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開業時に用意しておきたい会計ソフト ~新人経営者の基礎知識

開業時に用意しておきたい会計ソフト ~新人経営者の基礎知識

1 会計ソフトを使うかどうかの基準

色んな想いで創業に至った皆さまが、事業を拡大・存続させるためには、会社がいくら儲かっているのかを把握することが大事になってきます。売上や経費はどんな推移をしているのか、新しい機械を買ったり広告を出すためのお金はあるのか。もちろん、税金を計算し、納税する義務もあります。開業者の半分が3年後には廃業している現実を踏まえれば、創業時だからこそ経営者は常に数値を把握する必要があるのです。中小企業・個人事業主にとって、そのツールが会計ソフトになるのですが、統計によると半数程度がこれを利用していないようです。その最も大きな理由は、難しくて手間だというイメージがあるからです。税理士に作業をすべて丸投げして、自分で試算表を見るのはたまに、といった方が多いようです。

しかし、近年、簡単で手間のかからないソフトが多くでてきました。また、税理士に作業を丸投げしたとしても、クラウドの会計ソフトを利用していれば、リアルタイムにデータ共有できて数値を把握することも可能です。数値をリアルタイムで知りたい場合には会計ソフトを導入した上で、会計を自分でやるか誰かに任せるかを判断しましょう。
このときの判断基準としては、数値を見るまでもなく自分で把握できるかどうかです。例えば、事業が軌道に乗っていて、毎月変化のない状況であればあまり必要性はないでしょう。しかし、これから事業を軌道に乗せる・拡大する、顧客ニーズに対応して変化が必要といった場合には、どんな施策を打つべきか考えられるよう常に自分で経営状況を把握しておくべきです。この場合、会計ソフトが必要になってくるのです。

2 クラウド型かインストール型か 今はクラウド一択

会計ソフトには、クラウド型とインストール型の2つがあります。「Gmail」、「Office365」、「kintone」などに代表されるように、近年ではあらゆるアプリケーションがクラウド化する中、会計ソフトもクラウド型が伸びています。クラウド型の会計ソフトが世に出た当初は機能が未熟で賛否あったものの、今ではクラウド型のソフトを使わない理由は特にないでしょう。

会計ソフトの観点では以下のようなメリットがあります。

① 税理士に業務を依頼してもリアルタイムに数値が把握できる
インストール型では、自分が入力すればタイムリーに数値がわかりますが、外部に依頼する場合にはデータをもらうまで分かりません。一方で、クラウド型は、クラウドでデータを共有しているため作業を外部に依頼しても常に最新の状況を把握することができます。

② 改正やアップデートの手間がかからない
消費税率がよく議論されるように、税制は毎年改正される可能性があります。これが改正されると、インストール型の場合には、再度インストールしたり、設定を自分で変えて変更する必要があります。一方で、クラウド型の場合には、自動でソフトが最新のものに更新されるため、特にアップグレードの作業などをすることなく使い続けることができます。さらに、機能についても更新されていくのがクラウド型の特徴です。

③ データを安全に保管できる
インストール型の場合、事故や災害、予期せぬトラブルでパソコンのデータが消えたり紛失するリスクが常にあります。しかし、クラウド型であれば、データはパソコンではなく、サーバに保存されているので、大切な会計データが消えるリスクは限りなく低くなります。

3 クラウド会計ソフトの特徴 扱いやすさとバックオフィス全体の手間で選ぶ

クラウド会計ソフトで有名なのは「freee」、「弥生会計 オンライン」、「MFクラウド会計」ですが、これらのソフトに対応可能な税理士も多いので、いずれかを選ぶのが良いでしょう。クラウド会計ソフトを選ぶ時の基準は2つ。扱いやすさとバックオフィス業務全体の手間がかからないかです。前述の3つのソフトはどれも一定期間無料で利用できるので、まずは一度使ってみましょう。使いやすさの観点では、大きく分けて簿記の知識を要しない「freee」とほかの2つで操作性が異なります。会計の数値の読み方は重要ですが、簿記は必須ではありません。簿記を学ぶ時間のない方でも、「freee」は簡単に扱えるでしょう。
次に、手間の観点です。大きく分けて、入出金の部分と、請求や経費精算といったバックオフィス業務それぞれの特徴を比較します。多くは、金融機関や通販サイトなど連携して預金やクレジットカード明細、通販売上のデータを取得し、自動で仕訳をする機能を有しています。ただし、連携数が違ってきますので、事前に自分の利用したいサービスが連携しているかどうかを確認しましょう。なお、「freee」は唯一、自動仕訳に関する特許を有しているため自動化の割合は最も高くなっています。

さらに業務を効率化するためには、他のバックオフィス業務に注目する必要があります。具体的には、請求書の発行や回収管理、経費の申請承認や仕入先・従業員への支払いです。これらのバックオフィス業務はソフトを導入することで大幅に効率化することが可能です。
「freee」と「MFクラウド会計」は自社製品でもこれらの機能を持っているため連携がスムーズです。さらに、「freee」では会計ソフトにセットされており、別途購入する必要がないのでコストも抑えることができます。会計業務だけでなくバックオフィス業務全体の効率化ができるソフトを選ぶことが重要です。

4 まとめ

経営上で、どのくらい儲かっているかを把握することは重要です。しかし、そこに膨大な手間をかけるのは本末転倒。会計ソフトは、会社の状況を把握するためのツールです。簡単で手間のかからない会計ソフトを選びましょう。
近年のクラウド会計ソフトはデータ連携や自動化機能で楽に作業ができるので、まずは無料で試してみることをお勧めします。

筆者プロフィール
花井一寛 freee株式会社 事業開発部 マネージャー
慶應義塾大学経済学部、上智大学大学院地球環境学研究科卒。公認会計士。大学院在学中に公認会計士試験に合格。卒業後は大手監査法人のアドバイザリー部門にて大企業の決算早期化や、財務・資金管理のアドバイザリーサービスを提供。現在はfreee株式会社にて、スモールビジネスの生産性向上に取り組んでいる。

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