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司法書士の独立は稼げるのか?年収と働き方、独立開業の準備まで徹底解説

司法書士の独立は稼げるのか?年収と働き方、独立開業の準備まで徹底解説

司法書士は、司法書士法に基づいた国家資格で、暮らしの法律家とも呼ばれます。
「書士」と名が付くだけあって、登記・供託また裁判所等に提出する書類の作成や、その手続きの代理が主な仕事です。

これらの書類作成は、司法書士だけが許されている独占業務のため、人気の高い資格となっています。なお、無資格で行うと罰せられてしまうものです。

また、開業時の初期費用も少なく、比較的、独立がしやすい資格といわれています。オフィスとするのは自宅・テナントでも大丈夫ですし、まとまったお金をどこかに預ける必要もありません。各都道府県にある司法書士会経由で司法書士名簿に司法書士として登録が完了したら、司法書士としての業務ができるようになります。

本記事では「司法書士はどれぐらいの年収を見込めるのか」「司法書士として成功するためのポイントは何か」などを紹介していきます。

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司法書士の年収

法務省が公開している「令和4年度司法書士試験の最終結果について」という資料を参考に司法書士の合格率を見てみると、その合格率はわずか5.2%、ここ数年は毎年5%前後と狭き門となっています。

また、相対評価で合格者が決まるため、全体のレベルが高い年であれば、平年並みの成績でも不合格となることがあります。

難しい司法書士試験に合格したのであれば高収入を期待したいところですが、実際の司法書士の年収はいくらくらいになるのでしょうか。

日本司法書士会連合会が発行している「司法書士白書 2021年度版」を参考に見ていきましょう。

司法書士の独立は稼げるのか?年収と働き方、独立開業の準備まで徹底解説
「司法書士白書 2021年度版」(日本司法書士会連合会)

このグラフは、勤務司法書士624人を対象に、平成31年1月1日~令和元年12月31日までの年収(賞与を含む)を聞き取りした結果です。

最も多いのが、300万円~400万円未満で全体の約21%、次いで400万円~500万円未満が約18.3%でした。

一方、この資料で、経費などを負担して事務所の経営にあたる人を経営者司法書士としていますが、経営者司法書士の令和元年度分の確定申決算書の金額「売上(収入)金額」は次の通りです。

司法書士の独立は稼げるのか?年収と働き方、独立開業の準備まで徹底解説
「司法書士白書 2021年度版」(日本司法書士会連合会)

このグラフで最も多いのは1,000万円~4,999万円で、全体の約35%という数字になっています。もちろん、個人事業主と会社員では年収の意味合いが異なりますので、一概にこの金額だけを参考にできるとは言い切れません。

しかし、多くは売り上げが1,000万円を何とか超え、そこから経費や人件費を引いて300万円から700万円ほどの年収といった司法書士が多いと思われます。

それを聞くと、合格率5パーセントほどの難関試験を突破したにもかかわらず、実入りが少ないと感じるかもしれません。ただ、独立して成功している司法書士も実際にいることも事実です。

参考にしたグラフを見ても、勤務司法書士で年収が1,000万円を超える人は、全体の約2.7%と経営者司法書士と比較した場合、とても少ないことが分かります。司法書士として独立・開業し、高収入を得ることも夢ではありません。

では、これから独立・開業して司法書士になるためにはどうすればよいのでしょうか。ポイントをいくつかご紹介していくので参考にしてみてください。

「令和4年度司法書士試験の最終結果」(法務省)

「司法書士白書 2021年度版」(日本司法書士会連合会)

(P.15、21より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります

司法書士としての働き方

独立・開業がしやすいとはいえ、資格取得をしてすぐに独立・開業するという司法書士はほとんどいません。司法書士としての実務経験を積みながらいずれ独立・開業をするという方が一般的です。では、司法書士としての働き方にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

司法書士としての働き方には次のようなものがあります。

1.司法書士法人で勤務する
2.個人の司法書士事務所や総合法人で働く
3.組織内司法書士
4.開業司法書士

それぞれについて解説します。

1.司法書士法人で勤務する

司法書士法人は、司法書士の法人形態です。収入が勤続年数にしたがって伸びていくケースが多いですが、収入の伸び率は一般の会社員と同程度というところがほとんどです。開業司法書士と比べると、収入の平均が劣る傾向にありますが、常に顧客を開拓しなければならないというプレッシャーは小さく、将来にわたって安定した収入を得られるというメリットがあります。

個人の司法書士事務所と比較すると、司法書士法人には案件が集まりやすく、案件の内容も多種多様です。収入アップというより、司法書士として色々な経験を積みたいという方におすすめの働き方の1つです。また、被雇用ならではの厚生年金や健康保険、有給など福利厚生面でのメリットもあります。

