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できるかどうか?で考えない。女装専門の美容家『女装士』保志エリカの勝算

できるかどうか?で考えない。女装専門の美容家『女装士』保志エリカの勝算

『女装士』という職業があること、皆さん知ってますか?

ちなみにこの記事を書いている僕自身も、取材先としてアントレ事業部から打診をされるまで全くしらない業種?でしたし、なんなら「知らなくていいや」くらいに思っていた世界(女装クラスタ)でした。

が、まぁぜひ食わず嫌いをせずに以下を読んでみてください。

上記の美人さんがどれだけスゴイ人か、ニッチな市場でどうやれば勝っていけるのか。そして自分自身というプロダクトでマーケットに打って出るには、まず何から考え行動するべきなのか。

結構、メカラウロコな内容だと思いますよ。

1人の後ろにマーケットがある。日時まで決めた緻密な計画と決意

取材画像

―まずはよく聞かれると思うんですけど。なぜ女装専門美容家になろうと思われたんですか?

―保志
もともとは30歳の時に外資系コスメの日本1号店マネージャーとして、お店でメイクをしたり化粧品をオススメしたりしてたんですよ。

で、ある時男性が来店されたんですね。

―男性が?ですか?

―保志
ですです。で、私がメイクを担当していた時に、上司から言われたんです。

「店のイメージが下がるから男性に化粧をするのを今すぐやめろ」って。

私は『なんで?』となってしまって。なんでそんな指示を出すのか意味がわからず、そのままメイクを続けたんです。

後から考えれば、「化粧品売り場のカウンターはブランドにとって看板そのものだから見栄えが大事なんだろうな」ってのはまぁ理解はできたんですけど、やっぱりなんかちょっとモヤっとしたんですよね。

男性も化粧をするんだなっていう気付きと、きっとすごく勇気を振り絞ったんだろうな。という気持ちと。

でもブランド側はそれを素直に「良い!」とは言えないっていうなんとなくな気持ち悪さというか...。

―確かに。なんだかちょっとモヤっとしますね。

―保志
ですよね。で、改めて考えたんです。

きっと来店した男性は、相当の勇気をふりしぼって来た人なんだろう。で、実は勇気が出せないってだけで、彼のような人はもっとたくさんいるんじゃないか。

それって、もしかして誰も手を出せてない大きなマーケットなんじゃないか?なんて考えちゃったんですよ。

―すっごい視点ですね(驚)それで、会社を辞めて独立しようと?

―保志
いいえ。すぐに独立するんじゃなくてまず独立する日時を決めたんですよ。今の知識量から考えると~「5年後の35歳のこの日だな」って。

で、そこから必要な知識を学ぶために、高級化粧品会社へ売り方とか戦略を学ぶために転職し、次に肌とか髭のメカニズムを学ぶ為に美容機器メーカーへ転職。

それぞれの環境でのタイムリミットを決めて全力で吸収して...。

で、35歳の時に計画通り独立した感じなんです。

―日時から決める...ちょ、ちょっとスゴイですね。真似できないかも。

―保志
計画通り進めるチカラというか、間に合わなくてもいいから「この日までにやる」決めてしまうイメージですね。

  • ○○ができるようになったらやろう
  • ■■の知識がついたらやろう
  • △△の経験を積んだらやろう

とかやっちゃうと、とにかくダラダラ長くやろうとしちゃう。それよりは、とにかくギュッと濃縮して勉強した方が覚えるなって。

だから、たとえ35歳になってやりたいこと全部終わってなくても、絶対立ち上げてやろうと決意していたんです。

売ることを極めた先で、売ろうとしたのは『体験』だった

取材画像

―すごい決意ですね。しかし、それで35歳の時に女装専門美容家として独立されたわけですね。独立されてどうですか?

