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新設分割の手続き方法について! スケジュール設定から全体の流れまで解説!

新設分割の手続き方法について! スケジュール設定から全体の流れまで解説!

会社分割とは、会社が事業に関して有している権利義務(資産、負債、契約関係など)の全部または一部をほかの会社に継承させる行為のことで、M&Aで使われる手法です。
会社分割には、2通りの手法があります。1つ目は“吸収分割”といい、事業や権利義務の一部が既存の会社に吸収されるものです。そして2つ目が“新設分割”です。いずれも手続きの方法などについては組織再編行為として会社法で定められています。

今回は新設分割について、手続き方法や分割計画の設定など、全体の流れを解説していきます。

新設分割とは?

新設分割とは、会社が持つ事業の権利義務の一部あるいはすべてを新設した会社に承継させる行為です。わかりやすく言うと、分割会社の中にある事業を独立させて別会社化するということです。
継承した対価の受取先の違いによって、物的新設分割と人的新設分割の2つに分けられます。(吸収分割にも物的分割と人的分割があります)
物的新設分割とは、会社分割を行った際の対価を「事業や権利義務を譲り渡す会社(分割会社)」が受け取る方法で“分社型新設分割”とも呼びます。
人的新設分割とは、会社分割を行った際の対価を「分割会社の株主」が受け取る方法で“分割型新設分割”と呼ぶこともあります。

新設分割手続きの内容について

新設分割手続きの内容について、大まかな流れを時系列で見ていきます。手続きをするにあたり、会社の登記日から逆算したスケジュールの設定を行うことで、効率よく準備を進めることが可能となります。

新設分割手続きの流れの一例

①新設分割計画書を作成する
新たに設立する会社(新設会社)の目的、商号、所在地、定款に記載する事項、新設会社へ分割する資産や権利義務に関する事項などを決めます。

②取締役会の決議
取締役会を設置する会社では、作成した新設分割計画書について取締役会で承認を得なければなりません。

③必要書面の備置
分割会社は書面の備置開始日(会社法第803条2項参照)から新設分割設立会社の成立日後の6カ月を経過するまで、一定の事項を記載した書面または電磁的記録を分割会社、会社設立後の新設会社の本店に備え置きます。

④債権者保護に関する手続き
分割会社は債権者に対して新設分割の実施を公告する必要があります。原則として官報にて行い、かつ知られている債権者には個別に催告しなければなりません。
定款所定の日刊新聞または電子公告を官報のほかに行う場合は、個別の催告は不要です。しかし、分割会社の不法行為債権者に対しては個別の催告を省略することはできません。債権者より新設分割の実施に対して異議申し立てがあり、成立した場合には期日前であっても履行(弁済など)をしたり、担保を供与したりする義務があります。

⑤労働者への通知や協議を行う
分割会社は、新設分割によって労働条件がどのように変化するかなどを一定の期限まで(株主総会の2週間前の日の前日)に労働者や労働組合への通知及び協議を行います。

⑥株主総会における新設分割実施の承諾を得る
分割会社は、新設分割の登記を行う前に、株主総会にて分割計画書に関する特別決議を行わなければなりません。原則、株主総会の2週間前までに招集を通知する必要があります。株主総会の際に新設分割に反対する株主がいた場合は、対象株主に株式買取請求権が与えられます。なお分割する資産の帳簿価格が、分割会社の総資産額の5分の1以下である場合は、株主総会の手続きは不要です。

⑦会社の登記
登記申請は、分割会社(変更登記)と新設会社(会社設立登記)を同時に行わなければなりません。
新設分割の効力発生日は登記申請を完了した日と同日です。

⑧事後開示書類の備置
登記手続き完了後、一定の事項について記載した書面または電磁的記録を作成し、効力発生日から6カ月の間、分割会社、新設会社それぞれの本店に備え置きます。(会社法811条2項)

新設分割のスケジュール設定

ここでは10月1日を効力発生日とした場合の設定でスケジュール例を示します。なお、スケジュールはあくまで目安であり、トラブルなど諸事情により時期が前後することもあります。

手続きの内容
新設分割計画書の作成開始:8月1日
取締役会の決議:8月15日
必要書面の備置:8月16日~翌年4月1日
債権者保護手続き:8月16日~
労働者への通知や協議など:8月16日~9月9日
株主総会招集及び新設分割会社に関する株主への通知:9月5日
株主総会の実施:9月24日
会社の登記(効力発生日):10月1日
事後開示書類の備置:10月1日~翌年3月31日

まとめ

以上、新設分割の手続き方法やスケジュールの設定に関して説明しましたが、詳細はケースバイケースのため、すべての対象会社が上記の手順等にあてはまるとは限りません。実務の流れを理解することは必要ですが、実際の手続きにあたっては、専門家に相談することを検討しても良いでしょう。

PROFILE

FP・社会保険労務士 木村政美

2004年に、行政書士・社会保険労務士・FP事務所の「きむらオフィス」を開業。2017年より、ダイヤモンドオンラインにてコラム連載を持つ。年金や個人のマネープランの相談・講習、企業向けのメンタルヘルス研修など幅広い分野で活動している。

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