一定期間、司法書士法人に勤務をして実践経験を積みながら、独立・開業の準備を進める司法書士もいます。

2.個人の司法書士事務所や総合法人で働く

個人の司法書士事務所や総合法人で働くという選択肢もあります。個人の司法書士事務所に勤務する場合、経営者である司法書士との相性がとても重要になってきます。就業規則や有給休暇などが組織として整備されているか、自身の得意分野を伸ばし、キャリアアップに繫げることができるような場所であるか、などをしっかりと見極めましょう。

総合法人は、弁護士法人、税理士法人、司法書士法人、行政書士法人などさまざまな士業の人を集めた大規模な組織で、その名の通り総合的な案件に対応します。司法書士に特化した法人と比べると、より大規模で複雑な案件に携わる機会を得られるというメリットがあります。

3.組織内司法書士

組織内司法書士は、一般企業の法務部や総務部などに所属して、司法書士としての専門知識を活かして働くという選択肢です。

一般企業での勤務の場合は、法律に対する専門性に期待して司法書士の有資格者を採用します。司法書士としての執務能力というよりも、企業法務全般に対する知識や経験などを重視して採用を決める傾向にあります。企業規模にもよりますが、収入や待遇などは司法書士法人などと比べると好待遇になるようです。

4.開業司法書士

開業司法書士は、独立・開業した司法書士のことをいいます。この記事を読んでいるほとんどのみなさんが目指している、または検討している働き方でしょう。司法書士が独立・開業する理由は人それぞれですが、多くは収入アップやワークライフバランスを考えてのことではないかと思います。

司法書士に限ったことではありませんが、独立・開業のメリットの1つは、受注する案件の内容や報酬、稼働量などを自分で決められる点です。その分、案件を獲得するための営業活動から請求までバックオフィスの業務に関わること全てや、宣伝活動、そのほか経理や雑務に至るまでを1人で担わなければなりません。

司法書士は、専門性が高いことから独立・開業がしやすいというだけでなく、企業からの需要も高い傾向にある仕事です。焦らずに自分に合った司法書士としての働き方を考えてみてください。

独立・開業の準備

「やはり司法書士として独立・開業を目指そう」と気持ちが固まったら独立・開業へ向けて準備をしましょう。

【独立・開業の準備】
1.実務経験を積みながら人脈づくりをする
2.事業計画を立てる
3.司法書士会へ登録申請する
4.独立・開業を知らせる

1.実務経験を積みながら人脈づくりをする

司法書士は試験に合格すれば、すぐにでも独立・開業はできます。しかし、ほとんどの場合は、最低でも半年、できれば1年程度の実務経験を積みます。20代や30代であれば、開業資金を貯めながら2、3年ほど経験を積むのもよいでしょう。

また、実務経験を積みながら独立・開業後を見据えた人脈づくりをしておくことをおすすめします。人脈とはクライアントだけではなく、独立・開業はもちろん、その後の経営についての相談ができる司法書士仲間や経営者の先輩なども含みます。経験も人脈も独立・開業後のあなたを支えてくれるはずです。遠回りと思わずに、この時間を有効に使いましょう。

2.事業計画を立てる

独立・開業に向けて具体的な事業計画を立てましょう。例えば次のような内容です。

・開業時期・開業場所の検討
・開業に必要な資金やその調達方法
・開業後にかかる経費の算出 など

実際に独立・開業をしている人などから話を聞けるようであれば、開業資金や月々の経費などについて話を聞きながら計画を立てるとよいでしょう。

3.司法書士会へ登録申請をする

事務所の契約や什器設備の購入など独立・開業への準備が整ったら、司法書士会へ登録申請を行いましょう。

4.独立・開業を知らせる

独立・開業したことを知らせる挨拶状を送ったり、事務所をPRするためのホームページやSNSなどを作成したりして、自分が独立したことを、なるべく多くの人に知ってもらいましょう。

独立・開業に適した年齢と修行の期間

司法書士の仕事は不動産取引の立ち会いなど、クライアントと一度だけ面談するだけで終わり、といったことがよくあります。しかも面談もわずか1時間ぐらいです。限られた時間の中で司法書士としてのスキル、人間性などをアピールして“次に何かあったときに依頼してもらえるように”営業をする必要があります。

また、仕事を受ける際には、権利証、印鑑証明書、戸籍謄本など大事なものを預かります。大事な書類のやりとりをする必要があるため、社会人経験のあまり多くない20代前半といった明らかに年齢の若い司法書士にクライアントが繰り返し案件を持ち込んでくれる可能性はあまり高くありません。

「令和4年度司法書士試験の最終結果」によると、司法書士試験の合格者の平均年齢は40.65歳、「司法書士白書 2021年度版」によると司法書士会員の平均年齢は54歳と高い年齢層が多いことが分かります。

