起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。
●経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第13回・魚が売れなくなっている
いきなりですが、クイズです!
海外旅行の楽しみを考えていけば、答えはすぐに分かるかもしれませんね。
クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある
VRにまつわる技術研究はここ数年で一気に進み、「一部の人のための特殊な技術」から、「より汎用性のある身近な技術」となりつつあります。
それにともなって、あらゆる分野でVR技術が使われた商品やサービスが増え始めています。昨年10月には「プレイステーションヴィーアール(VR)」が発売されるなど、少しずつお茶の間にも浸透し始めてきているといっていいのかもしれません。
今後は、VRの技術を取り入れたあらゆるものが、私たちの身の回りに溢れかえるのは間違いなさそうです。
既に多くの人がVRを使った新しいビジネスに注目してはいますが、まだまだいろいろな可能性が考えられますから、これからでも決して遅いわけではないでしょう。
それでは解説します!
先日、かねてから気になっていた、VRの技術を取り入れた面白いサービスを体験してきました。それは、東京・池袋にある「FIRST AIRLINES」という施設が提供する、世界初といわれるバーチャル航空旅行です。
VRの世界観によって、地上にいながら世界旅行が体験できるサービスで、実際の航空機のファーストクラスで使用されていた最高級のシートに座って、プロ仕込みのCAによるアテンドを受けながら、現地での観光旅行や、様々なアクティビティなども楽しめます。
このサービスが本格的で面白いなと感じたのは、ただ世界旅行が楽しめるだけでなく、プロの料理人による本格料理が「機内食」として食べられるというところです。
「今までのレストランの概念を超えたお食事体験」と銘打っている点に注目してもらうとより分かりやすいのですが、実はこれ、VRの技術と飲食店がコラボした、これまでにない新しいサービスといえるものなのです。
VRの技術を使ったアミューズメントサービスが充実
VRの技術を使えば、普段は簡単にできないことだってできてしまいます。
たとえば、ゲームやアニメの世界を現実のことのように体験できるでしょう。ゲームさながらにモンスターと戦ったり、ありえないような技を繰り出すこともできるわけです。
「戦艦大和」の世界を体験できるVRヘッドセットが発売になるなど、ファンにはたまらない面白サービスも出ているようです。
また、普段できないことという点でいえば、高層ビルの屋上から飛び降りるなどの体験もあります。本物のバンジージャンプさながらのスリルが、VRで楽しめるというわけです。
こうしたアミューズメント系のサービスは、ニーズが高いうえに比較的想像しやすいということもあり、今後もいろいろと新しいものは生み出されていくでしょう。
さて、皆さんであれば、VRを使ってどのようなサービスを考えますか?
ビジネスシーンで使えるVRは、まだまだチャンスあり!?
VRの魅力として、現実感のある世界が作れるという点も見逃せません。
ということは、この技術をBtoB領域でも展開することは可能なはずです。ビジネスユースできるVRは、まだまだ可能性を秘めているといっていいかもしれません。
中でも、社内研修や職業訓練などは、相性が良さそうです。
たとえば、単なる英会話教室ではなく、アメリカ人との会議に出席しているような想定で学べる英会話のトレーニングプログラムなどは、単純に面白そうですし、ニーズもあるでしょう。
また、「空港のカウンターで実際にオペレーションを行っている雰囲気を作り出す」など、VRを取り入れることでよりリアルな職業訓練ができるサービスなどもあるでしょう。これは職業の数だけ展開可能性があるわけですから、ビジネスチャンスとしては狙い目かもしれません。
ぜひ、皆さんも自分のビジネスの周辺で、VRがあることでよりパワーアップするようなチャンスが転がっている分野を探してみてください。そこには、もしかしたら驚くほど大きなビジネスチャンスがあるかもしれません。
最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「機内食が食べられる」でした。ちなみにこのサービス、旅行先はニューヨーク、ハワイ、パリ、ローマへの疑似旅行ができ(2017年9月現在)、それぞれの場所に合わせた料理が楽しめるとのこと。私が利用したニューヨーク便では、シェフ手作りの牛肉のローストやNYチーズケーキなどの料理が、航空食器に入ったかたちで楽しめました。なお、食事はバーチャルではないので、ご安心を。
経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博