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個人が会社買収を行う場合に知っておくべきこと

個人が会社買収を行う場合に知っておくべきこと

会社買収(M&A)は企業がおこなうことであると思われるかもしれません。

しかし最近では、後継者不足や事業再建などを理由として、個人のM&Aも活発化しています。

さらに、個人といっても資産家だけでなく、会社員が会社買収をおこなうケースも増加しています。

今回は、個人が会社買収をおこなうときに必要な知識をわかりやすく解説します。

そもそも個人が会社買収をおこなえるの?

近頃、後継者不足や産業構造の変化などにより、売却をしたい小企業が増えています。

そのため、個人(個人事業主、会社員)でも、300万円~1000万円程度の低額で会社を買収することが可能です。

特に、インターネットの普及により、「ECサイト」や「アフィリエイトサイト」を個人で運営している方がサイトを売買する事例が増加しています。

会社員などが副業としてサイト運営を始める場合、売り上げが出てくると税金対策や社会的信用のために法人化することがよくあります。

しかし、法人化すると副業としておこなうことが難しくなるため、サイトを売却したり、ほかのサイトを購入したりして、規模を大きくすることが一般的です。

インターネット上でも売買ができるサービスが出ており、買収金額を用意できれば、飲食・小売などの事業に比べ、「ECサイト」や「アフィリエイトサイト」などのインターネットサービスは、個人でも買いやすくなっています。

個人で買収する場合の大まかな流れ

1.買収先を探す

1-1.公的支援センターに相談

全国に設置されている「事業引継ぎ支援センター」でM&A案件の相談ができます。

この支援センターは、2011年に経済産業省が後継者不足や事業承継の相談を目的に全国に設置しました。

後継者不在の中小企業経営者のために作られた公的なサポートセンターですが、地域によっては、後継者がいない中小企業と買収したい企業や個人とのマッチングをおこなっています。

1-2.M&A仲介会社の利用

M&A仲介会社は買収側と事業譲渡側の間に入って交渉しますが、手数料が高額であり、依頼者は大企業や中堅企業が多いです。

個人のM&Aでは資金がかかりすぎるため、サポートしてもらうのは難しいかもしれません。

1-3.マッチングサイトの利用
ネット上にはM&Aマッチングサイトが多くありますので、利用するのも良いでしょう。

M&Aサイトとは、事業の売り手と買い手の両者(社)が希望する条件を登録し、その条件をもとにサイト運営のM&A仲介業者がマッチングさせてくれるものです。


2.M&Aアドバイザーと交渉を進める

2-1.企業名を伏せた資料で検討

企業名は無記名で、業種や規模・エリア・収益・譲渡理由などを記載した資料で提案をもらい、自社の希望に合うかとメリット・デメリットを検討します。

2-2秘密保持契約を結ぶ

無記名資料での検討の結果、M&A案件を進めたい場合は、秘密保持契約を結び、詳細な資料を受け取ります。


3.経営者面談

売り手側の経営者と買い手側の経営者による面談をおこなって信頼関係を構築することは、M&Aにおいて重要です。ビジネスライクの交渉だとM&Aは難しいでしょう。

売り手側は愛着のある会社や事業をゆだねるのですから、信頼のおける経営者・企業でないと交渉は成立しません。

双方が納得するまで数回~数十回、何度も会談をおこなう必要があるのです。


4.契約交渉
最終交渉でおこなうのは、買収価格・従業員の処遇・譲渡企業経営者の処遇や契約の時期などの取り決めです。

M&Aアドバイザーが代行する場合もあります。

会社買収時に必要不可欠な手続き

1.所管税務署への手続き

個人事業の買収においては、継続的に営業をする場合でも、前経営者が事業を辞めることになります。

<事業を売る側>
・「個人事業の開業・廃業等届出書」を“廃業”として提出
・青色申告をしている場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出
・1年間の所得税額が15万円を超える場合は「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」を提出

<事業を買う側>
・「個人事業の開業・廃業等届出書」を“開業”として提出
・「青色申告承認申請書」も一緒に提出

2.法務局への手続き
・屋号を変更する場合は新しい屋号を届出する
・屋号を変更しない場合には届出は不要

買収後に押さえておくべき税金のこと

個人事業主の事業を買収することは営業権の買収になります。

飲食店や小売店などで問題になるのが、不動産などの事業用資産も譲渡してもらうことです。

譲渡が有償か無償かで税金が変わります。

有償の譲渡
不動産などの事業用資産の価値より高い譲渡金額を払った場合は、資産価値と支払額との差額に比例して所得税が発生します。

無償の譲渡
無償で譲渡してもらえば資産贈与となり、買収側に贈与税がかかってきます。しかも、贈与税は税率が高い累進課税で、納入は現金です。

まとめ

個人でも買収はできますが、経営ができるかは別問題です。

倒産してしまっては買収資金や買収に要した費用・時間が無駄になりますので、経営者として運営ができる事業かどうかを見極めるようにしましょう。

PROFILE

善木 誠

岡山県岡山市在住でビジネスコンサルタント(株式会社スコーレメディア代表)として小規模事業者向けの経営コンサルタントをしています。
[資格]働き方改革マスター、個人情報保護審査員、経営士

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