いらない土地を処分する8つの方法!売る?寄付?相続放棄?損をしない方法

相続したものの、いらない土地をこのままにしておいてもいいのだろうかと迷っていませんか?使えるかと思ってずっと持っていたけれど、不要になったという土地も場合もあるでしょう。
いらない土地は持っているだけで税金がかかりますし、使わない土地を持っていても得する事はあまりありません。
それならば売ってしまった方がいいのですが、自分がいらないと思う土地ですから、売りに出したとしても買い手がつくとは限りません。
どうすればいらない土地を処分できるのか、その方法についてまとめましたので、困っている方は是非参考にしてください。
こんな土地は持っているだけで損?いらない土地のデメリット
土地を持っていると「いつか何かに使えるかもしれない」と思うかもしれませんが、持っていることが逆に負担になってしまうこともあります。
収益を生み出さない、役に立たないばかりか、持っているだけでデメリットの方が大きくなってしまう可能性があります。
いらない土地でも勝手に放棄ができない
いらない土地なら所有権を放棄できるかというと、そうではないのです。
土地というのは勝手に放棄できない面倒なもの。民法上では土地の所有権の放棄に関する規定がないのです。
かといって、放棄できないということを定めた他の法律もありません。
いらなくなった土地は国のものになるのでは?と思いますよね。
しかし、一方的に放棄した土地を国が引き取ってくれることはなく、国が許可しない限り国に返すことはできないのです。
固定資産税がかかる
土地を持っていると、使っているいないに関わらず、固定資産税がかかってきます。
農地であれば安くなる可能性もありますが、農地として使っていることが前提です。
宅地よりは安くなる場合がありますが、耕作し続けていないと農地としては認められません。それはそれでコストもかかり大変ですよね。
いずれにしても、「固定資産税」は土地を所有している限り払い続けなくてはいけない税金です。いらない土地に払い続けるのは大きな負担ですしもったいないですよね。
管理に手間がかかる
いらない土地だからといって、ただ放置しておけばいいかというとそうではない部分が面倒なところです。
所有者には適切な管理をするという責任が生じますので、時折見に行って手入れをする必要があるのです。
損害賠償の可能性
もしも害虫がお隣の家に迷惑をかけたら、もしくは放火なんかされて周りの家に被害が出たら、空き家が倒壊して通行人が怪我押したら…それらは全てあなたの土地の責任になってしまいます。
がけなどの土地であった場合、がけ崩れで大きな損害が出てしまうことも…。
被害が生じれば損害賠償をする必要も出てくる可能性があります。
周辺住民とトラブルが起きたら売れなくなる
管理を怠ったがために、もし周辺の住民とトラブルが起きてしまったら、土地を売ろうとしても売れなくなってしまう可能性があります。
周辺住民が苦情を入れてくるような土地を買いたいとは誰も思いませんよね。
将来の子供への負担
いらない土地なのに所有し続けると、子供の代にも負担をかけてしまう可能性があります。
その土地から収益が上がるならば、もしくは売るだけの価値があるならば相続させるメリットもあるでしょう。
しかし自分の代でも活用法に困っているならば、子供に託しても負担にしかなりません。
子供の代に負の遺産を残さないように、今の段階で何か対策を考えておく必要があるでしょう。
いらない土地を処分する9つの方法
それでは、いらない土地をどうすればいいか、主な方法としては4つあります。
- 寄付する
- 相続を放棄する
- 売却する
- 所有を続ける
- 土地活用(土地信託)
どれが現実的か、さらに細かく分けて一つずつ考えてみましょう。
1.自治体へ寄付をする
まずは自治体に寄付する方法です。
寄付なら喜んで受け付けてくれると思いきや、そうではありません。
固定資産税という収入源がなくなっても、それ以上のメリットがある土地でない限り、簡単には引き取ってくれないでしょう。
土地を引き受ける基準については各自治体によって違いますので、どのような土地なら寄付できるかは一概には言えません。
寄付するには「寄付採納申請」を行います。手順としては、
- 自治体の担当者に寄付について相談する
- 自治体による土地の調査
- 審査に通ると寄付できる
相談するには、土地に関する情報がわかる書類や写真を持っていくとスムーズに進みます。
2.法人へ寄付する
自治体がダメなら、法人に寄付するという方法もあります。
