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知らなきゃ損! 雇用促進税制の仕組み

知らなきゃ損! 雇用促進税制の仕組み

会社を運営するにあたり、国に払う義務がある税金には様々な種類があります。その中でも主となる税金は法人税ではないでしょうか。この法人税を控除してくれる、会社にとって優しい制度が実はあります。雇用促進税制という制度です。ここでは雇用促進税制がどのような制度なのかと、その適用範囲について紹介していきます。

従業員を増やしたい法人は注目! 雇用促進税制

雇用促進税制が創設されたのは平成23年のことであり、その名の通り雇用を促す目的で設けられた制度で、人を雇えば雇うほど法人税を控除してくれるというものです。

具体的に説明すると、中小企業は法人税の20%、大企業は10%を上限として、1人雇うごとに40万円の税額控除を受けられるといった内容になります。雇用を検討している法人にとっては非常にありがたい制度だといえるでしょう。また、起業を目指す方にも、ぜひ押さえておいてほしい重要ポイントでもあります。

人を雇うだけでは不十分! 税額控除を受けるための条件

雇用促進税制は、ただ人を雇えば自動的に適用されるというものではなく、前もってハローワークに雇用促進計画を提出する必要があります。その計画書に基づいて、中小企業の場合は2人以上、大企業なら5人以上の正社員を新たに雇用し、しかも前期末比で従業員の増加率が10%以上となって初めて税額控除を受けられるのです。

たとえば、正社員が30人なら新たに3人以上雇わなければならないことになります。以前はアルバイトの雇用も控除の対象になっていたのですが、平成28年度の法改正以降は正社員雇用のみが対象になっています。ちなみに、故意に従業員を解雇し、その穴埋め雇用をすることで雇用促進税制を活用するといったことはできません。適用年度および前事業年度に事業主の都合で離職者が出た場合は、税制の適用を受けられないからです。

なお、事業主都合の離職者とは、人員整理のためのリストラのほか、天災などで事業を休止せざるを得なくなった場合や、事業主が従業員を自主退職に追い込むために強いプレッシャーをかけてきた場合も含みます。

また、人件費を増やさずにこの税制を適用しようとして、全体の給与水準を下げるのもNGです。雇用促進計画に基づいて新しく人を雇用した場合、給与支給額等の総計は前事業年度のそれよりも雇用増加割合×0.3以上の比率で増えていなければならないのです。仮に、前事業年度が従業員5人で給与等の支給額が2,000万円だとして、新しく2人を雇ったならば雇用増加割合は40%となります。したがって、今事業年度の給与等の支給額総計は2,000万円+0.4×0.3×2,000万円となるので、2,240万円を上回らなければ税制上の優遇措置は受けられないことになるのです。

雇用促進税制の活用を検討する場合は、以上の点が守れているかをしっかり確認しておきましょう。

税額控除が受けられない法人

雇用促進税制は、残念ながら全ての法人に適用されるわけではありません。たとえば、キャバレー、ナイトクラブ、麻雀店、パチンコ店などといった風俗営業および性風俗関連特殊営業についてはこの制度の適用外です。また、税額控除を受けるためには青色申告をしなければならず、白色申告を行っていた場合は対象外となります。

青色申告の提出期限は毎年3月15日までであり、それを過ぎてしまうと白色申告しかできなくなるので気をつけましょう。さらに、平成28年4月1日以降からは、有効求人倍率が高い地域についても控除の適用外となりました。

つまり、東京や大阪などの人口密集地にある企業がいくら雇用を増やしても税額控除の対象にはならないのです。対象となるのは同意雇用開発促進地域という雇用機会が特に不足している地域のみです。ちなみに、平成30年4月時点でこれに該当するのは24道府県62地域です。同意雇用開発促進地域は随時変更する可能性があるので、活用を検討する際には確認を怠らないようにしましょう。

