商売において安定的な収益が出せるようになった企業の多くがその次に考えるのは、事業展開やビジネス拡大です。
中でも、個人消費者向けの商売を行う企業は、自らの成功体験を複製し、国内外の新しい地域で同じ体験を再現することでさらに利益を出そうとします。
その再現のために最も一般的に使われる手法が「チェーン化」です。
「チェーン化」とは、連続的に複数の拠点で同一ビジネスを展開することを言います。
ショップデザイン、商品やサービス、接客手法が統一化され、顧客がどこの店に行っても同じようなサービスが期待できることによって、ブランド力を最大限利益につなげることができます。
また、企業のビジネス拡大につながる「チェーン化」には主に3つの手法があります。
それは、フランチャイズチェーン、レギュラーチェーン、のれん分けの3つです。
ここではこの3つがどのように違うのかをご説明いたします。
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フランチャイズチェーンとは
フランチャイズチェーンとは、いわゆるフランチャイズシステムを元に構築されたチェーンのことです。
フランチャイズチェーン形態を選択した企業は、まずフランチャイズ本部(FC本部)を作ります。
FC本部が主体となり、システム運営のための準備を行います。
フランチャイズの仕組みを決めた上で、そのビジネスモデルに適した、フランチャイズ契約書、開示書面、オペレーションマニュアルなどの重要資料を作成し、加盟店募集活動を行います。
加盟店募集を見た方が、そのフランチャイズが魅力的だと判断した場合、そのフランチャイズチェーンに加盟し、FC本部が用意したビジネスのやり方を学びます。
そして、FC本部が指定したとおりの店舗を作り、事業を開始することでチェーン機能が働きます。
開始後もFC本部が指導を行い、各店舗におけるビジネス目標の達成に努めます。
レギュラーチェーンとは
外部の方に加盟してもらうのではなく、独自で新しい店舗を作る直営店の形態をレギュラーチェーンと言います。
フランチャイズチェーンとの大きな違いとしては、レギュラーチェーンの事業主は、元々その企業に属していた社員などになり、外部から募集をすることはありません。
レギュラーチェーンの形態においても、フランチャイズと同様細かい仕組み化とマニュアル化が行われます。
企業の経営目標に合わせ、店舗開発部が独自で店舗を開発したり、百貨店、ショッピングセンター、不動産開発事業者などと提携しながら、事業の拡大を試みます。
のれん分けとは
「チェーン化」を実現する上での第3の方法がのれん分けです。
のれん分けの歴史は古く、元々は企業が長年従事し熟練した技術を持つ従業員に会社の屋号を使う権利を与え、独立の手伝いをするシステムです。
のれん、つまり会社の看板の使用を許可することは、昔の社会においては、「この人は信用できます」という太鼓判になり、ビジネスをする上で欠かせないものでした。
現代においてはレギュラーチェーンと大きな違いはなく、同様に「従業員によるフランチャイズ」という形式となっています。
フランチャイズチェーンが外部の人間をフランチャイズ加盟させるのと比べ、のれん分けは「自社の従業員」にフランチャイズ事業を任せることになります。
それぞれの違いと特徴
企業にとって、フランチャイズチェーンの一番重要な特徴は、自社資金を投資せずに事業拡大ができるということです。
また、さまざまな採用などの人事問題や労務問題、そして消費者対応に対して直接関わる必要がないので、それらの分野におけるリスクとコストを削減できるという特徴もあります。
一方で、レギュラーチェーンの一番の魅力は、利益率の高さにあります。
フランチャイズチェーンの場合3~6%のロイヤルティーが得られるのに対して、レギュラーチェーンでは全ての利益が自社の取り分となります。
これが、レギュラーチェーンという選択肢を選ぶ大きな理由です。
また、人事に関する支配権や、ビジネス手法における迅速な変革のしやすさもレギュラーチェーンの重要な特徴です。
のれん分け、つまり現在の社内フランチャイズは、フランチャイズチェーンの特徴を持ちつつ、より信頼関係が構築されている企業・フランチャイズオーナー間の取り引きを可能とします。
自社のブランドやビジネスに愛着を持っている従業員が、働き続けながら会社の利益に貢献し続け、また自分の独立起業という夢も実現できるという特徴があります。
まとめ
企業のビジネス拡大につながる「チェーン化」には、主に3つの手法があります。
それらは、フランチャイズチェーン、レギュラーチェーン、のれん分けです。
レギュラーチェーンとのれん分けの場合、その企業の社員である必要がありますが、フランチャイズチェーンにはないメリットが存在するのも確かです。
場合によっては、フランチャイズに加盟せずにレギュラーチェーン・のれん分けといった手法が向いている方も存在します。
それぞれの特徴を知ったうえで、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。
経営コンサルタント バシャラ セルダル
その後、来日し国際大学にて MBA を取得。ゴールドマン・サックス、ほかの企業での勤務後、外資系転職コンサルタント・経営コンサルタントとして独立。
幅広いジャンルにてビジネス拡大のコンサルティングを行っている。