ある程度の広い土地であれば、保養所を建てるなど法人ならではの利用法があるかもしれません。また、個人に譲渡をすると税金がかかりますが、法人ならば経費です。
しかし、自分がいらないと思っている土地を企業が簡単に貰ってくれることはあまり考えられません。
収益性の高い土地ならば、寄付せずに売ることができるからです。
3.個人に譲渡する
あなたが今いらないと思っている土地を個人で欲しがる人がいるかどうかは疑問ですが、もしいるのならばじょうとするという方法があります。
ここで注意しておくべきことは、譲渡するということは相手方に譲渡税がかかるということです。
110万円の基礎控除が受けられますが、どのくらいの税金がかかるのかを調べてから贈与の話を進めたほうが良いかもしれません。
不動産売買ではないため、この費用をどちらが負担するのかは双方話し合いなどで決定することになります。
4.土地の相続放棄する
親から譲り受けた土地である場合には、相続の発生を知った時から3ヶ月以内に相続を放棄するという方法もあります。
放棄できるのは土地だけでなく、他の財産もすべて放棄することになってしまうためです。
本当にそれで良いのか、よく考える必要があります!
また、土地の相続を放棄しても、土地の「管理義務」がなくなるわけではないというところに注意が必要です。
もしもあなたが相続を放棄したとしても、管理してくれる人を見つけるまでは相続人が土地の管理をしなければいけないのです。
身内で見つからないとなると、家庭裁判所に「相続財産管理人選任」の申し立てをします。
しかも、申し立てをしたからといって必ずしも管理人が見つかるとは限らないというのが困るところです。
よく考えてみると当然のことで、他人がいらないと放棄しているような土地です。
何か隠れたメリットでも見つけられない限り、無関係の他人が管理人として名乗り出てくれることを期待するのは難しいでしょう。
手間やお金を考えると、相続放棄も簡単ではないのです。
5.土地を売却する!売れない場合は「売り方」を変えてみる
売りに出したけれど、売れなくて困り、寄付をしようかと思っている人もいるでしょう。
でも、本当にその土地は売れないのか、売り方など今一度見直してみてください。
そもそも「土地の売却」があまり得意な不動産業者でなかった…という可能性もあります。
もう一度売却条件を見直し、もう少し値下げをしてみるとか、不動産会社を変えてみるなどして、売却に再チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
「不動産一括査定サイト」を活用し、売りたい土地を複数の業者に査定してもらうのがおすすめですよ!
また、空き家があるのであれば解体する、更地で売るなども検討してみてください。
6.分筆(ぶんぴつ)登記をしてみる
土地は広くて大きい方が売れるだろうと思いがちですが、広すぎて売れないという可能性もあります。
個人で使う場合には無駄に広いと固定資産税がかさみますから、もう少し小さかったら(そして安かったら)購入するのに」という人がいる可能性もあります。
その場合は、「分筆登記」といって、土地を分ける登記をしてみてはいかがでしょうか。
7.空き家バンクを利用してみる
自治体が運営しているサービスに、「空き家バンク」というものがあります。
登録は無料なので、とりあえず登録しておくことをおすすめします。
8.農地の斡旋サービスを利用する
いらない土地が宅地ではなく農地である場合には、処分するにも制限があります。
農地は食料を生産する重要な土地であるという位置付けなので、勝手に転用ができなくなっているからです。
9.土地信託をはじめてみる
土地を「運用のプロ」に運用してもらって、信託期間が終わるまで、そこで得られる収益の一部を配当として受け取れるのが『土地信託』です。
- 信託する相手:信託会社(信託銀行など)
- 土地の所有権:信託会社に移転(信託期間中)
- 地主の収入:信託配当
- 信託期間:10年~30年など
土地の所有権、期間中にその土地に信託会社が建てた建物の所有権も、信託期間が終わると、「地主」に移ります。(賃貸型)
「土地は手放したくない」「いらない土地で、収益を得たい」「信託期間が終わっても、配当を得たい」という理由で土地信託を選択している方にはピッタリの方法ですね。
また、土地信託には、「処分型」というものもあります。信託期間が終わると、土地を売却する方法です。
こちらは、信託期間中に信託会社などが建物を建てたり開発したりといった「付加価値」がもともとの土地に上乗せされているため、高値での売却も期待できます!
