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法人成りでつまずかないために ~個人と法人の銀行口座~

法人成りでつまずかないために ~個人と法人の銀行口座~

個人事業主にとって法人設立はひとつの目標となるもの。個人事業主が法人を設立することを、法人成りとも言います。ところが法人設立時に個人事業主と法人で、お財布を2つ持つため、会計でつまずいてしまうことが多々出てきます。特に煩雑な手続きとなってしまうのが、個人と法人を同じ銀行口座にした場合です。

1 法人用の口座はすぐには作れない

法人設立をすることになり、定款と株主構成を決めて登記簿謄本の発行まで完了したら、法人成りの作業自体はこれで完了です。ところが、この時点で、法人として受け取った売上を入金する銀行口座を作ることは、まずできません。
銀行口座を作るためには、登記簿謄本と、法人名などが決定してから依頼して作成する法人印が必要だからです。登記簿謄本は法人設立から1週間前後かかってしまうため、少なくともこの期間は法人を設立することができないのです。

2 個人用の口座を使用する

こういったとき、多くの経営者は個人用の口座を使用することになります。法人成り後に個人用の口座を使用すること自体には問題はないのですが、法人成りによって誕生した会社は、その前身が個人事業であるため、毎月、売上が入ってきます。
たとえば、A株式会社が4月1日に設立したとしましょう。この会社の代表取締役は、以前個人事業主として活動していました。
前月の3月31日まで個人事業主の仕事をしているので、個人事業主の仕事の報酬が入金され、個人事業として税金(所得税と個人事業税)の対象となります。
現在は銀行口座からデータが自動的に移動する会計ソフトも多く、個人口座を法人と個人事業で同一のものを使用していると、「両方に売上として登録」されてしまう場合があります。これには要注意です。
「売上」として帳簿に載せた場合、当然ですがそこには税金が発生します。個人事業として売上計上したお金を、法人にも売上として計上すると二重計上となってしまいます。そのため、個人事業の売上はすべてまとめて法人に移動して「元入金」として考える必要があります。勘定としては、(貸)現金、(借)資本金という形になるでしょう。

3 口座登録は法人用の銀行口座が完成してから

銀行口座が完成したら、すぐに会計ソフトの銀行口座として使用開始するようにしましょう。自動ではなく手動で勘定を入力する場合も、この時点で「売上」入力を始めます。繰り返しになりますが、それまでは売上ではなく、「元入金」として入力するようにしましょう。
これ以降は、入ってくるお金はすべて売上です。時には雑収入という場合もあります。そのまま入金額=売上高として計上しても問題ありません。ただ、すべてが解決というわけではありません。注意すべきポイントが2点残っています。

(1)個人事業として契約した仕事を法人として計上していないか
法人成りに際し税理士に依頼したところ、次のような指摘を受けました。
「個人事業主として受けた仕事は、個人事業として入金すべき。法人の銀行口座ができたからといって法人として売上計上してしまうと、厳密には税務上問題があります」。
つまり、個人事業として受けた仕事(契約書を締結した仕事)を法人として計上すると、完全にアウトではないにしろ税務上の問題が残るという指摘でした。この背景には、個人事業と法人による税率の違いがあります。
これも先ほど触れましたが個人事業主は所得税と個人住民税、そして個人事業税の対象になります。一方で法人は法人税と法人住民税がかかります。詳しい税率の記載は省きますが、これらの税率が異なっているため、個人事業主として受けた仕事を法人として売り上げ計上すると厳密には問題があるということなのです。

(2)前期比較、四半期比較が煩雑
元入金を活用することで、法人に計上する元入金のなかに「個人事業主としての売上」と「元来の元手金」が発生することになります。法人成り後、経営層は随時「事業は前期と比べてどうなっているか」「四半期としてどうなっているか」を判断することになります。
ところが売上が元手金に含まれてしまうと、この確認作業が煩雑になる、というデメリットが発生します。特に売上推移は自動的に算出する場合も多く、「ここは算出された図とは異なる」という現象が発生してしまいます。
社内で、そのデータを扱うだけであればまだしも、銀行など金融機関に資料を提出したり、投資家の審査を受ける場合は、都度都度「個人事業からの転換で」と言っている時間はありません。
法人化が決まれば個人事業の段階から法人に契約を移し、個人名の口座でも「個人事業で使用していたものとは別の口座」を準備して、ぬかりなく法人成りの日を迎えることが大切だといえるでしょう。

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目次

  1. 1.法人にも確定申告って必要なの?
  2. 2.法人税とは
  3. 3.法人の確定申告の全体的な流れ
  4. 4.まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
  5. 5.法人税の申告書類の作り方
  6. 6.作成した申告書を提出して納税する
  7. 7.最後に

※公開は終了しました

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元記事はこちら
https://keiei.freee.co.jp/2016/09/02/incorporation/

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