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事業買収とは何か? 注意点や事業買収方法について

事業買収とは何か? 注意点や事業買収方法について

近年、産業構造が変化したことで経営戦略を見直さなければならなくなり、M&Aの手段の一つである“事業買収”を利用し、他社のビジネスを取り込んで自社の成長を図るケースが増えています。
今回は、事業買収の意味、注意点、方法について解説します。

事業買収とは何か?

事業買収とは、簡単に言うと“お金で他社のビジネスを買うこと”です。新しいビジネスを一から作り上げる時間や労力を削減できるため、”お金で時間を買う行為”とも言えるでしょう。
今まで事業買収のようなM&Aは、大企業が有望な中小企業の事業を買収する例が多数でした。しかし、最近は市場の変化が激しい時代となり、中小企業が同業他社や異業種の中小企業の事業を買収したり、個人事業主が事業買収するなどの例も増加して、経営戦略のよく使われる手段となっています。

事業買収を行う目的とは?

素早い成長を目指して“事業買収”という手段をとりますが、その目的は大きく3つに区分されます。

■優秀な人材確保
自社単独よりも成長スピードを高めるため、事業買収により専門性の高い人材を獲得すること。

■市場規模の拡大
現在の既存事業の市場シェアを拡大するため、同業他社を事業買収すること。

■新規事業分野への進出
異業種の事業買収により新規事業に進出して、自社にはない他社の「最新技術」や長年の営業で蓄積された「熟練の技術」を獲得することで、新規事業進出におけるリスクを避けることや事業が軌道に乗る時間短縮をすること。

事業買収を行う方法と注意点

事業買収には主に3つの方法があります。

■国が運営している「事業引継ぎ支援センター」に相談する方法
主に後継者不足の中小企業と創業希望の個人をマッチングする「後継者人材バンク」を運営しているので、活用すれば優良な事業を買収できる可能性があります。
注意点は、公的機関のため、かゆい所に手が届くようなサポートがない点です。

■銀行・証券会社・弁護士等に相談する方法
普段からの付き合いもあり、自社の経営状況をよく知っているため相談しやすいでしょう。注意点は、事業買収の専門ではないためネットワークが弱く、希望に合う企業(事業の売却を考えている企業)が見つかりにくい点です。

■民間のM&A仲介会社に依頼する方法
民間のM&A仲介会社は、幅広いネットワークで相手先を見つけることができ、初期段階の相談からM&Aの成立にわたって専門的なアドバイスを得られます。そのため、成約までの期間が短くなり、M&Aが成立する確率が高まるでしょう。
注意点は、普段からの付き合いがないため、自社の経営状況や課題を理解し、適切な相手企業とのマッチングを行ってくれる仲介会社の見極めに時間を要する点です。

事業買収の手続きと注意点

民間の仲介会社に依頼する標準的な事業買収手続きについて解説します。

手続き

①買収希望事業条件を提示
買収希望事業の「規模・業務内容・買収費用・自社」の企業概要などを仲介企業に提示します。
②該当企業情報提示
仲介会社より、希望条件に合う複数の売却希望企業から事業の概要(収益状況・業種・所在県など)を匿名で提示を受け、次に進む企業を判別します。
③秘密保持契約書を結ぶ
仲介会社と秘密保持契約書を結び、事業売却希望企業の詳細情報の提示を受けます。秘密保持契約書を結ぶことにより、売却希望企業の秘密保持に対する責任を負うのです。
④売却希望企業と交渉
仲介会社を通じて、お互いの条件提示などを行い、具体的な事業買収の話し合いに入ります。相手企業の情報を詳細に調査する手続きも並行で進めます。
⑤株主総会を経て最終合意
全事業を譲渡してもらう時には株主総会の特別決議を得る必要があります。

注意点

①事業譲渡
事業譲渡では、買収した事業の債権・債務、雇用契約は買い手側が再度個別に契約しなおす必要があるため、多大な手間が掛かります。
②株式譲渡
株式譲渡では、簿外債務や不要資産ごと買い取ることとなりますので、重大なリスクを抱えることもあります。
③のれん
のれん(ノウハウや将来性、ブランド力などの無形資産)を買収金額に上乗せすることが多いですが、のれん代は毎年減価償却費として費用計上します。そのため、償却費を上回る利益が出なければ費用が利益を上回り、経営が悪化する恐れがあります。

友好的・敵対的事業買収の違い

■友好的買収
友好的買収とは、買収側と売却側の会社間の合意があって実施する買収のことで、ほとんどの事業買収は友好的買収です。
株式譲渡や第三者割当増資、事業譲渡といった手法を買収先企業の経営陣の同意を得て行います。

■敵対的買収
敵対的買収とは、買収対象となる会社の同意を得ずに買収を仕掛けることです。公開買付(TOB)という手法で、議決権行使できるまで発行株式を取得し、経営権の取得を行います。

終わりに

事業買収は経営権や事業を獲得するM&Aの一つであり、シナジー効果や事業基盤の強化が目的で行います。具体的に進めるとなると、法的な知識や専門知識が必須となるので、買収を検討されている方はM&Aアドバイザー、弁護士などの専門家ともに進めることをおすすめします。

PROFILE

善木 誠

岡山県岡山市在住でビジネスコンサルタント(株式会社スコーレメディア代表)として小規模事業者向けの経営コンサルタントをしています。
[資格]働き方改革マスター、個人情報保護審査員、経営士

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