生前贈与と相続どちらがお得?税金や手続きで比較しよう!

不動産(家、マンション、土地、山林など)をお持ちの方は、自分がいなくなった後の家族に相続してもらうべきか、それとも今生前贈与をした方が良いのか、どちらが税金が得なんだろう?と迷っていませんか。
生前贈与と相続はどちらが得なのか?節税する方法やお得に生前贈与をする方法についてまとめました。どちらが良いか迷っている人はぜひ参考にしてください。
生前贈与と相続の違いはいつ財産を渡すかということ
生前贈与とは、贈与者(財産を持っている人)が生きているうちに財産を譲ることです。
相続とは、贈与者が亡くなってから、相続人で財産を分けることです。
両者の違いは財産を渡すタイミングの違いです。
生前贈与分は相続に反映される
生前贈与を受けた上に、贈与者がなくなった時に残っている財産も均等に分けるとなると不公平になる事があります。
基本的には生前贈与の分を組み込んで、相続分を計算します。
相続税対策が本当に必要かを考える
相続税は高い!というイメージがあるかもしれません。しかし本当に高額な相続税がかかるのは、お金持ちだけです。
というのも相続税の基礎控除は高いので、課税対象額はかなり低くなるように設定されているからです。
(例)
父が亡くなって、母と子供2人の場合には、
3000万円+(600万円×3人)=4800万円
これだけの控除があるわけです。つまり、財産が4800万円以下であれば非課税です。
このデータを見ると、ごく普通の一般家庭で、相続税対策をする必要はあまりなさそうです。次の章から、どちらが良いのかメリットとデメリットについて考えていきます。
自分の意思でできる、生前贈与のメリット
贈与のいいところは、生きているうちに「自分の意思」で財産を渡せるということでしょう。
計画的に準備でき、相続後のトラブル回避にも!
人の運命はいつどうなるかわかりません。自分が元気なうちに財産を分けておきたい、後々トラブルのないようにしたいと思うこともあるでしょう。
相続人以外に不動産を譲りたいという場合や、相続人の中の特定の人だけに分与したいなど。
そのような人には、計画的に準備ができる生前贈与は大きなメリットがあると考えます。
また、、不動産(戸建て、土地、マンション、空き家など)といった分けにくい財産を保有している場合、亡くなった後にその分け方でトラブルが起きるかもしれません。
その1つが、「不動産売却」です。不動産を現金化することができるので、財産分与がしやすくなります。色々な不動産があってその価値が異なる場合などは、相続時に揉めてしまう可能性があります。
今売る必要性がないと思っていても、いずれの相続のために、資産価値としてどれくらいの価値があるのかを先に調べておくのがおすすめです!
でも、わざわざ不動産会社に足を運んで、訪問査定してもらって…というのは面倒くさいですよね…。
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贈与者の意思を反映できる
遺言書を作って特定の人に財産を譲ることも可能です。
しかし万が一書き方が間違っていた場合に、遺言書自体が無効になってしまう可能性があるのです。
そうなると、せっかく「この人に贈りたい」と思っていたものが別の相続人に渡ることも考えられます。
相続時精算課税制度で節税できる可能性が!
もし贈る側が65歳以上、受ける側が20歳以上であれば、2500万円までは非課税という特例制度があります。
税の先納ですね。相続時生産課税とは、生前贈与時の税金を、一定額のみ贈与税として先に納め、残りを相続時に精算納税できる、贈与時の税の負担を抑える制度です。
親から子、祖父(祖母)から孫、など年齢の要件を満たしていれば、2500万円までであれば贈与税なしで財産を渡すことができます。
将来の相続税を抑えられる可能性
相続税がかかるほど広い土地や大きな建物を持っている場合は、生前贈与をすることによって将来の相続税を抑えられる可能性があります。
今は5000万円の価値の不動産が、仮に将来1億円に上がった場合、相続税は1億円で課税されます。しかし今贈っておけば5000万円に対する贈与税となります。
相続時精算課税を選択した場合、資産価値は、相続時ではなく「生前贈与を決めた」ときで決まるため、不動産の価値が今後たとえ上がったとしても、算定基準額は上がりません。
ただ、不動産の価格の動向を見極めることは極めて難しいですし、贈与者がいつ亡くなるかもわかりません。
夫婦間には非課税枠がある
夫婦の間の生前贈与には最大2000万円の非課税枠がありますので、例えばマンションの名義を夫から妻に書き換えても、税金がかからない可能性もあります。
- 婚姻期間が20年を超えていること
- 国内の居住用の不動産またはそれを取得するための資金であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日まで居住しており、その後も居住を続けること
- 過去に贈与税の特例を受けていないこと
戸籍謄本や住民票の写しなどで身分関係を確認し、登記事項証明書で居住が確認できれば特例が受けられます。別名「おしどり贈与」と呼ばれています。
不動産を売却して、分割して贈与をすれば節税に!
