不動産査定は家の売却の第一歩!「不動産鑑定」との違いと活用シーン

査定について 2021.09.21

不動産の価値を算定してもらう場合、「不動産鑑定」と「不動産査定」という方法があります。

両者では利用する目的が違い、不動産鑑定は国家資格を持つ不動産鑑定士しか行うことができません。

不動産査定と不動産鑑定の違いを詳しく解説すると共に、それぞれを選ぶ場面について解説します。目的や相違点、鑑定や査定の受け方について、詳しく見ていきましょう。

不動産鑑定と不動産査定とは…両者の特徴を比較!

不動産鑑定と不動産査定はどちらも不動産の価値を調べるものですが、目的・行い手・結果・費用・必要な時間など、さまざまな点で違いがあります。

それぞれを詳しくチェックしてみましょう。

不動産鑑定と不動産査定の目的とは

不動産鑑定と不動産査定の目的は、何でしょうか。

不動産鑑定とは
不動産の適正価格を算定すること。国土交通省によって定められている不動産鑑定評価基準に基づいて鑑定評価が行われるので、誰が算定しても似たような評価になる。

不動産鑑定の目的は、「正確な価格を出す」ということ。

精密に資産価値を計算できるため、不動産鑑定をしてもらうと公的機関や第三者に適正価格であると証明できます。
不動産査定とは
不動産を適切な価格で売買できるよう値段付けをすること。依頼を受けた不動産会社が独自の基準に基づいて算定するので、依頼先によって価格が異なることもある。

一方で、不動産査定の目的は不動産の売買を成立させること。

鑑定結果とは異なり、査定結果は公的な証明にはなりません。

家を売りたい!家を売る時の相場を知りたいという方は、「不動産査定」を利用すればOKです。

ただそうは言っても、「不動産鑑定」についても気になるという方もいらしゃるでしょう。鑑定について知った上で、査定にするか鑑定にするかを決めていきましょう。

不動産鑑定は国家資格を持つ不動産鑑定士しか行えない!

不動産「鑑定」が行えるのは、国家資格を持つ不動産鑑定士のみです。不動産の売買を目的とする際の「査定」は、不動産鑑定士でなくても行えます。

不動産鑑定士とは
国家資格を持っていて、不動産の経済的価値を判定したうえで価格として表すことを仕事としている人。

不動産鑑定士は、次のような仕事をしています。

  • 不動産鑑定
  • コンサルティング
  • 不動産関連の調査や分析
  • 海外の不動産の評価

そのために、様々な調査を実施しています。

  • 実地に出向いての調査
  • 法務局や役所での取引の確認などの調査
  • 不動産関連業者にヒアリングをする
  • 集めた情報を分析して検討する
  • 鑑定評価書を作成する

不動産鑑定よりも不動産査定の方が高い値がつくのが一般的

不動産鑑定と不動産査定の算定では、同じ不動産を扱っていても同じ価格にはなりません。

  • 不動産鑑定:低めに算定される
  • 不動産査定:高めに算定される

不動産鑑定士には適正価格を算定する目的があるので、算定を誤ると売り手に不測の損害を与える可能性があります。

  • 鑑定価格を元に資金計画を立てるのでそれより低く売れると資金繰りに困る
  • 鑑定価格より高く売れた場合は困ることがない
  • 不動産鑑定では不当鑑定を訴えられる制度がある
不当鑑定を訴えられた不動産鑑定士は、資格を失います。鑑定価格よりも低く売れると不当だと感じられる可能性が高いので、依頼者に不利益がないよう低めの鑑定価格になるのです。

一方で、不動産査定の場合、不動産会社は仲介の仕事を依頼してもらいたいので、高めの査定が出やすくなります。

費用や時間の面でも大きな違いあり

両者の間には、費用面などでも違いがあります。

項目 不動産鑑定 売却目的の不動産査定
費用 有料 無料
時間 数週間必要 1日から1週間程度で可能

不動産仲介では売買が成立して初めて報酬が受け取れるので、売却を前提として受ける査定は無料です。

不動産鑑定の相場は、どれくらいでしょうか。

不動産の評価額による更地の相場の例
  • 評価額が1,000万円以下:20万円程度
  • 評価額が1,000万円を超えて5,000万円以下:25万円から30万円程度
  • 評価額が5,000万円を超えて1億円以下:30万円から40万円程度
  • 評価額が1億円を超えて2億円以下:50万円から60万円程度
不動産の評価額による戸建(土地と建物)相場の例
  • 評価額が1,000万円以下:25万円程度
  • 評価額が1,000万円を超えて5,000万円以下:30万円から50万円程度
  • 評価額が5,000万円を超えて1億円以下:50万円から60万円程度
  • 評価額が1億円を超えて2億円以下:60万円から75万円程度
不動産の評価額によるマンションの相場の例
  • 評価額が1,000万円以下:30万円程度
  • 評価額が1,000万円を超えて5,000万円以下:60万円から70万円程度
  • 評価額が5,000万円を超えて1億円以下:70万円から85万円程度
  • 評価額が1億円を超えて2億円以下:85万円から95万円程度