【土地信託の流れ】
- 地主が信託会社を選ぶ
- 土地の「所有権」を移転登記
- 地主は「信託受益権」を得る
- 信託会社が土地を運用を開始
- 信託した土地の運用で得た収益から、配当を受ける
- 信託期間が終わると、土地や建物の所有権や収益事業を営む権利が地主に移る
相続対策にも効果があると言われています。いらない土地をめぐり家族が争わなくても済むかもしれません。
ただし、デメリットもあります。
収益が見込めない土地では、信託会社に土地信託を断られるケースももちろんあります。受理された場合は、信託報酬がかかり、また、プロでも失敗する可能性がある、市況にも左右されるので、収益が保証されていないといった点です。
でも、こうとも言えます。
土地信託を断られたということは、「運用には向いていない土地」という可能性が高く、土地活用よりは、「売却」など別の手段を取った方が良い土地なのかもしれないということ!
いらない土地をどう処分するかの方法を色々とお伝えしましたが、どの方法が自分たちに合っているのか?をよく吟味してください。
そして、いずれの土地処分の方法を取るかを検討している段階で、必ず「売却」については調べておくほうが賢明です。
いらない土地を処分する際にかかる費用
いらない土地だからといって、無料で寄付できるわけではないのです。それなりの費用がかかりますので、覚えておきましょう。
所有権移転登記費用
寄付でも譲渡でも、所有権が移るので、登記を変更する必要があります。
- 登録免許税
- 司法書士への報酬
これらの費用として、合計10万円~30万円くらいかかると見込んでおいた方が良いです。
尚、売買で登記を移転する場合には買主が登記の費用を持つことがほとんどですが、寄付の場合はどちらが負担すべきか、微妙なところです。
もらってくれるならこちらが負担するのか、費用も含めての寄付なのか、よく話し合って決めることが大切です。
寄付にも税金がかかる
個人に対する譲渡ではなく、寄付の場合には課税されませんが、相手方が法人の場合には譲渡所得として課税されることがあります。
土地を売って現金を受け取り、その現金を法人に寄付したとみなされるため、「みなし譲渡所得」として課税される可能性があります。
どのような目的で使うかによって税金がかからないということですね。
今後の法改正にも注目を!
所有者不明の土地が多く存在することから、これ以上そういった土地が増えること抑えていくために、国で下記が検討されているようです。
- 土地所有権の放棄や遺産分割の期間の制限する
- 相続時の登記登録の義務化
土地のみの所有権の放棄ということを認める、放棄された土地を誰がどう管理していくかなどまだまだ課題はありそうですが、所有者不明の土地に対しての法改正にも期待が集まるところです。
いらない土地をどうすれば有効利用してもらえるかを考えよう
土地は大きな財産ですが、持っているだけなら宝の持ち腐れです。
それならば、思い切って売ってしまうのも得策です。もしくはしっかりと有効利用してくれる人や法人へ託して、うまく使ってもらったほうがいいですよね。
自分にとってはいらない土地でも、他の人から見れば宝物になることがあります。
今回ご紹介した処分方法を様々な角度から検討してみて、自分にとっても相手にとっても良い方法を探してください。


