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“開業費”として認められる範囲は? 税務署への届出は関係する?

“開業費”として認められる範囲は? 税務署への届出は関係する?

開業時には、様々な手続きやパソコンをはじめ備品購入など、多くの費用がかかります。これは、資金に乏しいスタートアップ企業にとって、決して軽くない負担です。

開業にかかった費用は、経理上“開業費”として処理しますが、 “開業費”は、どこまで認められるのでしょうか。また、“開業費”を算出するための開業日はいつになるのでしょうか。

開業日とは

法人の場合、開業日は“法務局に会社登記をした日”となります。つまり、開業日が法的に明らかにされているわけです。一方、個人事業主はこうした登記がありません。つまり、“開業しようと思った日が開業日”ということになるわけです。

「事業開始の際、税務署に対して個人事業の開廃業届出書(いわゆる開業届)を出すが…」と思う人もいるかもしれません。たしかに、この開業届は事業開始から1カ月後に出すことになっていますが、出さなかったことによる罰則はありませんので、開業届を出さなくても開業できるのです。

実際、配偶者の扶養に入りながらビジネスをしている人や、本業がありながら副業としてビジネスをしている人などで、開業届を出さないまま個人事業主として起業している人もいます。

ただし起業届を出さないと、確定申告の際により多くの控除が受けられて節税効果の大きい青色申告ができなくなってしまいます。また、屋号を名乗ったり、屋号での銀行口座を設立したりすることもできません。

開業日はいつにするべきか

個人事業主の場合は、開業しようと思った日が開業日ではあるものの、「いつを開業日にしたらいいのだろう?」という疑問が湧きますよね。上述した通り、法的に決められているわけではないので、いつでも好きな日を開業日にできます。

大安や一粒万倍日、天赦日、寅の日といった、暦の上で金運や開業に向いているとされる日を選んでもいいですし、結婚記念日や誕生日でも構いません。また、“初めて受注した日”としてもいいですし、ビジネス上の区切りがいい4月1日や1月1日にしてもいいでしょう。

開業費用として処理できる期間

開業費は“開業までにかかった費用”というざっくりした決まりしかありません。例えば、新しく開業する店舗を決める立地の調査費や、名刺の作成費用などがあります。開業費に含むことができる期間も決まっていないので、数年前の費用であっても、それが開業に使われた費用であることを証明できるなら、開業費に含むことができます。

例えば、5年前に購入した机と椅子でも、開業のために購入したのであれば開業費にできます。ただし、それが開業費であることを客観的に証明し、税務署から問われたときに納得させられるだけの資料や書類が必要となります。

開業費は帳簿付けしよう

収入・支出をきちんと帳簿付けするのはビジネスの基本ですから、青色申告をしない個人事業主の場合でも、開業にかかった費用はきちんと帳簿につけましょう。

なお、青色申告をするには、税務署での手続きのほか、複式簿記による仕訳帳、総勘定元帳の記帳と、貸借対照表と損益計算書の作成が必要となります。簿記の知識がない初心者にはハードルが高く思えるかもしれませんが、会計ソフトで簡単に記帳できます。

開業費は経理上、“繰延資産”になる

開業費は経理上、経費として処理するのではなく“繰延資産”という資産の科目に分類します。例えば、開業にあたって購入したパソコンなどは、その後、数年にわたって使用することが予想されます。そのため、開業費は開業年度にのみ一括でかかる経費ではなく、事業開始後の数年間にわたって少しずつ費用化し、償却していくイメージです。通常は定額法により5年間で償却しますが、税法上は任意償却してもかまいません。
(出典:国税庁『償却期間経過後における開業費の任意償却』 )

開業費とならないもの

こうした経理上の約束事の中で、開業にあたって必要な費用ながら、開業費に含められないものもあります。以下の費用は、開業費に含めることができませんので注意しましょう。

・事務所や店舗の敷金・礼金
事務所や店舗を借りるときにかかった敷金は、撤退時に返却されるものなのでそもそも経費にはならず、開業費に含むことはできません。また、礼金については戻ってこないものではありますが、開業費とは取り扱いが異なります。礼金が20万円以下の場合は支払手数料として費用にします。20万円以上の場合は税務上の繰延資産にあたるので長期前払費用として契約期間中に取り崩していくことになります。

・仕入れ費用
販売商品を仕入れるための費用は、販売原価として仕訳します。

・1つあたり10万円以上する機械や設備など
1つあたり10万円以上する機械や設備などは、固定資産になります。 また、法人として起業するのか、個人事業主として起業するのかによって扱いが異なる費用もあります。

・電気・ガス・水道などの公共料金、インターネットや電話の通信費
個人事業主の場合、開業前に使用した電気・ガス・水道の公共料金、インターネットや電話の通信費も開業費に含めることができます。 一方、法人の場合、税務上の開業費は「会社設立後から営業開始までに特有な支出のみ」という定義となっているため、これらの費用は恒常的な支出とみなされ、開業前に使用した分であっても開業費にはできません。

・土地、建物などの賃借料
個人事業主の場合は開業費に含めることができますが、法人の場合は恒常的な支出とみなされます。

・事務用品など消耗品の購入費用
個人事業主の場合は開業費に含めることができますが、法人の場合は恒常的な支出とみなされます。なお、個人事業主であっても、購入日が開業日前か後かによって、帳簿上の仕訳が変わってくるので注意が必要です。
(参考:開業準備にかかった「開業費」は、どう処理すれば?

開業費を正しく知れば節税に

今回は開業費の取り扱いや範囲についてご紹介しました。開業に必要な費用であっても、すべてが開業費として認められるわけではありませんが、開業費をやりくりすることで、節税に繋がるのは事実ですので、開業費として認められるものと認められないものをしっかりと認識しておきましょう。また、個人事業主として起業するか法人を設立するかによっても認められる範囲が異なりますので、ご注意ください。

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元記事はこちら
https://keiei.freee.co.jp/2018/02/21/kaigyohi/

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