松田裕美さん(50歳)
VOL.192手芸用クラフトバンド専門店。講師を増やす活動も
「嫁」の足かせを外しへそくり7万円で起業
起業は内緒にしてました。家事も育児もしない、とても亭主関白な元夫。きっと反対するに決まってる。だから黙って近所にアパートを借りて、資金はへそくりの7万円だけ。そんな起業です。
ママ友に手芸教室に誘われてクラフトバンドを知りました。手芸は苦手だったのにハマっちゃったんです。材料は紙だからバッグを作っても500円。小遣い5000円のケチケチ主婦に、これはありがたい。作っては人にプレゼントしているうち、近所の主婦に作り方を教えるようになりました。材料が手に入らない田舎に引っ越した時は諦めたんですけどね。「それ教えて」というママ友がきっかけで、ママ友全員がうちに集まり始めました。
でも、お金を稼げるようになると、今度は生意気だといってイジメが始まった。
もう悔しくて。だったらとことん突き抜けてやろうと法人化を決めたんです。
元夫に打ち明けたのは半年後。数年後に離婚しました。明日から夫の食事を心配しないでいいと思うとうれしかった。私、本当に頑張って「いい妻」してたんですよ。でもほかにやりたいことができた。昔の私みたいにクラフトバンドで救われる人のために頑張りたいんです。私の夫に限らず身内は起業に反対するのが普通。それを分かってるなら相談しないでやっちゃえばいいのにって、私は思います。
アントレ2017.秋号 「会社員の肩書、プライド、業界の慣習から自由に! 捨てれば始まる」より