雇用促進税制の目的は中小企業支援

そもそも、雇用促進税制は財務基盤の弱い中小企業を支援するのが本来の趣旨です。そのため、一定の規模以上の法人は雇用促進税制による控除は受けられません。たとえば、資本金または出資金が1億円より多い法人は対象外となります。また、資本金または出資金が1億円以下だったとしても大規模法人に発行済株式の2分の1以上出資されている場合も同じく対象外です。さらに、資本金や出資を有さない法人であっても、従業員が1,000人より多い場合もこの税制の適用外です。

個人事業主の場合は、法人の資本金にあたる元入金などの制限はありませんが、従業員が1,000人以下でないと税制の適用ができない点では法人と同じです。また、平成31年には税制改革が行われます。この年の4月1日を起点として、それ以前の3事業年度において所得金額の年平均が15億円を上回る法人も雇用促進税制の適応外となるのです。

このように、ある程度規模の大きな法人は今後除外されていく可能性が高いため、そういった面からも早めの活用をおすすめします。

東京から移転するとさらに得! 移転型雇用促進税制

東京にある企業は雇用促進税制の対象外ですが、地方への移転を考えている場合はチャンスです。なぜなら、東京23区から地方に本社を移転した場合には、通常の雇用促進税制よりもさらに大きな減税が期待できるからです。

具体的にいうと、本店移転に伴い、東京で勤務していた社員が地方に転勤すると、法人税が1人につき30万円控除されます。また、移転先で新たに社員を雇った場合は、その30万円に50万円あるいは20万円が加算されて最大80万円の控除となるのです。

控除されるのは初年度だけではなく、移転者に関しては3年間で90万円、新規雇用者は最大140万円が控除対象となります。なお、控除額の上限は当期法人税額の30%であり、適用年度及びその前事業年度中に事業主都合による離職者がいないことなどが控除の前提条件になる点は通常の雇用促進税制と同じです。

ちなみに、本社移転に伴う建物所得に中小企業で1,000万円以上、大企業で2,000万円以上要した場合は、オフィス減税の対象となるので合わせて活用すればさらにお得になります。ただし、地方ならどこに移転してもいいというわけではなく、首都圏の一部地域、中部圏・近畿圏の中心部は対象外になる場合があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

雇用促進税制を適用させるための手続き

まず、本社・本店を管轄するハローワークに雇用促進計画を提出します。これは適用年度開始の2カ月以内に申請する必要があり、郵送の場合はその期限日必着となります。計画書に関しては、「雇用促進計画の様式」を厚生労働省のホームページのからダウンロードしたものを利用すればいいでしょう。

雇用計画自体は、それに職種・労働条件といった社員の募集要項を記入するだけです。適用年度が終了すれば、その2カ月以内に再びハローワークを訪れ、計画の達成状況を確認してもらいます。そして、問題がなければ計画終了の捺印をもらうことになります。返却された雇用促進計画はコピーし、それを確定申告書に添付して税務署に申告すれば手続きは終了です。

成長途上の中小企業におすすめの雇用促進税制

雇用促進税制の活用は大きな節税効果を生むものの、新規雇用が前提となっており、また手続きに手間がかかるという難点もあります。そのため、どういったときに活用するべきかという見極めが大切になってきます。そういう意味では、ここで人材を増強すれば利益拡大が見込めるという成長中の中小企業にとっては、価値の高い制度だといえるのではないでしょうか。

もちろん、人件費の増大は中小企業にとって大きな負担となるため、気軽に人を増やすというわけにはなかなかいかないでしょう。しかし、キャリアアップ助成金などの雇用に関する助成金や補助金を併用すれば、最低限の負担で事業拡大を行える可能性も出てきます。

まずは税理士などの専門家と相談し、制度を有意義に活用していくことを考えてみましょう。

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目次

  1. 1.会社の経理を始めるために
  2. 2.法人の決算に必要なものまとめ
  3. 3.貸借対照表で会社の資産状況を把握しよう
  4. 4.損益計算書で会社の利益を把握しよう
  5. 5.法人のための税申告・納付まとめ
  6. 6.法人にかかる税金は9種類もある
  7. 7.税金を滞納したら、どんな罰則がある?
  8. 8.法人のための節約のコツ

※公開は終了しました

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元記事はこちら
https://keiei.freee.co.jp/2018/01/22/koyosokushin_shikumi/

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