これから独立開業する方に向けて、税金面で気を付けることについてプライムファイナンシャルパートナーズ会計事務所の菅 彰裕さんにお話を伺いました。菅さんは世界4大国際会計事務所のメンバーファームの1つであるPwC税理士法人を経て独立開業された税理士さんです。非上場企業から上場企業まで、幅広いクライアントの業務を担っている菅さんだからこそ知りうる税金の話をたっぷりお伝えします!
今回は、確定拠出年金についてご紹介します。
日本の年金制度
確定拠出年金に触れる前に、まずは日本の年金制度について説明します。日本の公的年金は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2種類あります。
国民年金とは、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人が加入する年金です。加入者(被保険者)は第1号、第2号、第3号と3種類に分けられます。
第1号…自営業者やその配偶者、20歳以上の学生など
第2号…厚生年金に加入する会社員や公務員など
第3号…第2号被保険者の配偶者、扶養されている20歳から60歳未満の人
また、日本の年金制度は3階建て構造といわれています。
1階…国民年金(基礎年金)
2階…第2号被保険者が加入する厚生年金、自営業者・フリーランスが加入する国民年金基金
3階…勤め先によってさらに上乗せされる企業年金(厚生年金基金や確定拠出年金など)や年金払い退職金給付
そしてこれらの年金制度に加え、個人として積み立てを行う「確定拠出年金」があります。
確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2種類ある
確定拠出年金とは、拠出額(掛け金)をあらかじめ定めて積み立てていく年金制度のことを言います。
そして、加入形態には掛け金を企業が拠出する「企業型年金」と加入者自身が拠出する「個人型年金(iDeCo)」の2種類があります。
<企業型年金>
*加入対象者
企業型年金規約の承認を受けた企業に勤務する従業員
*拠出限度額
1.厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合
55,000円/月(※規約において個人型年金への加入を認める場合、35,000円/月)
2.厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合
27,500円/月(※規約において個人型年金への加入を認める場合、15,500円/月)
<個人型年金>
*加入対象者
1.自営業者等(国民年金第1号被保険者)
2.厚生年金保険の被保険者(国民年金第2号被保険者)
3.専業主婦(夫)等(国民年金第3号被保険者)
*拠出限度額
1.自営業者等(国民年金第1号被保険者)の場合
68,000円/月 (※国民年金基金の限度額と枠を共有)
2.厚生年金保険の被保険者(国民年金第2号被保険者)のうち、
・厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合
12,000円/月
・企業型年金のみを実施している場合
20,000円/月
・企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合
23,000円/月
・公務員の場合
12,000円/月
3.専業主婦(夫)等(国民年金第3号被保険者)の場合
23,000円/月
独立して個人事業主になる方は特に「個人型年金」についてチェックしてみることをお勧めします。
参考:厚生労働省 確定拠出年金 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/
プライムファイナンシャルパートナーズ株式会社
税理士 菅 彰裕
業務内容は、オーナー企業の事業承継対策の検討、組織再編によるグループ会社の整理、事業承継のための株価対策、国内および国外のIPO支援、国内買収案件における税務デューデリジェンス、非居住者の国内投資にかかる税務コンサルティング、その他執筆サポートなど。