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事業承継の手続きを徹底解説! 法人・個人別の手続きを紹介します

事業承継の手続きを徹底解説! 法人・個人別の手続きを紹介します

近年、事業承継を行う体制を整えることができないという理由で、“業績が良いのに廃業をしてしまう” といった中小企業の数が増加していることが社会問題化しています。

事業承継を実現させるためにはいくつもの課題を乗り越えていかなければならず、中小企業にとってハードルの高いことが原因です。

事業承継の必要性について

どの企業にも、高齢化などによって現経営者が中心となった経営を行えなくなる時期が来ます。それに対して企業が廃業という選択肢を選んだ場合、次のような社会的損失が生じてしまいます。

・従業員の雇用が失われてしまう
・必要としている企業や消費者に対するモノやサービスの供給が止まってしまう
・仕入先の販売機会が失われてしまう
・国や地方自治体に対する納税機会が失われてしまう

このような事態を引き起こさないために、企業が確実に事業承継を行い、存続すべき企業が存続していくことのできる社会環境を整える必要があります。

法人(親族内・親族外承継)における事業承継の手続き

法人企業の事業承継は、次の手順で進めていくことが一般的です。

Step1:後継者選び、後継者との合意形成
Step2:事業承継計画の作成
Step3:後継者の育成
Step4:関係者への周知
Step5:後継者への株式移転、個人保証や担保の引き継ぎ
Step6:事業承継に関する最終決定

①後継者選び、後継者との合意形成
現経営者が事業承継を行うことを決断した場合、まずは誰に継がせるのかを決定します。
後継者選びとは、現経営者が“最も事業を継がせたいと思う相手を選ぶ”ことです。
後継者を選んだ後は、後継者との間で事業承継を行うことについての合意を形成します。
事業承継は、現経営者と後継者による協力関係がないと進められないからです。

②事業承継計画の作成
後継者との合意形成が得られた後は、現経営者と後継者とが協力して事業承継計画を作成します。
事業承継計画の作成は、事業承継を実現させるために“どのような順序”で“どのような時期”に“どのような取り組み”を行うのかを可視化するために行われます。
事業承継を実現させるためにはいくつもの課題を乗り越えていかなければならず、計画的に対応していく必要があるからです。一般的に、5年から10年程度の期間で計画を作成します。

③後継者の育成
現経営者と後継者が共に納得する事業承継計画を作成した後は、後継者の育成を行います。将来的に事業の経営を任せることになるため、後継者が経営者としての資質を兼ね備えることのできるように育成しなければなりません。
育成方法は、現経営者による指導や社外機関を利用した教育を行うことが一般的です。
育成した結果、現経営者が“後継者は経営者としてふさわしくない”と判断した場合は、新たに後継者選びを行う必要があります。
経営者としてふさわしくない人間が事業を引き継ぐことで、事業承継後の経営が立ち行かなくなってしまうためです。

④関係者への周知
後継者を育成することで現経営者が“後継者は経営者としてふさわしい”と判断した場合は、事業承継を行うことを株主や従業員、取引先、金融機関などに周知します。
事業承継が行われることへの不安を払拭し、事業承継後も引き続き良好な関係を保つために、事業承継の内容に対する理解を得ることが目的です。
親族外承継を行う場合は、株式を保有する親族、あるいは現経営者の株式を相続する権利のある親族の理解を得ることも重要です。
株主としての権利を行使されることで、後継者が行う経営を妨害されないようにするためです。

⑤後継者への株式移転、個人保証や担保の引き継ぎ
事業承継に対する関係者からの理解が得られた後は、事業承継後に後継者が必要な株式を保有するための株式移転や、金融機関に対する個人保証や担保の引き継ぎを進めていきます。
株式移転に関しては後継者が全株式の3分の2以上を保有することが望ましいのですが、最低でも50%以上を保有できるように計画的に進める必要があります。
個人保証や担保の引き継ぎは金融機関との話し合いになりますが、引き継ぎを認めてもらうためには、後継者が実績を積むことで経営者としてふさわしいと判断してもらえる状況を作ることが重要です。

⑥事業承継に関する最終決定
後継者への株式移転、個人保証や担保の引き継ぎの目途が立った後は、事業承継を行うことに対して、現経営者が最終的な決断を行います。
現経営者の中に未練が残ることで事業承継後の経営に混乱をきたすことのないようにするためにです。
現経営者と後継者との間で、事業承継後の役割分担などについて話し合う必要もあります。

個人事業における事業承継の手続き

個人事業の事業承継は、次の手順で進めていくことが一般的です。

Step1:後継者選び、後継者との合意形成
Step2:事業承継計画の作成
Step3:後継者の育成
Step4:関係者への周知
Step5:後継者への事業用資産移転、個人保証や担保の引き継ぎ
Step6:事業承継に関する最終決定
Step7:各種名義の変更
Step8:開廃業手続

Step1からStep6までの流れは法人における事業承継の手続きと同様なのです。ただし、Step4の関係者への周知とStep5に関して、株式ではなく事業用資産の移転についての対応を行わなければならない点は異なります。

④関係者への周知
個人事業の場合は、現経営者との付き合いという形で取引関係が形成されています。そのため、取引先に対する周知を行う場合は「事業を継続させていきたい」という現経営者の思いを取引先に理解してもらえるよう対応をしなければなりません。

⑤後継者への事業用資産移転
事業承継後に後継者が中心となった経営を行っていくために、不動産や機械設備、商品などの事業用資産の所有権を後継者に移転する必要があります。移転は、“売買”“贈与”“相続”のいずれかの方法で行うのが一般的です。

⑦各種名義の変更
個人事業では、取引先との契約や不動産などの賃貸借契約を現経営者の個人名で行っているため、それらの名義変更を行わなければなりません。
従業員を雇用している場合は、現経営者との雇用契約を解除したうえで、新たに後継者との雇用契約を締結します。

⑧開廃業手続
事業承継を実行する段階においては、”現経営者が個人事業の廃業届出書を事業承継日から1カ月以内に提出”、”後継者が個人事業の開業届出書を速やかに所轄の税務署長に提出”、という手続きが発生します。

事業承継をスムーズに進めるためのポイント

事業承継をスムーズに進めるためのポイントは、“計画的に行うこと”と“現経営者と後継者の共同作業で対応すること”の2点です。

①計画的に行うこと
事業承継を実現させるためにはいくつもの課題を乗り越えていかなければならないので、行き当たりばったりの対応をしてしまうとあちらこちらで混乱が生じてしまい、収拾がつかなくなってしまいます。
よって、しっかりとした計画を持ったうえで順序良く対応していくことが重要となります。

②現経営者と後継者の共同作業で対応すること
事業承継は、現経営者と後継者が一心同体となって対応しないと良い結果を残せません。うまく協力できていないと、周囲からの理解も得られにくくなります。双方が理解、納得した形で進めていくことが重要となります。

まとめ

事業承継は、いくつもの課題を乗り越えた末に実現されるものです。時間的な余裕を持ったうえで計画的に対応していくことが求められます。

PROFILE

大庭経営労務相談所 代表 大庭真一郎

東京生まれ。
東京理科大学卒業後、民間企業勤務を経て、1995年4月大庭経営労務相談所を設立。
「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心として、企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。中小企業診断士、社会保険労務士。

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