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個人事業主が支払う保険料は経費で精算することができるのか

個人事業主が支払う保険料は経費で精算することができるのか

個人事業主(自営業者)が支払う保険は大きく分けて2つに分類できます。

社会保険とその他の保険です。

その他の保険は、必要に応じて加入するかどうするか決めることができますが、

社会保険には一定の加入義務・条件があります。

ここでは個人事業主における社会保険の加入義務についてご紹介します。

個人事業主が入らなければいけない保険と年金とは

個人事業主の場合、国民健康保険と国民年金の2つに入る必要があります。

・国民健康保険(国保)
国民健康保険は、病気やけがをした時に給付が受けられるものです。

病院で診察を受けたときに窓口で支払う医療費負担額が3割になるというのが健康保険の一例です。

本人が出産した場合は、出産育児一時金(出産1人につき42万円)が支給されます。

個人事業主や年金受給者、扶養に入っていない家族、学生、無職の人が対象になります。

手続きは各市町村で行います。

保険料は、前年度の所得、年齢、家族構成などにより、各自治体によって異なります。

扶養の考えはないので、無職の家族もそれぞれ徴収されます。

・例外 国民健康保険組合に加入
国民健康保険組合は、業種ごとの組合が運営している健康保険組合です。

医師、弁護士、建設、土木などの業種別・地域別の組合があり、個人事業主で加入資格がある場合は国民健康保険組合が運営する国民健康保険組合に入る選択肢もあります。

保険料の計算方法が組合によって異なり、自治体の国保より安くなる場合もあります。

詳しくは国民健康保険組合のウェブサイトを参照ください。

・国民年金
60歳未満の個人事業主は、国民年金に加入します。加入資格や手続きは国民健康保険と同じです。

保険料は、毎年国で決められますが、平成30年度は16,340円(1カ月あたり)です。

まとめて前払いすると前納割引があります。

また、クレジットカード払いもできます。

・付加保険料
毎月400円の付加保険料を支払うことで将来受け取る国民年金の受給額を増やすことができます。

受給時は、生涯にわたり200円×付加保険料納付月数の年金額を上乗せして受け取ることができます。

個人事業主が社員(従業員)を雇用した時に入らなければならない保険とは

社員(従業員)を雇用したときの社会保険は、業種と社員(従業員)数によって異なります。

・健康保険(協会けんぽ)、厚生年金保険

家族従事者を除く社員(従業員)が5人未満の個人事業主は、協会けんぽや厚生年金保険の適用事務所でないため、社員(従業員)もそれぞれ個人で手続きし、国民健康保険、国民年金に加入します。

ただし、社員(従業員)の1/2以上が同意すれば、任意加入できます。任意加入する場合は個人事業主以外の全員が加入となります。

家族従事者を除く社員(従業員)が5人以上の個人事業主は、協会けんぽ、厚生年金保険の適用事務所になり、事業主と家族従事者以外は強制的に加入しなければなりません。

また、1週間の所定労働時間と1カ月の所定労働日数が社員(従業員)の3/4未満の人は適用対象外となります。

手続きは、社員(従業員)採用後5日以内に社会保険事務所で行います。

保険料は、社員(従業員)と個人事業主が折半します。

・労災保険、雇用保険

正社員、パート、アルバイトの雇用状態に関わらず、社員(従業員)を1人以上採用している事業所は、労働保険(「労災保険」と「雇用保険」の総称)に加入する義務があります。

労災保険料は全額会社負担、雇用保険は社員(従業員)と会社の双方が負担します。

個人事業主や家族従事者は対象外ですが、1人親方など事業によっては特別加入制度が適用されることになります。

なお、所定労働時間が1週あたり20時間未満の労働者は、雇用保険の対象外となります。

どちらも保険関係が成立した時から10日以内に手続きが必要ですが、先に労働監督基準署で労災保険の手続きを行い、その控えを持ってハローワークで雇用保険の手続きをします。

個人事業主が払う保険は経費で精算できる?

個人事業主が払う社会保険のうち、社員(従業員)に関するものは、法定福利費として経費になります。

個人事業主と家族従事者の社会保険料は、経費ではなく個人負担になります。

社会保険以外では、火災・自動車などの事業に関する損害保険料は経費にできます。

生命保険は一部の退職金積み立てなどを除いて経費にはできません。

まとめ

個人事業主は、自分で社会保険に加入し保険料を納めなければなりません。

従業員を雇えば従業員分の社会保険料の負担も大きくなるため、収入が安定しないうちは、その負担額が重荷になるかもしれません。

未加入や滞納の事業者に対しては罰則がありますので、資金繰り等には注意して滞納することのないようにしましょう。

PROFILE

経営コンサルタント 奥野美代子

外資系の高級消費財ブランドで、日本進出の子会社立ち上げから26年間マーケティングマネジャーとして、ブランドPR、販売促進、店舗開発、リテール支援を行うなど幅広い経験を持ちます。
独立後は、中小企業診断士とFPのノウハウを生かし、経営者の法人と個人の財務コンサルティングやリスクマネジメント、事業計画策定、マーケティング支援など幅広い支援を行っています。

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