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睡眠“だけ”では健康は改善できない。小林麻利子さんに聞くストレスの少ない人生の送り方

睡眠“だけ”では健康は改善できない。小林麻利子さんに聞くストレスの少ない人生の送り方

人間の生活に欠かせない睡眠。

1日の3分の1程度の睡眠時間が必要と言われていますが、仕事や家事・育児・介護など様々な問題が原因で十分な睡眠時間が取れていないという人も多いのではないでしょうか。

今回お話を伺ったのは、眠りとお風呂の専門家である、小林麻利子さん。

小林さんは睡眠や休息の専門家として、人が健康的に生きていくためのメソッドを発信しています。

効果的な睡眠や休息を取ることで、自分を健康な状態に近づけることができる、と語る小林さん。しかし一方で、どれだけそういったメソッドを実践しても「ある問題」を解決しないと本当の健康は手に入れられないとも語ります。

解決しなければならないある問題とは、一体何でしょうか。

<プロフィール>
小林麻利子さん
眠りとお風呂の専門家

同志社大学卒業、京都市出身。
眠りとお風呂の専門家・睡眠改善インストラクター・パーソナルボディトレーナー。
「美は自律神経を整えることから」を掲げ、生活習慣改善サロンFluraを開業。
実践的な指導が人気を呼び、2000名以上の方の悩みを解決。

倒れたりはしなくても、周りを見渡せば体調不良の人ばかり…。睡眠とお風呂の専門家としての原点

―現在に至るまでの経緯を教えてください。睡眠とお風呂の専門家としてキャリアをスタートしたのはいつ頃からなのですか?

小林さん
2012年に「生活習慣改善サロンFlura(以下、Flura)」を開業したので、そのタイミングからですね。

それまでは会社員として働いていました。

―なぜ「Flura」を開業したのでしょう?

小林さん
会社員1年目の時に、過労で倒れたことがきっかけでした。

入社してからかなりがんばって働いていたんですが、そのせいである日、電車の中で過呼吸を起こしてしまって。自律神経失調症と診断されました。

幸い大事には至らなかったんですが、心療内科を受診し、会社からは3日間の休暇をもらったんです。

当時は普通の会社員だったので、あまり自律神経のことなども知らなかったんですが、とりあえず「ゆっくり過ごせばいいんじゃないか」と自分なりにリラックスできる方法を考えて実践してみました。

―例えばどんなことを?

小林さん
リラックス、と聞いてまず思いついたのがアロマだったので、ラベンダーのアロマを焚いてみたんです。

次にお風呂にゆっくり浸かってみました。振り返ると毎日忙しすぎてシャワーだけの生活になっていたので、ゆっくりお風呂に浸かるもの久しぶりだった気がします。

お風呂にゆっくり浸かったら、眠くなってきたので寝てみると、びっくりするくらい深く眠ることができたんです。

翌朝いつもより目覚めが良く、自然に外に出ようという意欲が湧いて。太陽の光を浴びて過ごすと、夜、自然な眠気が出たのでまたお風呂にゆっくり浸かって、という生活を3日繰り返したら、4日目の朝、世界が変わって見えるほど心も体も元気になりました。

―つまり、この3日間の休暇が「睡眠とお風呂」の専門家としての原点となったんですね。

小林さん
はい。その後私は体調が回復し、自律神経を整えることに重きをおきながら3年ほど同じ会社で働いていました。

ですがその間にも、私と同じように過呼吸で倒れたりはしなくても、慢性的な体調不良に悩んでいる人がたくさんいたんです。

「これはなんとかしなければ」と思い、睡眠やお風呂、アロマやヨガの勉強を始め、会社を退職。「Flura」を開業しました。

睡眠の質を上げるだけでは体調が改善されない? 健康を維持するために必要なこと

―現在のお仕事の内容について、教えてください。

小林さん
「生活習慣改善サロン Flura」という、睡眠や自律神経を整えることを勉強し実践する教室を開いています。

「生活習慣改善サロン Flura」では、最新のデータ・研究をもとに、生徒さん1人1人の睡眠や入浴、運動など日々のルーティンを見直し、健康や美容を促進するためのレッスンをマンツーマンで行っています。

その他、書籍の執筆やテレビ・ラジオ・雑誌などのメディア関係のお仕事や講演会なども行っています。

―「生活習慣サロン」は多くの女性に人気を博し、数カ月の予約待ちだと伺いました。レッスンを通して生徒さんに指導する際、心がけていることはありますか?

