(何か他のことをしながら聞く)の実践も可能です。

③ インターネット

インターネットは、最近ではスマホでの閲覧も増えています。読書と同じように「好きなときに、好きなだけ学習できる」方法です。

ただ、インターネットの情報はいい情報も、でまかせ的な情報もあるので、その見極めが必要です。また検索サイトでキーワード検索すると、万人が必要とする最大公約数を満たす記事が上位表示される傾向があるため、キーワード検索の際に詳細のワードを入れて検索すると、深く充実した内容のサイトに出会う可能性が高まります。

たとえば「マネジメント」というワードで検索すると、マネジメントに関する情報が網羅されている記事にたどり着くことができますが、マネジメントの方法について詳しく知りたければ、「マネジメント 方法」というワードで検索するとよりヒットする情報にたどり着くことができます。

④ 友人や知人に聞く

従業員自身が学習したいことに詳しい友人や知人に連絡し、あるいは友人や知人に紹介してもらって詳しい人に教えてもらう、という方法もあります。 まわりにはどんな友人や知人がいるか見直してもらうことで、従業員自身の仕事や人生に違いを生み出す可能性が広がります。

⑤ 研修やセミナーの参加

学習したい内容を教えてくれる研修やセミナーに申し込み、参加するという方法です。参加するには費用が掛かる場合が多いですが、人との出会いも含めて刺激となり、場合によっては立場や年齢や損得を越えてつながる人脈が手に入る可能性もあります。

⑥ コーチングやコンサルを個別で受ける

学習したい内容に関する専門家やコンサルの方に教えてもらうという方法もあります。費用がかかり時間拘束もされますが、集中してそのテーマを学習することができます。

ただ、教えてもらうコーチやコンサルが信頼できるかどうか、注意が必要です。そのコーチやコンサルが必要なトレーニングを修了しているか、実績をもっているか、信頼できる人に聞くなどして事前に確認してもらう必要があります。

OJT、Off-JTとうまく組み合わせて活用しよう

従業員の「自己啓発」に対しては、その費用・時間的な補助を行う企業が多くなっています。ただ、自己啓発を通して何を身につけるのか、その目的や判断基準が曖昧ないまま手あたり次第に自己啓発に取り組んでしまうと、結果的に時間とお金がムダになってしまうことになるので注意が必要です。

たとえば憧れの先輩や上司、また著名なコンサルタントといった、具体的な結果をつくっている人に、実際に学んだことを教えてもらうのも、自己啓発の取り組みテーマの選び方としてはよいと思います。

自己啓発は、OJT、Off-JTとうまく組み合わせて効率的に人材育成を行っていくことが望ましいと思います。実際はこの3要素を統括管理し、戦略的に育成を行っている企業はなかなかないのが現状ですが、今後の人材育成をデザインしていくのであれば、OJT、Off-JTとうまく組み合わせて活用していきましょう。

PROFILE

HIDE

元大手広告会社で人事部長を経験。新卒・中途の採用から人事制度設計、労務管理まで人事業務全般を手がける。現在はその前職での経験を活かし、各種就職・転職セミナーの企画運営から企業の採用広報の企画設計等、幅広く活動中。

アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。