土地と建物を両方調べてもらう方が、費用が高めです。

法律の定めがないので、事務所によって費用の決め方は異なります。見積もりだけなら無料のことが多いので、事前に相談すると安心です。

鑑定費用が気になる方には「簡易鑑定」がおすすめ

不動産鑑定の費用が気になる場合、精度は劣りますが簡易鑑定という方法もあります。一般の鑑定と同じく、不動産鑑定士が実施します。

簡易鑑定は国の基準に従って行っていないので不動産鑑定書を作成することができません。簡易鑑定の結果をもとに、「不動産査定書」を作成します。不動産売却における査定とは違うため、この場合の査定は有料です。

不動産査定書作成の費用の相場を見てみましょう。

不動産の種類 費用
更地 10万円から15万円程度
戸建(土地と建物) 15万円から20万円程度
マンション 15万円から20万円程度

不動産鑑定よりも安いものの、無料で実施できる不動産査定と比較すると、やはりコスト負担が気になるところ。かしこく使い分けましょう。

不動産を売りたい!ならまずは査定!不動産査定の2つの方法と注意点

「うちはまず査定で!」と感じたら、不動産査定の特徴や注意点について頭に入れておきましょう。

不動産査定には、以下の2つの方法があります。

訪問査定
実際に物件のもとへと出向いて、査定する方法。手間と時間はかかるものの、より正確な査定結果を受け取れる。
机上査定
顧客へのヒアリングやアンケートへの記入、立地条件や路線価、同程度の物件の価格などを参考に、現地を見ないで査定する方法。手間なく目安を知ることができる。

不動産査定は、自分が気に入った不動産屋に依頼して行うことになります。どちらの査定になるのか、事前にチェックしておきましょう。

不動産査定でチェックされる項目

不動産査定では、具体的にどのような項目が重視されるのでしょうか。大まかなチェック項目は以下のとおりです。

物件の築年数 築年数を重ねるごとに、価値は下落する
間取り 一般的で汎用性の高い間取りが高評価
近隣設備 近隣にどのような施設があるか
駅や病院、有名小学校が高評価を得る一方で、墓地やゴミ処理場はマイナス評価
環境条件 日当たりや騒音、振動や悪臭など、マイナスな要素がないか
外壁
戸建て
外壁に目立った劣化がないかどうか
共有スペース
マンション
廊下やエントランスなど、きちんと管理されているか

土地
土地の形が整っていて、使い勝手が良いかどうか
不動産査定は、「売れるかどうか」という視点で行われます。もちろん、これら以外の項目が影響を与えるケースも多いので、査定結果が気になったときは、遠慮せず不動産屋に問い合わせてみましょう。

不動産査定の注意点は3つ

不動産査定を受ける際に注意したいのは、以下の3点です。ぜひ頭に入れておいてください。

  • 査定結果は不動産会社によって異なる
  • できるだけ多くの不動産会社で査定してもらう
  • 査定金額で、確実に不動産を売却できるわけではない

不動産の査定には、不動産鑑定のような明確なルールはありません。このため、不動産会社によって、全く異なる査定結果が出ることもあります。

また、不動産会社が行うのは、あくまで「仲介」。高額な査定結果が出た場合でも、実際に買主が見つからなければ、売れることはありません。

とはいえ、実際の売却相場を意識して出された査定結果は、売主にとって非常に重要な情報です。複数業者から見積もりをもらい、相場感覚を身に付けましょう。

時間をかけずに家に居ながら複数社に一括査定を申し込めるシステム「不動産の一括査定サイト」をかしこく活用するのがおすすめです。

不動産売却で不動産鑑定が必要な場面とは?