不動産を売却して贈与を複数回に分けて行うことで、年間110万円の控除が受けられます。これを「暦年贈与」といいます。
生前贈与の課税期間は、1月〜12月で見ます。年が変わった段階で、新たな贈与を受けた場合の基礎控除額が改めて設定されるという仕組みです。
例えば、1000万円の不動産を、10年かけて贈与するのです。1年分が100万円なので贈与税がかかりません。
注意点としては、控除ギリギリの額で毎年贈与を行った場合、「脱税行為」であると判断されてしまう可能性があるため、毎年いくら生前贈与をするのかをしっかりと見極めることが大事です。
また、専門家に手続きを依頼するとコストがかかります。贈与税が無税になってもコストがかかってあまり得ではないというケースもあるため、バランスを考えることが必要です。
- 相続後のトラブルを回避したい
- 配偶者や相続人以外に譲りたい
- 今後価値が高くなる可能性がある不動産を持っている
- 暦年贈与で節税したい
本当にお得?生前贈与のデメリット
思ったよりも贈与税はかからないのでは?と思われたかもしれませんが、それでも相続税と比べると、やはり高くなりそうです。
税金が高い
贈与税には、
- 登録免許税
- 不動産取得税
が含まれます。贈与税の控除や特例だけを比べてはいけないのです。
登録免許税は、相続の時には0.4%で済みますが、贈与の時には2%!5倍もの差があります。
維持費がかかる
不動産を管理するにはお金がかかります。親が持っていれば親が支払っていた維持費を子供の世代が抱えることになるわけです。
固定資産税を支払い続けることになるので、本当に贈与することが得なのかをよく考えないといけません。
特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の軽減措置の対象から外れます。つまり固定資産税が6倍になる可能性があるということです!!
こういった不要なものはは売って現金化する方向で考えてみても良いでしょう。
贈与された側の負担も考えて、維持する手間をかけるだけの価値があると判断できないならば、贈与するメリットは少ないでしょう。
相続に組み込まれる可能性もある
先ほども少し説明しましたが、贈与された分が相続に組み込まれることがあります。
贈与後3年以内に相続が発生した場合は、贈与分を相続財産に加えて相続税が計算されます。
贈与にはタイミングも大事ということですね。
相続時精算課税制度、暦年贈与どちらか選択
贈与税を後回しにする「相続時精算課税制度」ですが、この制度を利用すると年間110万円の控除が使える「暦年贈与」が使えなくなります。
どちらがいいかはよく検討しなくてはなりません。
実際はそれほど税金は高くない、相続のメリット
相続=税金が大変、というイメージが先行しがちですが、実際はそうでもありません。むしろ生前贈与よりもメリットが大きいかもしれません。
贈与税よりも安い場合もある
相続税は高い!というイメージがあるかもしれませんが、相続税の方が贈与税よりも安くなる場合があります。
相続税の基礎控除は先ほども説明したように、3000万円と相続人の人数によって変わってきます。
相続する人が多いほど基礎控除も大きくなるわけで、実際には非課税になるケースがほとんどです。
遺言書があれば手続きが楽
遺言書というと面倒に感じますが、弁護士事務所など専門家に依頼をして正確に作っておけば心配はありません。
公正証書遺言などは自分で手続きすることもできますから、トラブルになりそうなことは遺言書にしっかり書いておけば良いのです。
子供達が何を協議しようと、確かな遺言書が存在すればそれが優先されます。
自分の意思通りに財産を分けることは可能なので、何をどう分けるのか、細かいことまで書いておいてあげるといいでしょう。
- 税率が低い方がいい、手続きがスムーズな方がいい
- 相続人が少ない、財産が複雑でないなどトラブルになる可能性が低い
- 一般的な住宅を配偶者が相続する場合
- 配偶者への負担を少なくしたい(生前贈与だと、維持管理の手間が発生するため)
遺言書を書いても揉める?相続のデメリット
遺言書を書いても、実際にはもめてしまうというケースは無きにしも非ずです。
自分が亡くなった後のことですから、想定外のことが起きる可能性はゼロではありません。
一時的な負担が大きい
万が一控除をしても相続税が発生した場合、被相続人の死後10ヶ月以内に納付することという規定があるため、一時的な負担は大きいです。
税を払うだけの資金がないと、結局は相続した不動産を手放すことになるケースもあります。
もめる場合がある
遺言書を用意しても、死後に思わぬ状況の変化によって争いが起きないとも限りません。相続人の数が多いほど、トラブルの可能性は高くなるでしょう。
よく話し合って決めてもらうしかありませんが、もめたことによって結局は財産を手放す羽目になる人もいるのです。
生前贈与と相続、結局どっちが得なのか
さて、では結局どちらがお得なのでしょうか。
- トラブルが起きそうな予感がする人は「生前贈与」→暦年贈与によって税がゼロになる可能性がある。不動産評価額が高い、相続人や被相続人との関係性が複雑などの場合、揉める可能性が高いためこちらを選ぶほうが無難かも!
- 財産、相続人が少ない人は「相続」→トラブルも少ない、非課税になる可能性もあるため、こちらの方がお得かも!
具体的には、相続する人の人数や財産の額によって決めると良いでしょう。相続税対策として生前贈与を検討している人も多いと思うのですが、実際には相続税はそれほどかかりません。
控除などを計算して、非課税になるなら、無理して生前贈与をする必要はないということです。
しかし兄弟が多くて将来もめそうだ、と心配ならば、生きているうちに均等に分けてあげるという方法も検討してみてください。





