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【創業当初】コワーキングスペースを活用しよう

【創業当初】コワーキングスペースを活用しよう

会社員時代には、あって当たり前だったはずの仕事場ですが、起業すると、どこで仕事をするかを考えなくてはなりません。インターネットが普及し、パソコン1つで様々な仕事が行えるようになった昨今、独立時に事務所を借りない人が増えてきました。
そして、時代に呼応するかのように、日本では2010年、神戸市のコワーキングスペース「カフーツ」の誕生を皮切りに、オープンなスペースを仕事場所として共有するコワーキングスペースが普及し、以前よりも安価に仕事場所を確保することが可能です。

コワーキングスペースの特徴の1つは、個室のような区切られた空間ではないという点です。企業でも従業員の席を固定しない、フリーアドレス制を採用しているところがありますが、コワーキングスペースは、まさにそんな仕事場所といえます。利用者の席を固定しないことで、お互い効率的に作業スペースを使うことができ、結果的に利用料はとても安価になります。

また、月額契約利用のほかに、ドロップインという一時利用(1日利用など)の料金設定を設けているところも多く、普段は自宅で作業し、打ち合わせなどで必要なときだけドロップインで利用するといった使い方も可能です。私の周りには複数のコワーキングスペースのドロップインを繰り返し、その後、月額利用をするようになったフリーランスのデザイナーもいます。コワーキングスペースはまだ歴史が浅く、発展途上なため、スペースごとに、さまざまな特徴があります。実際に使ってみながら自分にあったスペースを見つけると良いでしょう。

スタートアップにも人気があるのは、事務所スペースを固定しないというメリットがあるから


投資家から投資を受けて会社を成長させることを考えている、いわゆるスタートアップ企業が、コワーキングスペースを活用して大きくなっていくという例が増えています。 起業直後、ビジネスを検討しているフェーズと、協同創設者とともに初期プロダクトを作成していくフェーズ、そして、その後メンバーを増やしていくフェーズでは、必要な作業スペースが違います。 利用量(利用人数)に応じて費用が発生する、コワーキングスペースのほうが適しているというケースも多いのです。

私が運営するコワーキングスペースにも、かつて、1人で起業しプロトタイプを開発し、その半年後に共同創業者となる2人のメンバーが合流した、という企業があります。まだ売り上げのあがっていない時期は、それぞれがコワーキングスペースの利用料を負担し、徐々にインターンシップやアルバイトのスタッフが増えてくると、会社の経費として彼らの利用料を負担していました。時期によって人員が増減するため、しばらくはコワーキングスペースを活用していましたが、サービスをリリースし投資家から投資を受ける頃にはメンバーもある程度決まってきたため、その段階でオフィスを構えていました。

ほかにも自社が開催するセミナー会場としてコワーキングスペースを活用する企業や、日中の作業場所として一時的に利用する企業などもあります。それぞれの事情にあわせた活用ができるのもコワーキングスペースの特徴かもしれません。

交流可能なスペースには、ニーズに合わせて変化する場となるメリットも

私は起業当初に事務所を賃貸借契約したときのことを、未だに忘れることができません。自分の城を手に入れたような、言葉ではとても言い尽くせないポジティブな気分になりましたし、古い雑居ビルの一室でしたが、まったく窮屈さを感じませんでした。そんな私でも、コワーキングスペースで働くことは、事務所を持つメリット以上の魅力を感じています。電源やWi-fiが自由に使えること以上に、“利用者同士が交流可能な”場所で働くことが、事務所を借りることでは得られないメリットをもたらしてくれるからです。

もともとコワーキングスペースという形態ができたのは、あるソフトウエア開発者が、1人ぼっちの環境で仕事をすることに飽きてしまい、仕事をしながらほかのメンバーと交流ができる場所を求めて、仲間と集まったことがきっかけの1つです。フリーランスや、社員を持たない経営者が増えてきた今日、それぞれが交流可能な環境が求められています。

コワーキングスペースは発展途上であり、ニーズに合わせて徐々に形を変化させてきています。利用者同士で交流が図れることにとどまらず、勉強会やセミナーでスキルアップができること、利用者同士がつながり、新しいビジネスが生まれることなどもコワーキングスペースを利用するメリットです。コワーキングスペースがこれからも進化していくことで、今後もまた違ったメリットが発見され生み出されていくことでしょう。日本でコワーキングスペースが生まれて、まだ10年も経っていません。想像もしていなかった新しいビジネスは、コワーキングスペースのような“変化していく場所”から生まれるのではないかと思います。

コワーキングスペースが生まれて間もないという事実に驚かれる方も多いでしょう。私の運営する「コワーキングスペース茅場町 Co-Edo」もまだ5年目ですが、それでも今や、長く運営しているスペースの1つになりました。開設当時と比べると、利用者のニーズとともに、コワーキングスペースは多様化していると感じます。自分のワークスタイルにあった、コワーキングスペースをぜひ見つけてみてください。

◆筆者プロフィール◆
田中弘治・株式会社ダイレクトサーチジャパン・代表取締役

コンサルティング会社、ヤフー株式会社などを経て、2007年に株式会社ダイレクトサーチジャパンを創業。Webアプリケーション開発を行う。2013年「コワーキングスペース茅場町 Co-Edo」をオープン。IT系開発者が多数集まり、多くの勉強会やイベントも行われている。2014年と2016年7月にフロアを拡張。

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