不動産の売却が目的なら、通常は不動産査定で問題ありません。では、不動産鑑定が必要なのはどのような場面なのでしょうか。

不動産鑑定が必要な場面とその理由

不動産鑑定をするべき場面について、確認しましょう。

  • 相続や離婚で財産分与をする必要がある時
  • 親子や兄弟姉妹など親族間で不動産の売買や交換をする時
  • 代償分割の価格決めや遺留分減殺請求をする時
  • 相続税の申告のために不動産の評価額を下げたい時
  • 生前贈与や負担付贈与をする時
  • 会社と経営者のように利害関係があるもの同士が売買をする時
  • 不動産を担保とする時
  • 不動産の資産評価をしたい時
  • 不動産を証券化する時

何らかの理由で不動産の資産価値をはっきりさせなければいけない時に、次の理由で不動産鑑定が必要です。

  • 客観的に資産価値が評価できる
  • 相続税を節税できる可能性がある
  • トラブルを回避できる
客観的な評価があることで、トラブルも起きにくくなります。ただ、事前に無料でできるオンライン一括査定などで相場を知っておくことも重要です。

不動産鑑定の3つの方式

不動産鑑定には、3つの方式があります。

方式 特徴
原価方式 その不動産の原価を元に価格を算定
比較方式 多くの取引事例を集めて適切な事例を選択
それを元に修正や地域要因などを考慮して算定
収益方式 対象の不動産が将来生み出すと思われる収益を元に算定

いずれかの方法で算定が行われます。

鑑定の際に価格に影響する要因

3つの鑑定方式のいずれかで不動産鑑定評価をする場合に、3つの要因も考慮されて最終的な価格が算出されます。

要因 内容
一般的要因 建築様式・地理的な位置関係
税の負担の状態・構造・防災など
地域要因 不動産の価格に影響を与える地域特性のこと
商業地域・宅地地域などの例がある
個別的要因 不動産の個別性のこと
土地なら地盤・接道状況・土壌汚染の有無など
建物なら築年数・構造・設計・面積・高さなど

不動産鑑定を依頼したい場合の申し込み方法や流れを確認!

不動産鑑定を依頼したいと思った場合、どうすればいいのでしょうか。

不動産鑑定の依頼のしかた

不動産鑑定をする場合、事前相談をしたうえで申し込みたい事務所を選びます。

不動産鑑定事務所は、どのように探せばいいのでしょうか。

  • 無料相談を利用する
  • インターネットで探す
  • 電話帳を利用する
  • チラシをチェックする
  • 弁護士などの専門家に紹介してもらう

これらの方法で、依頼したい事務所を探しましょう。

信頼できる不動産鑑定事務所を選ぶポイント
  • 実務経験が豊富かどうか
  • 適切な提案をしてくれるか
  • 話をきちんと聞いてくれるか
  • 報酬が妥当か
提案力や顧客に寄り添う姿勢は、何より重要なポイントです。妥協せず、納得して依頼できる不動産鑑定事務所を探してみてください。

不動産鑑定をする際の流れ

不動産鑑定は、次のような流れで行われます。

  1. 契約を結ぶ
  2. 対象となる不動産を確認する
  3. 必要書類を集める
  4. 鑑定をする
  5. 不動産鑑定評価書を作成し納品する

契約から鑑定まで、わからない点があれば、遠慮なく不動産鑑定士に問い合わせましょう。

不動産鑑定に利用される書類

不動産鑑定に利用される書類とは、どのようなものでしょうか。

書類の種類 内容
納税通知書 土地地番建物家屋番号などが記載されている
経費用算出の項目が鑑定評価の算出に役立つことも
全部事項証明書 登記簿謄本とも言う
土地や建物の面積・所有者・権利関係などが記載されている
公図 法務局で入手できる
土地の形や位置が示されている
住宅地図 地図会社で入手できる
不動産がある場所を把握するために役立つ
建物図面・各階平面図 法務局で入手できる
床面積の算出法・建物図面などが記載されている
道路台帳 市役所などで入手できる
公道・私道を区別するための書類
道幅も確認できる
下水道台帳 公共下水道の整備状況が確認できる
下水道配管図 水道局で入手できる
下水道管の配管位置が確認できる
ガス管配管図 ガス会社などで入手できる
ガス管の配置状況などがわかる

必要な書類は、事前にチェックしておくと安心です。

売却なら不動産査定、資産価値の精密な計算が必要なら不動産鑑定を

財産分与や相続税などの関係で資産価値の精密な計算が必要な場合は不動産鑑定士に依頼をして不動産鑑定を受ける必要があります。

不動産鑑定の費用は高額になるので、簡易的に資産価値を出したい場合は不動産鑑定士に不動産査定書を作ってもらう方法もあります。この場合は、不動産売却とは関係のない査定となりますので、有料です。

しかし、不動産の売却の際に「不動産に値段付けをする」のが目的であれば、不動産会社の「無料査定」が向いています。

お金をかけず、時間もかけず、スピーディーに進められる「不動産一括査定」などの利用をおすすめします。離婚や相続などで事前に家の価値を知っておきたいという場合にも、相場感がつかめるので便利です。

状況に合わせて、不動産鑑定を受けるかどうかを決めるといいですね。

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