「将来の夢はなんですか?」。
そんなことを聞かれて、なんとなく「会社員になって、会社の枠組みにははまりたくないな」と、思ったことがある人も多いのではないでしょうか?
今回お話を伺った、株式会社Celestite代表・案志優実さんもその1人です。
「会社員になりたくないなら、自分で何かを起こすしかない」と気づいた2年前、わずか19歳で会社を立ち上げました。
高校時代は学校の先生や同級生から“問題児”と揶揄されて、うまく馴染めなかったと話す、案志さん。
あらゆる選択肢の中で、自分が1番輝ける場所へ進み続けた道筋を、辿りました。
案志優実(あんし・ゆみ)さん
株式会社Celestite代表取締役社長
神奈川県出身。17歳でLUJ(レイクランド ユニバーシティ ジャパン)に入学し、在学中に株式会社Celestite(セレスタイト)設立。
モデルキャスティング事業を売却後、SNS、インスタグラムを主軸としたマーケティング事業を展開。
「がんばって勉強したところで、いいことなんてなくない?」 わずか19歳で会社を立ち上げた意外なワケ
―わずか19歳で会社を立ち上げた案志さん。小さいときから起業することが夢だったのでしょうか?
いえ、起業など全く考えていませんでした。
ただ小さい頃から「がんばって勉強して、いい大学に入って、いい会社に入る」みたいな価値観にはずっと疑問を感じていました。
次第に「なんのために今、がんばって勉強をしているのか」、理由が分からなくなっていって。
高校の時でしょうか、そんな考えが自分の中で強くなって、学校の授業に参加する意欲がなくなってしまったんです。
―高校生くらいだと、自我も育って学校の勉強に疑問を持つこともありますよね。その後はどうしたのでしょうか?
結局通っていた学校は退学しました。
その後、もともと英語が好きだったので、退学後に高卒認定試験を受験して、アメリカにある大学の、日本キャンパスに入学しました。
―そのタイミングで起業もされていますが、何がきっかけだったのでしょう?
大学入学後に入った、ビジネス系のサークルがきっかけです。
そのサークルは、学生でありながら社会への問題提起や、学生起業を応援するような、いわゆる「意識高い」人たちの集まりでした(笑)。
たまたま知り合った先輩に誘われて入っただけだった私も、最初は「学生なのに、意識高いな…」と、正直あまり乗り気ではありませんでした。
ですが、よく考えてみると「会社員になるのが嫌なら、自分で何かを起こすしかない」と気がついたんです。
そして大学1年生の冬に、事業内容も決めずに会社を登記しました。
自らが消費者であるメリットを活かす。本当に売れるコンテンツを仕掛けるために
―起業して、どんな事業を始めたのですか?
「会社員になるのが嫌」という動機が1番大きかったので、具体的に「こんな事業がやりたい!」と決意して起業したわけではありませんでした。
とりあえず会社を登記すると決めて「さあ、どんな事業をやろう?」と(笑)。
そこで今すぐにできそうだなと思ったのが、「モデルのキャスティング事業」と、「ポートレート撮影会」(※現在は売却済み)(https://photo-club-jewel.com/)でした。
もともと、アイドルや読者モデルといった仕事をしている女の子の知り合いが多かったこと、そしてミスコンに参加していた友人が、宣材用写真の調達の仕方について悩んでいたことから、この事業を考え始めました。
―ビジネス経験がないまま起業されたなら、さぞかし大変だったんじゃないんですか?
そうですね。今でこそ笑い話にできますが、それこそ起業当初は右も左も分からなかったので、悪い大人にいいように使われてしまうことも多々ありましたね(笑)。
「口約束ではなく、絶対に契約書を交わす」ってめちゃくちゃ大事なんだと、身にしみて学びました…(苦笑)。
―そんな苦難を乗り越え、会社も今年で3期目に突入したと伺いました。現在はどんな事業を展開しているのでしょう?
女性を対象としたコンテンツ(商品・サービス)のマーケティング・プロデュース業を行っています。最近特に力を入れているのは、SNS、主にInstagramを活用したPRですね。
出典:株式会社Celestite
http://celestite.co.jp/※公開は終了しました
―話題の「インフルエンサーマーケティング」の事業なのでしょうか?
インフルエンサーを活用したPR活動、という意味では、その表現でも間違ってはいないのですが、正確には「マーケティングを含めた、コンテンツのトータルプロデュース」です。
どれだけ拡散力があるインフルエンサーを使ってPRしたところで、コンテンツそのもののクオリティが高くなければ、人は拡散しようとは思いません。
そこで、単にPRをするだけでなく、コンテンツそのもののクオリティを高めるためのアドバイスもさせていただいています。
―担当するコンテンツとは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
ここ最近では、美容品であったり(女性をターゲットとした)飲食店の内装、メニューの開発などを行っています。さらに、より拡散されるための施策として、Instagramを活用したキャンペーンも行っています。
私をはじめとする弊社女性スタッフ(10代後半〜20代前半)は、普段そうしたPRを受ける側でもあります。
リアルな消費者であるメリットを活かして、本当に売れるための仕掛けをクライアントへ提供できるよう、心がけています。
変わることは、逃げることではない。大切なのは、自分が1番輝ける場所を、自分で探してあげられること
―案志さんがこれから挑戦してみたいことはなんでしょうか?
女性の力で日本経済を活性化していきたいなと、思っています。
ある女性向け商品をプロデュースすることになった時、子育てをしている女性たちを弊社にお招きして、ご意見を頂戴したことがあったんです。
すると彼女たちから、とても感謝されたんです。
「今は子育てをしていて仕事はできないけれど、こどもがある程度大きくなったら社会復帰したいと思っていた。こうした形で、社会と何かしらの接点ができるのは嬉しい」とおっしゃってくださいました。
まだ日本には、彼女のような人たちがたくさんいらっしゃるんですよね。
現在は女性向けコンテンツの、マーケティング・プロデュース事業のみですが、いずれは女性の人材キャリア・コンサルティングの領域にも進出していきたいと思っています。
―最後に、独立・起業を考えている人へ、アドバイスをいただけますか?
「変わる」ことは「逃げる」ことではない、とお伝えしたいですね。
例えば今いる環境(勤めている会社)から離れて独立する、という決断をした時に、きっと誰かに「アナタは今の環境から逃げている」と批難されることがあるかもしれません。
私も高校をやめるとき、先生や友達から散々「逃げているんじゃないか」と言われました(笑)。
でも、自分が合わないなと思う場所から離れることは、逃げではないと思います。
そして、新しい場所が自分に合っているか合っていないかは、飛び込んでみないと分かりません。もがいている内に、苦手だと思っていたことが嫌じゃなかったり、好きなことが嫌になってしまったり、いろいろな発見がありますから。
私もいきなり起業して、ビジネスの世界に飛び込んでみて、契約書の交わし方から学んでいきました。
もし「独立・起業」という場所に挑戦して、失敗したとしても、それはそれで受け入れて、反省を活かして次に進めばいい。
長い人生の1つのターニングポイントとして受け止められれば、失敗は失敗のまま終わりません。
自分が1番輝ける場所を、自分で探してあげられる。その時々の自分に正直に、変化していけたらいいんじゃないかなと思います。