人を見た目で判断すべきではありませんが、業界に限らず、年齢を重ねた人の方が人生経験も豊富だから安心だと感じる人は少なくありません。そういった意味で見た目や経験というのもそれなりに大切といえます。独立・開業に適した年齢を一概にはいえませんが、ある程度の経験を積み、多少のことでは慌てず冷静に対処できるようになってからがよいでしょう。あくまでも一例のため、全ての取引先がそうとは限りませんが、自分が自信をもって判別できる知識や能力は独立を後押ししてくれるでしょう。

これは全ての士業に共通していえることですが、資格を取得して独立・開業したから「一生安泰」「何もしないでも仕事がくる」ということは絶対にありません。例えば、現代では司法書士の業務の土台となる民法・会社法をはじめ多くの法律が、頻繁に改正されますし、それに伴い新しい制度が次々に導入されています。裁判についても、時代の変化につれて多様な問題が取り扱われています。常に地道な勉強や営業努力をしていく必要があります。

「司法書士白書 2021年度版」(日本司法書士会連合会)

(P.35より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります

「令和4年度司法書士試験の最終結果について」(法務省)

意外とかからない開業費

独立・開業というと、気になるのは開業費用ではないでしょうか。冒頭でもお伝えしましたが、司法書士は「開業費用」だけ見ると、他業種と比べても決して大きな金額は必要ないといわれています。

ただし、開業時の事業規模によって必要な資金は大きく変わってきます。

まず、全ての人に共通するのが司法書士会への登録費用です。登録料に25,000円、登録免許税に30,000円、司法書士会への入会は都道府県ごとに異なりますが35,000~50,000円程度、必要となります。さらに司法書士会の登録後は、司法書士会の会費として月額25,000円程度が必要です。

そのほか、事務所を借りるのであれば物件にかかる費用、パソコンやプリンターといった備品、電話やインターネットなどの加入費や使用料、ホームページを開設するのであればサーバーを借りる費用などが必要です。

費用を極力抑えたいということであれば、自宅での開業を目指して、必要最低限の応接設備や一般的な事務機器を揃えれば開業することも可能です。その場合は、開業費用として最低でも50万円程度の準備があれば開業することが可能でしょう。

開業資金を用意する際に融資を検討しているという方は、民間の金融機関の前に「国民政策金融公庫」の融資制度を検討してみましょう。司法書士事務所の新規開業であれば、日本政策金融公庫の「創業支援制度」の融資条件を満たせるでしょう。返済条件も緩やかで、最大3,000万円までの融資を受けることが可能です。

独立・開業するまでにすべきこと、身に付けておきたいもの

司法書士事務所を経営していくためには、何より仕事を依頼してくれるクライアントが必要です。クライアントを獲得するためには、業務をこなすスキルは当然身に付けておかなければいけません。しかし、独立・開業にあたって大切なのは「何か1つの専門分野に強くなること」です。

どの業務もオールマイティにこなせることも大事ですが、クライアントの印象に残らない可能性があります。

例えば、「不動産登記を過去に数百件請け負ってきた司法書士事務所です」といったアピールをすると得意分野が分かりやすく、印象にも残りやすくなります。このように、司法書士としての自分をブランディングしていくことが大切です。

身に付けておきたいスキルとしては、「ブログやホームページ作成・運営」など集客ツールとなるインターネット関連のスキルはあった方がよいでしょう。

ネット社会の現代は、士業の事務所のホームページは名刺と一緒で、あって当たり前の時代です。ホームページのない事務所は、クライアントから不審に思われることがあります。独立当初の仕事が少ない時期に初期費用を抑えるためには、ブログ、ホームページ作成・運用、SEO対策に関する知識は身に付けておきたいところです。

司法書士以外の強みを身に付けて理想の働き方を目指そう

独立して司法書士事務所を開業することは、資格があれば誰にでもできます。ただ、司法書士としての仕事を継続していく、つまり事務所を経営していくためには、新規のクライアントを獲得し続ける必要があります。

司法書士に限らず、独立・開業には経営者としてのスキルも必要です。成功するためには「事務所を構える場所」や「どのようなブランディング戦略をしていくのか」といった事務所経営に関して、しっかりと考えておくことが大切です。

そのためにも、独立する前から遺言書作成や相続対策などのセミナーの講師を務めるなどして「知名度やスキルを上げておくこと」「人脈づくり」「専門分野へ特化すること」など「自分の強みをつくること」を意識しながらしっかりと準備をしましょう。

また、個人では扱うのが大変な案件が舞い込むこともありますし、金額の大きな裁判や、税務などは司法書士では扱えないものもあります。そのようなときのために、同業である司法書士の方とはもちろん、同じ地域の弁護士や税理士といった士業の人たちと互いに相談・協力できるようなつながりを作っておくとよいでしょう。

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PROFILE

西川ちづる

新潟市在住のフリーライター。元ダンサー。 子育てや美容系などtoCから、IT・ビジネス系などtoBまで幅広いカテゴリの記事を執筆。

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