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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第43回・カールとチョコフレーク

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第43回・カールとチョコフレーク

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

明治製菓の「カール」に続き、森永の「チョコフレーク」も販売を終了するというニュースがありました。こうした人気のお菓子が販売終了になる背景には、実は「あるもの」が影響していて、そのせいで市場が縮小してしまったといわれています。さて、その「あるもの」とは一体何でしょうか?

売れ行きが下がっていることが原因であることは間違いないわけです。では「どうして売り上げが下がったのか」を考えてみるのが、今回のポイントです。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

こどもだけでなく、大人でもついつい食べちゃうのが「お菓子」です。今まさに、何かをつまみながらこれを読んでいる…なんていう人もいるかもしれませんね。

どこのお菓子メーカーも、定番商品をつくることに必死です。そのため、いかにコンビニやスーパーの棚のスペースを確保して自社商品を並べるかが、メーカー担当者の重要任務となっているのは有名な話です。

そんな中で、定番商品としてこどもから大人にまで広く親しまれていた人気のスナック菓子「カール」が、東日本での販売を中止しました。そして先日も、「チョコフレーク」が発売中止を発表。「中止にするほど売れていなかったの?」と疑問に思った人も多かったのではないでしょうか。

確かに売り上げは下がっていたという報道もありましたが、実はこの2つの商品には、ある共通点があります。それが売り上げを下げる原因につながったのだというのです。

それでは解説します!

最近、コンビニでよく見かけるお菓子の中に、「手につきにくい」というジャンルのものが増えていることにお気づきでしょうか?

お菓子を食べる時に手がベトベトになることを嫌がる人が増えているからなのですが、その一番の原因が「スマホ」だと言われています。つまり、汚れた手ではスマホをいじれないので、できるだけ手が汚れないものを選ぼうとする人が多くなっているわけです。

チョコレートであっても、周りがきれいにコーティングされていて、持っても手につきにくい一口サイズのものが人気だとか。その点、「カール」も「チョコフレーク」も、食べるとそれなりに手がベトベトになります。その手でスマホをいじることにちょっとためらいそうです。

スマホの登場は、人々の生活をあらゆる面で変えました。いろいろなことがスマホ一台でできるようになり、便利で手放せなくなりましたよね。それは紛れもない事実です。

だからこそ、スマホが使えない状況をつくるものに対して、無意識のうちに「NO」といっているのかもしれません。手を汚すものには受難な時代であるというわけですね。

片手はスマホ、もう一方の手には何を持とう?

ここ最近リュックサックが流行っているそうです。確かにリュックを背負ったスーツ姿のビジネスパーソンをよく見かけますよね。実はこれもスマホの影響だといわれています。リュックだと荷物を手で持たなくてよく、両手が自由に使えます。だからスマホの操作がしやすいわけです。

お菓子やリュックの話からも分かるように、今の時代において、人間の手は「スマホ専用の手」になりつつあるようです。そして、「手がふさがっているかどうか」が様々なところに影響を及ぼしていて、ブームを生み出すきっかけにもなっているんだということです。

例えば、両方の手が自由に使えれば、片手にスマホ、片手にスターバックスのコーヒーを持って歩くことができます。コンビニのコーヒーもしかりです。ここにコーヒーがブームとなった理由の一端が見て取れそうですよね。スマホとドーナツという組み合わせはレアなことからも、コンビニのドーナツが流行らなかった理由が何となくわかります。

そして、この「スマホ専用の手」という話は、「Amazon」にも関係しているといわれます。

昔はよく、たくさんの荷物を両手で抱えて歩いている人がいましたよね。しかし、最近はそういう人を見かけることが減ったように思いませんか?

つまり、買い物は「Amazon」などのネットショップで済ませ、百貨店などで買い物をする場合も片手で済む程度の量にする…という人が圧倒的に増えているのです。ネットショッピングが普及した理由はもちろんそれだけではありませんが、スマホによる手の使い方の変化が、買い物の仕方にも影響を与えたのは事実なのです。

あなたのビジネスは大丈夫?

スマホの登場によって生活が便利になっただけでなく、経済循環が変わっているということが、今回の事例からもお分かりいただけたと思います。

全ての理由がスマホにあるわけではありませんが、スマホを手に持って操作するという習慣が、「流行り・廃り」も含めたいろいろなところに影響を及ぼしているのは間違いないでしょう。

ぜひ皆さんも、自分のビジネスが「手がふさがっているかどうか」に影響を受けていないかどうか、一度考えてみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「スマートフォン」でした。ちなみに、手がふさがる・手が汚れるという観点から、街中での食べ歩きの文化も影響を受けているといいます。ただ、一方では「インスタ映え」が理由で火がつくものもあるわけで、何がどういうきっかけでヒットするかは予測が難しいですね(笑)


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プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)。

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