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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第18回・イメージカラーで商売を有利に進める方法

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第18回・イメージカラーで商売を有利に進める方法

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

2017年10月に行われた第48回衆議院議員選挙で、小泉進次郎氏が地元である横須賀をアピールしようと「スカジャン」を着て選挙活動を行ったことが話題になりましたが、そのスカジャンの色が物議を醸しました。さて、何色だったのでしょうか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

プレゼンテーションでは、強調色などをうまく取り入れて視覚的にアピールすることが大事です。

コカ・コーラ社では社内会議でプレゼンテーションを行う際に、使う「色」について決まりがあるそうです。

好調、ポジティブといったような「いい情報」については文字を赤くする。逆に、減少やデメリットといった「悪い情報」については青い文字で書くのだというのです。

いいことは自社ブランドの色である赤。悪いことはライバル会社の色である青。だから、見た人は文字の色だけで、いいことなのか悪いことなのかが一発で分かるというのです。

色のような視覚に直接訴えるものは、印象を与えるうえで非常に重要です。そして、この色は、ビジネスでもうまく使えます。

それでは解説します!

街中でオレンジの看板を見たら「吉野家」を思い浮かべたり、赤地に黄色のマークから無意識に「マクドナルド」を想像したりといったことは、誰しもあるのではないでしょうか。

このように、「イメージカラー」の力は、実はとても大きな影響力があることがわかっています。

記憶に新しいところでは、先の都知事選で現・都知事の小池百合子氏が、「緑(グリーン)」をうまく取り入れて当選を果たしました。

「緑=小池百合子」という印象はその後も強い影響力を持ち続けているのはご存じの通りです。

それは、ライバルである自民党の小泉進次郎氏が、地元・横須賀をアピールするために着たスカジャンが緑色だったのが物議を醸したことからもわかります。父である元・総理の純一郎氏と小池氏は仲がいいことも含め、「回し者なんじゃないか」という噂が出ましたが、実のところ大義はないそうです(笑)

「色」を使った代理戦争が勃発!?

色をうまく使うための方法として、1つは「色同士で戦っている雰囲気」を作る方法があります。「吉野家」はオレンジ、「松屋」は黄色、「すき家」は赤、というように、それぞれの色でイメージできるブランドがありますよね。

「マクドナルド」が赤、「ファーストキッチン」がオレンジ、「フレッシュネスバーガー」が緑というのもそうでしょう。「ソフトバンク」が白、「NTTドコモ」が赤、「au」がオレンジというのも同じですし、メガバンクなら「みずほ」が青、「三菱東京UFJ」が赤、「三井住友」が緑なのもわかりやすいですね。

政治の世界でも、たとえばアメリカの二大政党である共和党と民主党は赤と青。サッカー日本代表は青で、韓国代表は赤。あげたらきりがないくらいですが、これらはどれも「色」を使ってライバル同士で対抗しています。

別の方法としては、これは少し前になりますが、豚骨ラーメン屋さんのほとんどが黄色の看板だったことがありました。これは黄色を見ただけで「豚骨ラーメン」をイメージさせる効果があったようで、業界の成長に色が大きく影響したケースといえるかもしれません。

ちなみに余談ですが、コーポレートカラーに「オレンジ」が使われるケースが非常に多いのにはわけがあります。

1970年代に日本の流通団がアメリカに視察に出掛けた際、視察団が招待されたのが、当時アメリカで大人気だったファミリーレストラン「ハワード・ジョンソン」でした。そのお店のコーポレートカラーがオレンジであり、その場所で「アメリカでは自分たちのコーポレートカラーを決めている」という話を聞いたため、多くの会社がオレンジ色に引きずられたという逸話が残っています。

ロイヤルホスト、ダイエー、吉野家…時代を遡っても、納得できる話ですよね。

色をうまく使うための「セオリー」とは?

こうした「色」をうまく取り入れることで、自社のブランドイメージを確立したり、市場の中でポジションをとっていく方法は、既に多くの企業が実践している有効なやり方です。ぜひ皆さんも、色をうまく使って、事業を有利に進められるように工夫してみてください。

あえてセオリーを作るならば、以下のようなことがいえるかもしれません。

自分自身がまだ小さい存在の時は、大手と同じ色を使っていくことで同じ仲間・同じクオリティであることをアピールする。その後、ある程度大きくなってライバルとして名乗りをあげられるようになったら、業界トップとあえて真反対の色を使って存在をアピールしていく。

ぜひ皆さんも、自分の色を使って名乗りをあげられるところまで、事業を大きくしてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「緑色」でした。ちなみに、進次郎氏が着ていた緑のスカジャンは、その影響もあって大人気となり、品薄状態が続いているのだとか。テーラー東洋というブランドの「DRAGON&TIGER」という商品だそうです。色の影響力も確かにすごいですが、そんなところまで人気にしてしまう進次郎氏に対しても、すごいなあと思ったりしてしまいます(笑)


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プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』 (講談社+α新書)。

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