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消費税の計算に必要な課税売上割合とは?

消費税の計算に必要な課税売上割合とは?

消費税に関して勉強をしていると「課税売り上げ割合」という言葉が出てきます。どんな意味をもっている割合で、どこで使用をするのでしょうか?
消費税の計算に関する基本的な仕組みを確認しつつ、課税売り上げ割合の計算方法についても確認していきましょう。

消費税の基本的な仕組みと課税売り上げ割合

まず消費税について、全体像を理解する必要があります。
世の中には様々な取り引きがありますが、その全てに対して消費税が課税されているわけではありません。
政策的な配慮から消費税が課されていなかったり、そもそも消費税の課税対象にならないような取り引きも存在しています。

もし、あなたがやっている事業が不動産業や有価証券売買、介護保険に関する事業、または居住用賃貸物件の運用に関わるようなもの等である場合には、消費税の非課税売り上げが相当程度混在しているかもしれません。
消費税の非課税売り上げはほかにもありますので、きちんと確認をしておきましょう。

一方、上記のような事業に該当しない小売業や製造業、建設業、サービス業などについては、取り扱っている商品やサービスは消費税の課税対象です。
実際には多くの事業者がコチラ側に該当しています。

ここで、事業者はどのようにして消費税の納税額を計算するのかを知らなければなりません。消費税は「預かり金」としての性質を有しています。売り上げを通じてお客さまから預かった消費税を、事業者がお客さまの代わりに国等へ納税するのです。

ただし、実際には売り上げだけから納税額は計算できません。事業活動には当然ながら経費も存在します。各種経費を支払う時に、本来の金額に上乗せする形で消費税を支払っているのです。
従って、事業者の納税額は以下のように計算されます。

納税額 = 売り上げを通じて預かった消費税 - 経費を通じて支払った消費税

ここで問題となるのは経費側です。例えば当社の売り上げが課税売り上げと非課税売り上げがちょうど5割ずつだったとします。
当然、経費の中には「課税売り上げを得るためにかかった費用」もあれば「非課税売り上げを得るためにかかった費用」もあることでしょう。
このとき、もし経費を通じて支払った消費税を何の制限もなく控除できるとすると、

「売り上げを通じて消費税は預かっていない(非課税)にも関わらず、経費を通じて支払った消費税は控除することができる」

という状況が生まれます。
課税庁側からすると、これは積極的に認めたい状況ではありません。
そこで、消費税の計算には次のような仕組みが導入されました。

・事業者の売り上げ内容について、課税売り上げと非課税売り上げの金額を分類して下さい。
・その上で、課税売り上げの割合が相当程度に高ければ経費側の消費税を全額控除して良いです。
・もし課税売り上げの割合が相当程度を下回る場合には、経費側の消費税について一定の制限をします・

ここでいう一定の制限というのは、以下のような内容です。

・非課税売り上げを得るためにかかった課税経費は控除を認めません。
・課税売り上げと非課税売り上げに対して共通してかかった経費は按分計算をしなさい。
(実際には複数の選択肢があるのですが、ここでは詳細を省略します)

つまり、課税売り上げの割合が相当程度高いかどうかにより、経費側の消費税を全額控除できるのか、一部について制限がかかるのか判断されるのです。
このときに使用するのが課税売り上げ割合です。

どうやって計算する?

課税売り上げ割合というくらいですから、課税売り上げの割合を計算します。計算式は以下のとおりです。

課税売り上げ割合 = 課税売り上げ / 課税売り上げ+非課税売り上げ
※課税売り上げの金額は税抜きで計算します。
※輸出取り引きに係る免税取り引きは0%課税売り上げとして、課税売り上げ側に含まれます。
※有価証券売買等に係る非課税売り上げについては、計算の特例があります。

例えば課税売り上げが税抜きで980万円、非課税売り上げが20万円だった場合、課税売り上げ割合は98%と計算されます。

先程「相当程度高ければ経費側を全額控除して良い」と紹介しました。ここでいう相当程度とは95%です。課税売り上げ割合が95%以上であれば、基本的には経費側の消費税を全額控除しても良いことになっています。
課税売上高が税抜きで5億円を超えるような場合にはこの限りではありませんが、大概の中小事業者には当てはまらない話です。

ここで少し実務的なことを…多くの中小事業者は、売り上げのほとんどが課税売り上げで占められています。
非課税売り上げといえば、せいぜい預金利息が少し含まれている程度のことが非常に多いです。
そうなると、課税売り上げ割合はほぼ100%に近い数字が計算されることになります。
従って、中小事業者についていえば課税売り上げ割合が95%を下回ることはあまりないのが実情です。つまり経費側の消費税について、全額控除を出来ることの方が多いのです。

もちろん、上で触れたような不動産業や居住用物件の賃貸業を行っているような場合にはその限りではありません。
また事業者が保有している土地を誰かに貸しているような場合にも注意が必要です。
この点に関しては、行っている事業の内容によって大きく異なってきますので、事前にしっかりと確認をする必要があります。

なお、消費税の納税額計算では簡易課税という仕組みも用意されています。中小事業者向けに用意されている特例ですが、この制度を利用している場合には課税売り上げ割合は計算をする必要がなくなります。
この点も、中小事業者が課税売り上げ割合をあまり気にしなくても良いことになっている大きなポイントです。

PROFILE

税理士 高橋 昌也

2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。
その後、ファイナンシャルプランナー資格取得。
商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。

[保有資格等]
AFP、税理士、商工会議所認定ビジネス法務エキスパート

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