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脱サラしてスペインバルをオープン! 料理経験のないオーナーが人気店を作り上げた秘密

脱サラしてスペインバルをオープン! 料理経験のないオーナーが人気店を作り上げた秘密

約10年勤めていた会社を退職。料理未経験のオーナーが、退職後約4年かけて東京都・高田馬場にオープンした立ち飲みスペインバル「TAKADAnoBAR」は、瞬く間に人気店になった。

その後、お客さまの要望に応えるかたちで、東京都・新宿に「EXOTICA」として移転。福本智さんに脱サラから開業までの道のりを伺いました。

会社員生活10年の節目を迎え考えた“これから”
好きなことをして生きていきたい!と一念発起

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━ 福本さんは、もともと料理好きで普段からご自宅でお料理を作ってたんですか?

福本:独身時代はまったくやったことなかったんですよ。33歳になって、会社勤めが10年を迎えたころ、このままずっと同じ仕事を続けるより“なにか好きなことをして生きていきたい”って思い立って退職したんです。

そのあと何をするかまったく決めていない状態で…(笑)。

━ それはまた、思いきった行動にでましたね。何がきっかけで飲食店を開業することになったんです?

福本:そうですね。もともとおいしいものを食べたり、酒を飲んだりすることが好きだったのですが、ちょうどそのころボクよりも食べ飲み歩きが趣味という、今の妻に出会って、彼女をとおしてワインにも興味をもつようになったんです。

結婚しようと思ったのですが、彼女のご両親にあいさつに行くにも無職では世間体が悪かろう…と、とりあえず保険会社に入りました。

それが全然おもしろくない仕事でね~(笑)1年足らずで辞めました。それで妻と将来のことをいろいろ話すうちに“やりたいことをやった方がいいよ”って後押しをされて、一念発起。それで飲食店を開業しようと思ったんです。

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再び仕事を辞めて、スペインへ。
ここで出会った“バル”こそが理想のスタイル

━ 開業までは大変な道のりだったんですか?

福本:飲食関係で働いた経験はないし、年齢も30代半ばでしたから、現場での仕事には就けなかった。だから、まずは居酒屋などに食材を運ぶ卸売業者に就職、社員として営業を担当。肉や魚の部位や旬の素材、食材の産地、それから食材の相場も学びました。

あるとき、妻に自分がやりたい店は気軽に立ち寄れる雰囲気で…とイメージをあれこれ話したら、“それはスペインにあるバルスタイルじゃない?”と教わって…。じゃあ、それを見に行こう!って、また仕事を辞めてスペインに向かいました(笑)。

現地でいろいろなお店をのぞいたのですが、サッと立ち寄れて、安くておいしい小皿料理が楽しめるスペインバルは、まさに自分が理想とするお店だったんです。会社員だったころは、そういうお店がなくっていつも探しまわっていましたから。

━ 日本でもブームになって今でこそ市民権を得たバルですが、当時は珍しいですよね?バルスタイルに決まってから開業まではスムーズでした?

福本:そうですね。確かに、当時バルスタイルのお店はあまりありませんでしたね。

お店のスタイルが決まったので、あとは料理とお酒だと思ったので、ワインは近所の酒屋で半年間勉強させてもらいました。

でもそこはフランスワインが得意な店だったので、自宅でひたすらスペインワインをネットで買って飲んで、を繰り返し!(笑)現場仕事は、先輩が開いたハワイアン居酒屋で勉強しました。

その時、東京には山ほど飲食店があるから、自分の店にも何か看板メニューがないと店が続かないなと思って…。それで、舌の肥えた妻を練習台に、半年かけて白レバーとフォアグラのパテと牛スジの煮込み・マッシュポテトのせを開発しました!

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開業資金はなんと200万円!
店の狭さが逆にお客さんとの距離を縮めてくれた

━ なるほど。この人気メニューはそうやって生まれたんですね。お店の場所はどうやって決めたんですか?

福本:物件は、自分が自宅から上り電車でいくエリアで探しました。立ち飲みで、15人も入ったら満員になるくらいのスペースで、高田馬場の路地裏にあるアパートの1階。そこでオープンしたのが「TAKADAnoBAR」でした。妻と内装をDIYで手掛けて、業者に頼んだのはトイレとエアコンくらい。全部合わせても200万円足らずの設備費で出来たので、負担は少なかったです。

店が小さかったこともあり、お客さんとの距離が近くて、よくおしゃべりしましたよ。立ち飲みスタイルなのに女性の常連客が多いと言われたのは、料理の話など、美味しいものが共通の話題だったかもしれませんね。

でもそのうち「予約ができるお店にしてほしい」「座る席も欲しい」「アクセスの良いところにしてほしい」っていうお客さんの要望が増えてきたんです。

━ それで新宿に「EXOTICA」を出店したわけですね?移転して、さらにお店の名前も変えてお客さんが離れるといった不安はなかったですか?

福本:お客さんからの要望だったので、不安はなかったですね。「集まりやすくて、座れて、予約がとれる店」を目指したので、新宿に限定して店を探しました。

ここなら高田馬場の常連さんも来やすいし、どこから来ても便利。おかげさまでたくさんのお客さんに来ていただくようになりましたが、ここも席が少ないので予約が取りづらいと言われるようになり、昨年同じエリアに2店舗めをオープンしたんです。

でも複数店舗を経営すると、お客さんと直接話す機会が減って、少しずつ距離が離れてしまったように感じました。それって自分が目指すお店とは違うんじゃないかと思いはじめたんです。

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原点回帰…やっぱりお客さんと身近な距離感で
料理とおしゃべりが楽しめる店に戻りたい

━ それで1周年を迎えた2店舗めを閉店することにしたんですね

福本:そうなんです。もうすぐ50歳になるので、もう1度、繁華街ではないエリアで前みたいにお客さんと距離の近いお店をやるのもいいかなって思ったりもしています。

━ 最後に、飲食店を長く続けるコツをおしえていただけますか?

福本:とにかくお客さんを飽きさせないことですね。「いつ行っても季節のおいしいものが食べられる」「いつ行っても店内がきれい」。

基本のことをキチンとやってお客さんを迎えるという気持ちじゃないでしょうか。それと一番大切なのは、お客さまとの信頼関係を築くこと。

店とお客さまが商売という関係性だけではなくそれ以上の人間関係ができたり、その人の日常の一部になれた時、その店は大切なお客さまに支えられて長く続くようになるのではないでしょうか。

更新日:2016/10/28
文:堀家かよ 撮影:堀家かよ/樋口代史子

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