企画。
企画とは、どんな事業でビジネスをするのかを考えること。独立・起業をするにあたり、最も重要なことの1つです。
独立に役立つ心理学シリーズ、今回内藤先生に伺ったテーマは、ズバリ「企画力」です。
人が興味を惹かれ、面白いと思う企画には、どのような法則があるのでしょうか?
これから事業の立ち上げを考えていらっしゃる方、必見の内容になっています。
人の心に刺さる企画とは、常識の枠から外れたもの
今回のテーマは企画力。
人の心に刺さる良い企画とは、人の好奇心を刺激して注目されるような企画です。言い換えると、人の記憶に残りやすい企画、といったところでしょう。
では、一体どのような企画が人の記憶に残るのでしょうか?
一般に、人の記憶に残りやすいと言われているのは、常識の枠から外れたものだと言われています。
例えば「美人なのに、モテる方法」という企画があったとしましょう。正直、普通すぎて全く響きませんよね?
「美人=モテる」という等式は、多くの人が納得する事柄、すなわち常識だからです。
一方で「美人ではない人でも、モテる方法」という企画はどうでしょうか?
先程の「美人」と対になる「美人ではない人」という言葉を聞いたら、一般的には「美人でない=モテない」という等式が成り立ちます。
にも関わらず「美人ではない人」が「モテる」のでは、等式が成り立たなくなってしまい、多くの人の頭に疑問符が残ってしまうのです。
「みんなが痩せたいなら、あえて太ってみる」
「みんなが右に行くなら、あえて左に行ってみる」
独立・起業を成功に導く企画の根本には、こうした発想が求められるので、日頃から意識しておくと良いでしょう。
投資家にあえて「損してみませんか?」と、提案する。「パンドラ効果」を使って、ファンを増やせ!
質の良い企画を煮詰め、いよいよ事業を立ち上げる、といったフェーズになった時にとても使える心理学のテクニックをお教えしましょう。
シカゴ大学のクリストファー・シー博士は、ノック式のボールペン10本と、2つの実験参加グループ(以下、AグループとBグループ)を用意しました。
Aグループには「10本のボールペンのうち、5本は軽い電気ショックが流れる」とアナウンスした後、4分間彼らに部屋で待機するように指示しました。
その4分間の彼らの様子を別室でモニタリングした結果、平均で「5.11回」ボールペンのノックを試しました。
一方、Bグループには「10本中10本全てが、軽い電気ショックが流れる」とアナウンスし、Aグループ同様、4分間彼らを部屋で待機させました。
その結果、平均で「3.04回」ボールペンのノックを試したのです。
この結果から何が読み取れるかというと、人は確実なものよりも、不確実なものに惹かれる傾向があるということです。
これを心理学では「パンドラ効果」と呼びます。
このテクニックは、自分の事業に投資してもらう時にも応用することができます。
おそらく多くの人は、投資してくれる人に対して「自分の事業はこれだけ儲かります」とアピールするのですが、ここはあえて「私の事業に投資して、一緒に損してみませんか?」とプレゼンするのもよいでしょう。
もちろん、事業内容をしっかりと練り、成功する算段も付けた上で、あえて「パンドラ効果」を使ったアピールをするのが前提です。
投資してくれる人を確実に「おっ?」と思わせられたら、その後のプレゼンがスムーズに進むのではないでしょうか。
予定調和を好まない。何が起こるか分からないから、おもしろい
ここまでご紹介してきたテクニックを、フル活用して大成功されている方といえば、秋元康さんが挙げられます。
この日本で、秋本さんほど卓越した企画力を持つ方は、そうはいらっしゃらないのではないでしょうか?
モーニング娘。やジャニーズグループなど「アイドルグループは少数精鋭」という、それまでの常識を大きく覆した、AKB48のヒットは記憶に新しいですよね。
2018年5月現在、AKB48には125人在籍し(研究生メンバーも含む)、その中でシングルの選抜メンバーの座をかけて行う「選抜総選挙」、じゃんけんでシングルの選抜メンバーを決定する「じゃんけん大会」。
これまでのAKB48が行ってきた企画をよく見ると、ファンならずとも注目せざるを得ないものばかりです。
秋本さんはよく「予定調和を好まない」と、おっしゃっています。こうした企画はまさに予定調和ではない、人の心に刺さる企画の本質だと思います。
常識を大きく覆すような企画が注目を浴び、大きくなっていく。
また「予定調和ではない、何が起こるか分からない」からこそ、秋本さんの企画に出資をする方や企業が多く存在しているのでしょう。
こちらも「パンドラ効果」を上手く使っていると言えます。
これから独立・起業をされる方は、ぜひ秋元康さんを始め、質の良い企画で成功された方を参考に、自分の事業へ活かしてみてください。
「気にしすぎ問題」から脱却するための、3つのスキル【独立に役立つ心理学・第10弾】
https://entrenet.jp/magazine/13916/
心理学者。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。
大学院在学中より専門の心理学を活かした執筆活動を開始し、卒業後に有限会社アンギルドを設立。
ビジネス心理学を実践的に応用するアドバイスには定評がある。
新刊に、「心の闇」をパワーに変える心理術(すばる舎)
「人前で緊張しない人はウラで「ズルいこと」やっていた」(大和書房)など。
講演会・セミナーの依頼は、システムブレーンまで。
システムブレーン(講演・セミナー情報問い合わせ先)
http://www.sbrain.co.jp/