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ベンチャーキャピタルからの資金調達! 事業計画書の上手な作り方

ベンチャーキャピタルからの資金調達! 事業計画書の上手な作り方

近年、事業の成長に必要な資金をベンチャーキャピタルから調達し、将来株式上場を目指すベンチャー企業やスタートアップ企業が増えています。

ベンチャーキャピタルから資金調達する目的

ベンチャーキャピタルは、高成長が期待できる未上場企業に出資します。出資先企業が株式上場を果たした場合に出資により手にした株式を売却し、元の出資額と上場後の売却額との差額(キャピタルゲイン)を得ることを目的としています。
出資という形式を取るため、資金調達後の返済は必要ありません。
加えて、経営に関するノウハウや事業提携が可能な企業情報などを得ることもできます。事業の実績や担保、保証能力のないベンチャー企業やスタートアップ企業にとっては魅力的な資金調達先となっています。

ベンチャーキャピタルから資金調達する際に必要な資料

ベンチャーキャピタルは、将来株式を上場できる期待が持てるかどうかで出資の判断を行います。そのために、以下のようなことを確認します。

・事業の目的が適切であるかどうか
・きちんとした経営基盤が存在するかどうか
・事業成長への道筋が描けているかどうか

ベンチャーキャピタルから要求される資料の内容はケースバイケースですが、一般的に以下の資料提出を求められます。

・事業内容が分かる書類(定款、会社案内など)
・企業概要が分かる書類(組織図、役員経歴書、株主名簿、登記簿謄など)
・財務情報が分かる書類(決算書、税務申告書、資金繰り表など)
・事業に関する重要な契約書類
・事業計画書

事業計画書でチェックされるポイント

事業計画書は、相手に対して自社がまともな経営を行っている企業なのだという信用を与えたうえで、事業成長への期待を抱いてもらうために作成するものです。
そのため、以下のようなことがチェックされます。

・しっかりとした考え方と認識のもとで事業が行われているか
・明確で根拠のある事業の目標が存在するか
・目標を実現するための適確な戦略や体制が存在するか
・限界を感じさせない事業であるか

①しっかりとした考え方と認識のもとで事業が行われているか
出資をする時点では出資先企業には事業の実績がなく「海の物とも山の物ともつかない」状態にあります。
そのような中で、出資を考えさせるためには、出資先企業の事業内容に共感してもらうことが必要です。
共感によって、出資先企業の将来に賭けてみようという決断へとつながっていきます。

②明確で根拠のある事業の目標が存在するか
事業内容への共感を得られても、事業を成長させる道筋が見えていないと株式上場への期待は持ってもらえません。
どのような道筋で事業が成長していくのかの根拠が可視化されることで、将来の株式上場が現実味を帯びてきます。

③目標を実現するための適確な戦略や体制が存在するか
事業を成長させる道筋が明らかになっても、実行力を伴わなければ絵に描いた餅となります。実行力というのは、道筋を正しく進んでいくための考え方や道標、パワーのことであり、それらを具体化したものが戦略や事業の体制です。

④限界を感じさせない事業であるか
ベンチャーキャピタルが出資する目的は、出資先企業が株式上場を実現し、それによりキャピタルゲインを得ることです。よって、どこかに限界を感じてしまう事業であった場合、株式上場への期待は持てません。
株式上場は、不特定多数の投資家が事業に対する魅力を感じて成長への期待を抱くことで果たせるものだからです。

ポイントを抑えた事業計画書の作り方

事業計画は、以下のような構成で作成することが効果的です。

・事業目的
・事業内容
・事業目標
・事業分析
・事業戦略
・事業体制
・資金計画

①事業目的
世の中のどのような課題やニーズに対して、どのような解決を実現するために事業を行うのかを記します。その内容が明確で理路整然としていれば、事業内容に対して共感を得られやすくなります。
さらに、長期的な視点で事業のビジョンが示されていれば限界を感じさせることもありません。

②事業内容
どのようなモノやサービスを、どのような顧客に対して、どのような方法や形で提供するのかを記します。
ここで重要なことは、顧客の認識です。
事業目的の内容と整合性のある、“顧客が抱えている課題やニーズが解決される”、ということを示せば、事業成長への期待が高まります。

③事業目標
どのような結果を目指して事業を行うのかについて、短期的な視点と中長期的な視点から明確な目標を記します。
目標には、事業規模などを表す数値的な内容と状況の変化などを表す非数値的な内容があります。

④事業分析
事業に関係する市場の構造や競合相手の内容、今後の事業に影響を与える環境要因などを分析し、認識した内容を記します。それが事業目標の根拠になります。

⑤事業戦略
競合相手との競争に打ち勝ち、市場や顧客が拡大し、売上や利益が伸長していくストーリーと根拠を具体化し記します。

⑥事業体制
事業戦略を実践していくために、どのような体制を組むことができるのかを記します。
社内の組織やメンバーのスキル、社外機関との連携、マネジメントの仕組みなどについてです。

⑦資金計画
どれだけ素晴らしい考え方や戦略があったとしても、資金が底をついてしまうと事業は継続できません。
そうならないように、企業は利益を確保し、必要に応じて資金調達を行い、資金を的確に回転させるための管理を行います。それらの内容を可視化し記します。

まとめ

経営にはスピードが必要です。事業実績の乏しいベンチャー企業やスタートアップ企業がいち早く着実に事業成長していくためにベンチャーキャピタルから支援を受けるという選択肢は、有効な手段です。

PROFILE

大庭経営労務相談所 代表 大庭真一郎

東京生まれ。
東京理科大学卒業後、民間企業勤務を経て、1995年4月大庭経営労務相談所を設立。
「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心として、企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。中小企業診断士、社会保険労務士。

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