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「気にしすぎ問題」から脱却するための、3つのスキル【独立に役立つ心理学・第10弾】

「気にしすぎ問題」から脱却するための、3つのスキル【独立に役立つ心理学・第10弾】

SNSやWebサービスが隆盛し、あらゆるもの・ことに誰でも気軽に「評価」ができるようになった昨今。

いい評判も悪い評判も、ネットを通して発生しやすいので、その書き込みに一喜一憂する人も少なくないはず。

特に、独立・起業を考える皆さんにとっては、良くも悪くも便利なシステムです。

独立に役立つ心理学シリーズ、今回内藤先生にお伺いしたのは、効果的に「スルースキル」を身につけるための方法です。

他者からの意見や評価を気にする人とは、どのような人なのか。そして自分にとって良くない情報や人と、どのように付き合っていけばいいのかをお聞きしました。

「気にしすぎる人」は、後悔をしがちな人? 後悔をしないための唯一の方法

今回のテーマである「気にしすぎ問題」。

まず心理学の立場から話すと、すぐ他者からの意見や評価を気にしてしまう人というのは、往々にして「後悔をしてしまう人」という傾向があるのです。

自分の中であれこれ考えすぎてしまい、「自分が選ばなかった方の発言や行動」について他者から言及されると、つい「やっぱりそっちの方が良かったかな…?」と後悔し、気にしてしまうのです。

それでは、どうしたら後悔をせずに、または後悔を限りなく小さくできるのでしょうか?

後悔には2つの種類が存在します。

1つは、自ら積極的に行動・選択した結果の後悔(やった後悔)。

そしてもう1つは、行動をせずに、もしくは受動的な選択をした結果の後悔(やらなかった後悔)。

そして後悔の度合いが少ないのは、前者の、自ら積極的に行動・選択をした結果の後悔の方だと言われています。

「やった後悔」より「やらなかった後悔」の方が、人は心理的な負担が大きい

ここで1つデータをお話しましょう。

イスラエルにある、ベン・ギュリオン大学のマイケル・バーエリ博士は、サッカーのPKにおいて、ゴールキーパーが「もっともボールを止める確率が高い動き」について調査しました。

その結果はなんと、ゴールキーパーが真ん中でじっとしていた時のセーブ率が、33.3%と最も高く、左に飛んだ時は14.2%、右に飛んだ時は12.6%でした。

つまりこの結果からは「ゴールキーパーは、真ん中を守っていた方が、左右に飛び込む時の倍、セーブ率が高い」ということが分かりました。

ところがその調査結果を、実際にプレーするゴールキーパーたちに伝えると、ほぼ全員から「真ん中だけずっと守っているなんて、ありえない」という答えが返ってきたのです。

なぜでしょうか?

よく彼らの言い分を聞くと「どちらか左右に飛び込む」というアクションを取らずに、ずっと真ん中だけを守っているのは、心理的に厳しいことが分かりました。

すなわち、ずっと真ん中だけ守る(やらなかった後悔)の方が心理的な負担が大きいために、たとえゴールを守れなかったとしても左右への飛び込み(やった後悔)を選ぶ、というわけです。

言い換えると「やらなかった後悔」はずっと心に残り続け、心理的な負担が大きくなるのです。

このことからも「気にしすぎる人」とは、どちらかといえばやらなかった後悔、もしくは受動的な選択をしている傾向があると言えるでしょう。

気にしない人になるために、最初に身に着けたいスキル。それは、覚悟を持って行動・選択すること。

それがたとえ失敗に終わっても、結果として後悔の大きさ(心理的な負担)は小さくて済むのです。

自分にとっての悪い刺激は極力遠ざける! 「刺激コントロール法」を駆使して、脱・気にしすぎ

ここまで「気にしすぎる人」とは、受動的で自ら行動・選択を積極的にしない人であるとお伝えしました。

とはいえ自分にとってよくない情報が、意図せず耳や目に入ってくることもあるでしょう。そこでいちいち凹んでいては、良いパフォーマンスが出せません。

そんな人におすすめしたいのは「刺激コントロール法」というテクニックです。

やり方は単純で、自分にとって悪い刺激となる対象から、自らを遠ざけるのです。

例えば、ネットに悪口を書かれるならネットを見る時間を、本を読んで学ぶ時間に変えてみる。

喫煙室や給湯室で噂話が囁かれているなら、社外に出て休憩を取る。誰かの愚痴ばかりの飲み会には参加せず、就業後の予定を埋めてしまうなど、方法はたくさんあります。

人間は、自分にとって悪いことを言われたり書かれたりすると、どうしても気になってしまうものです。

ならばその悪い刺激に触れないように、自らを遠ざける。シンプルですが、とても有効な手段の1つです。

ストレスとご褒美で、自らの「アンガーマネジメント」に挑戦する

最後にお伝えしたいのが、最近話題の「アンガーマネジメント」についてです。

「アンガーマネジメント」とは、ストレスを予期すること。

人間は、前もって覚悟をしておくと大抵のことは受け流せるようにできています。

自分にとって良くない情報や人と、どうしても関わらなければならない時は、事前に「これはそういうもんだ」「この人はこういう人だ」と、自らに暗示をかけるのも手段の1つです。

「もしかしたら」と、変な期待を抱いていると、期待を裏切られた時の心理的負担が大きくくたびれてしまいます。

嫌なことと触れるときにはできる限り事前に心の準備をしておくこと、そしてそれを乗り越えたらご褒美を用意しておくと良いでしょう。

月曜日が憂鬱なら、日曜日の夜は早く床について、翌日の就業後は楽しみな予定を入れておく。午前中に憂鬱な会議があるなら、ランチはちょっと贅沢をするなど、自分がテンションが上がるものならなんでも構いません。

「気にしすぎる人」にならないためにはまず、積極的に行動・選択をする。
悪い情報や人から自分を遠ざける。
そして悪い情報や人と対峙する時は心の準備をしておく。

この3つのスキルを養って、他人の評価に振り回されない人生を生きていきましょう。

【独立に役立つ心理学シリーズ:バックナンバーはコチラから!】
仕事が片づかない人へ。「すぐやる」が身につくメソッド【独立に役立つ心理学・第9弾】
https://entrenet.jp/magazine/13339/

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プロフィール:内藤誼人(ないとう よしひと)
心理学者。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。
大学院在学中より専門の心理学を活かした執筆活動を開始し、卒業後に有限会社アンギルドを設立。
ビジネス心理学を実践的に応用するアドバイスには定評がある。
新刊に、「心の闇」をパワーに変える心理術(すばる舎)
「人前で緊張しない人はウラで「ズルいこと」やっていた」(大和書房)など。
講演会・セミナーの依頼は、システムブレーンまで。

システムブレーン(講演・セミナー情報問い合わせ先)
http://www.sbrain.co.jp/

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