小林さん
生徒さんの仕事や生活スタイルに合った「本質的な指導」を行えるよう心がけています。

―「本質的な指導」と、言いますと?

小林さん
例えば、日常会話において「疲れているならリラックスしたら?」と言われることって、よくあると思います。

でも実際にちゃんとリラックスするための方法って、意外と知らなかったりしませんか?

私が会社員時代に心療内科に行った時も「リラックスしてね」という言葉とともに、睡眠薬などの薬を渡されただけでした。

当時私は偶然、自分の体調を回復することができました。

しかし特に自律神経系の病や不調は、普通の風邪と同じように「薬を飲んで寝れば解決できる」というものでもありません。

そこで私は、その人の「本質的な悩み」を解決できるように心がけています。

―具体的にはどのような指導なのでしょうか?

小林さん
その人に合った睡眠時間や、日中の活動の傾向から適切な運動量を割り出したり、アロマやお風呂の時間と睡眠の関係について教える、いわゆる座学と共に、その人が今、何に悩んでいてどこにストレスを感じているのかを深掘りしていきます。

その上で、可能な限りストレスを小さくするような取り組みを、生徒さんと一緒に話し合いながら提案していきます。

小林さん
不健康な時って、大きさも含め図のような状態になっているんです。

健康な状態に持っていくために、先程述べたような自分のキャパシティを高める方法を取り入れ、実践してもらうことも大切なのですが、それだけでは健康にはなれません。

それと同じくらい肝心なのは、自分を不健康な状態にしている要素(問題)を物理的に小さくすること。

小林さん
対策によって、自分のキャパシティが高まったとしても、ストレッサーが大きいままでは本質的な解決はありえないと思っています。

―つまり小林さんのレッスンでは、テクニック的なアドバイスだけに留まらないということですね。

小林さん
はい。皆さん睡眠やお風呂についても、ちゃんと実践してくださる方が多いのですが「ストレスの根源そのものを可能な限り小さくする」という考えは意外と盲点だった、というご意見を多くいただきます。

どんな仕事においても、自分の健康なくしてはなし得ません。睡眠やお風呂に関する知識だけでなく、本当に健康な体を維持できるレッスンを展開するように心がけています。

健康なくしていい仕事はできない。睡眠や休息は、自分の未来への投資と考える

―これからの展望について聞かせてください。

小林さん
企業での講演会やコンサルティングを経て、多くの企業に「ウィンタータイム」を導入してもらえるような取り組みを行っていきたいです。

―なぜウィンタータイムなのでしょう? サマータイムは聞いたことがありますが…。

小林さん
冬は日の出が遅い上、睡眠時間が長くなる傾向があります。にも関わらず始業時間が1年を通して変わらなければ睡眠不足となり、朝はなかなか体温が上がらず寝起きが相当悪くなるからです。

通常9時に始業するのであれば、それを1時間後ろにずらすだけで、かなり楽になるはずです。社員の生産性も回復するのではないでしょうか。

―仕事の生産性は体温と密接な関係があるのですね。最後に、読者へメッセージをいただけますか?

小林さん
私自身もそうでしたが、独立・起業には一定の体力や精神力が必要なのは事実です。

特に立ち上げ期は昼夜を問わず働き詰めになってしまいがちですが、休息をきちんと取らないと、人間はいつか必ず限界が来てしまいますし、仕事の効率も悪くなります。

先程もお話しましたが、健康あっての仕事です。睡眠や休息はいわば、自分の未来への投資と言えます。

定年退職のない独立の道を選ぶなら、自分の体は何よりの資本。質の高い仕事をするためにも長く仕事をするためにも、どうかそこを忘れずにいていただきたいです。

取材・文・撮影=内藤 祐介

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