―保志
うーん。いままでは化粧品という「物」を売っていたんですけど、いま売っているのは、どっちかというと体験...なんでしょうね。

たしかに化粧品も売っているんですけど、その手前のメイクして綺麗になってもらうっていう部分に100%のチカラを使ってるんですよ。

売るという行為の手前に力をそそげば、そこから後は自然と売れるだろうと。欲しくなる前の体験に全力を注いだほうが楽しいんですよ。

―マネジメントも経験し、ビジネスマンとしても一級のスキルをもってるからこそ物を販売するのではなく体験を提供する方が面白いというわけですね

―保志
ですかね(笑)

結局落としちゃうメイクですけど、そこに全力で取り組むことによって綺麗になれたっていう記憶を持って帰ることができるんです。

しかもそれがココでしかできない体験だった場合、お客さんにとっての価値ってとても高いと思うんですよね。

自分にできるかどうか?ではなく「する」か「しない」で考える

取材画像

―体験に価値をつける...かぁ。確かに、それは事業の強みになりますね。

―保志
ですね。体験に価値をつけるというのは、事業をやりつつげる為にすごく重要なんですよ。

起業して失敗しちゃう人に多いのは、実は事業モデルとかやりかたではなく、そもそもの発想に問題があるケースが多いんです。

自分にできるかできないか?で「何を売るか」を決めてしまうので、競争に負けちゃうんです。

例えるならゴハン食べに行くのが好きだから飲食店できるかもみたいな、ダメそうでしょ(笑)

―それは確かにダメそうです(苦笑)

―保志
できるできないじゃなくて、「する」か「しない」で判断すること。

で、すると決めてから『じゃあ誰に何を体験してもらうのか』。言い換えれば『どんなシチュエーションの人に価値を感じてもらうのか』を突き詰めていく。

そこに自分自身の「失敗」を重ねて強みを作っていけばいいんです。

―失敗?成功の体験...ではなく?

―保志
そう。失敗。

人間、成功した経験ってあんまり正確に覚えてないんです。どうしても盛っちゃうから。

でも、失敗した経験は正確に覚えてる。つまり客観的に「課題」を見つめることができるんですよ。

ビジネスって結局なにかしらの課題解決じゃないですか? 私の場合はそれが『女装癖の男性の化粧をやめろと言われたこと』でしたけど…

そういう失敗=課題に対する違和感みたいなものが、事業をやっていく上での強みだったりモチベーションになったりするんですよね。

―めちゃくちゃ心に刺さりました。保志さんの今後にとても興味があるのですが

―保志
実はまだちょっとナイショなんですけど、女装専門の通販を立ち上げている途中なんです。もちろん普通の通販じゃなくて、レンタル型の通販。月契約で借り放題みたいなやつです。

うちのお店に来れる人はいいんですけど、家から出れないお家女装をしている人ってものすごくたくさんいると思うんですよ。で、そういう人達は普通通販するしかないんですね。

でも、そういう人達は友人にも相談できないでしょうし、もちろん女性服のサイズ感なんてわからない。

肩が入らないとかウエストがキツいとかウィッグとかもかぶってみないとわからないじゃないですか?だから、レンタル出来て着れる事がわかってから買えたらいいんじゃないかなって。

取材画像

―なんと。ニッチマーケットのさらに奥にいる潜在層や表立って言えない層に思いっきり刺さりそうですね。それ。

―保志
でしょ?すごく面白いと思うんです。

まだまだやりたいことだらけですし、私の未来日程はガンガン新タスクが入っていってる真っ最中なんです。

いつか、かつてのオタク文化が日本の文化として浸透したように。女装男子も一つの文化として広めていくことができたら。

きっと、男性がなんの気兼ねもせずにデパートの美容ブースに行ける日も来ると思うんですよ。

私は、そんな未来の文化を作ってみたいんです。

まとめ(というかなんというか)

さて、いかがでしたでしょうか?『女装』というマーケットに対する認識、結構変わりましたよね。

保志さんの夢と野望がまぶしすぎて、格好良すぎて、正直もう取材陣メロメロでした。

実は上記以外にも、尺の都合でカットされた20代の頃のホテル勤務時代エピソード(新卒就職 ⇒ マネージャー昇格 ⇒ 女性差別な業界で奮闘)なんかもあったりするんですが、こちらもなんとかどっかで記事にしたい…。という熱いストーリーがあったり…。

わざわざ仕事の時間を割いてまで時間を作ってもらった僕たち取材陣に対しても、飲み物から部屋の温度から、BGMまで(取材陣の年齢に合わせて世代バッチリな懐メロをかけてくれてました)と、気にかけてくださった保志さん。

とりあえず、原稿上がったら一回飲みに誘おうかと思います!

色々ありがとうございました!

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