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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第17回・イベントで市場をつくり出そう

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第17回・イベントで市場をつくり出そう

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

10月31日が終わったばかりの11月1日午前2時50分すぎに、北九州市の路上を全裸で歩いていた男性が逮捕されました。このニュースは全国で取り上げられましたが、なぜこの男性は全裸でいたのでしょうか?

ただの変質者ニュースを取り上げたわけではありませんよ。日付と時間に注目してみてくださいね。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

毎年10月末に行われる、すっかり定番となったイベントがあります。そう、「ハロウィン」です。

10月に入った頃から街はカボチャのイラストで賑わい、お店の仮装アイテムコーナーも日に日に充実していきます。10月31日は街が仮装した人であふれ、警察が出動するなんてニュースも。こどもたちがお菓子をもらいに街に繰り出す姿も、すっかり「よく見る光景」となりました。

最近はいろいろなイベントが増えましたが、「ハロウィン」は最も新しい「成功イベント」と言えそうです。

こうした成功イベントとして、もっとも有名なのが「バレンタイン」でしょう。メリーチョコレートが、1958年に「女性から男性に、チョコレートとともに愛の告白を」という日本特有のバレンタインデーを提案したのが始まりと言われています。

つまり、「バレンタイン」はチョコレートを売ろうと考えた一企業が仕掛けたイベントだったわけです。それが今ではすっかり定番となり、日本の年間チョコレートの売上げの3分の1は「バレンタイン」で売れるとまでいわれるようになりました。

それでは解説します!

「ハロウィン」とは、元々は仮装するイベントではなかったはずです。それが、アミューズメントパークのアトラクションの影響やSNSの普及などにより日本式にアレンジされ、気がついたら仮装やコスプレを楽しむイベントとして定着したという経緯があります。

イベントには「非日常感」が重要で、まさに仮装やコスプレはそうしたニーズに合致したわけです。こうした仮装熱は、SNSで写真を拡散することを前提に年々高まっています。今年は江頭2:50の仮装をした人もいたというから驚きで、しかも全裸になるところまで再現した結果、逮捕されるという珍事態まで起こりました。

お菓子メーカーなどもハロウィンパッケージの商品を大々的に販売するなど、今や一大市場ともいえる「ハロウィン」。2017年の「ハロウィン」の経済効果は1300億円を超えたという調査があるのも納得ですよね。

「ハロウィン」しかり、「バレンタイン」しかり、イベントは大きな市場を生み出します。新しい需要はイベントでしか作れないのではないかと思ってしまうくらい、イベントそのものに対する注目度は非常に上がっています。新しいビジネスを考えるうえで、「イベントを作る」という発想が重要であることは間違いなさそうですね。

イベントによる集客で「地域活性」もできる

イベントをつくる=ビジネスをつくる、という視点は大事ですが、だからといって、別に「ハロウィン」のように日本中、世界中を巻き込むイベントでなくてもいいわけです。

たとえば地元や地域を盛り上げるちょっとしたものでも十分でしょう。大事なのはそれによって人が集まる仕組みや流れができることです。

私が個人的によく行くイベントが、ラーメンの博覧会です。有名なラーメン店が味や人気を競い合ったりする催事で、お店にとっては出展を機に集客につなげたり、応援してもらうことで常連客との結びつきを強めたりする効果があるようです。

イベントに参加して一体感を楽しむだけでなく、イベントを仕掛けたり、イベントを活用して集客したり、いろいろな関わり方が考えられます。大きなマーケットが作れる可能性があるのは事実ですから、それを活用しない手はなさそうです。

定番イベントもアイデア次第で新しいものに!

かつては夏の定番とも言われた「海の家」が、ここ最近は治安の問題などの理由から禁止される傾向にあるようですが、これは非常にもったいない話です。

であれば、海でやるのではなく都心でクラブイベントにすれば、夏は水着で騒ぐんだという従来の楽しみを違うアプローチで提供できるかもしれません。これはあくまで1つの例ですが、既に定番となっているものを新しくアレンジするだけでも、面白いことは十分にできるはずです。

イベントにまつわるアイデアは、実はいろんなところに転がっているかもしれません。ぜひいろいろと発想してみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「江頭2:50の仮装」でした。仮装やコスプレに対する熱は年々上がっているようですから、次に何に人気が集まりそうかを考えるのも1つのビジネスチャンスになるかもしれませんね。ちなみに、ニュースによると江頭2:50さんは逮捕された男性に対して苦言を呈したそうです。楽しむのは自由ですが、公共の場で全裸はいけません。


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プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』 (講談社+α新書)。

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