こんにちは。創業融資の獲得を前提とした事業計画書の書き方のお話を続けます。
前回、「失敗する事業計画書に共通する『なんとなくビジネス』の落とし穴」では、「誰に」「どこに」「何を」についての説明をしました。
今回は「何のために」「いつ」を詳細にお話しします。
単に自分のお金儲けの手段としてだけ提供するのではないですよね?
質問の仕方を変えましょう。
「あなたからその商品・サービスを提供されたユーザーは、地域は、世の中は、どのように変わるのでしょうか?」「どんな価値を手にできるのでしょうか?」
便利になる、コストダウンになる、楽しくなる、笑顔になるetc.
その最終目的のために、その手段として商品・サービスを提供するはずです。
事業で一番大切なのは「目的」です。その目的はハッキリと認識して表現しましょう。
目的がハッキリとしていれば、一本すっと筋が通ります。社会的意義が加わり、説得力が増します。そして、経営判断に迷いが生じません。
失敗事例として多いのが、目的が定まらない場合です。
目的がはっきりせずに起業したところで、うまくいくはずがありません。自分が何のためにやっているのかわからないため、あっちへこっちへと、迷走してしまいます。
「ビジネスチャンス」という言葉がありますが、使い方次第では微妙な言葉です。
単に儲かりそうだからやるというマインドで使うのなら起業はやめた方が無難です。そんなマインドでうまくいくほど、ビジネスは甘くはないからです。
そうではなく、世の中に不満や不足、不便などのニーズがあると確信したうえで、その商品・サービスを提供することで世の中の役に立ちそうだ、何かを変えられそうだという信念をもとに発する「ビジネスチャンス」という言葉だとしたら、起業してもきっとうまくいくでしょうね。
事業は参入するタイミングが非常に大事です。
タイミングがピタリと合えば先行者メリットを享受しつつ大きな利益を上げることができるのです。
そのためにも、市場の成長カーブを意識しましょう。
あなたが始めようとしているビジネスは、以下の4つの段階のどこに位置していると思われますか?
全然世の中に知られていないけど、ひっそりと良い商品・サービスが生まれて存在している状態。
2)成長期
その商品・サービスに注目が集まり、爆発的に売上、利益が伸びている状態。
3)ピーク
儲かっている様子を見て、さまざまな会社がどんどん参入してきている状態。
供給過剰気味で、激しい価格競争へと移行している。
4)衰退期
競争についていけないところは脱落してきている状態。
商品・サービス自体も古くなりつつあり、消費者も買わなくなってきている
起業する際、ピークを過ぎてからの参入がダメなのは誰でもわかることですが、1の黎明期にある商品・サービスで起業する場合も注意が必要です。
まだ誰もやっていない商品・サービスに目をつけ、いち早く始めた時、先行者メリットはあるでしょう。
将来、業界をリードできる存在になれる可能性もあります。
ただ、潜在ニーズがあるのに消費者がニーズに気づいていないとか、そもそもPRすることにお金や労力がかかるといった壁があります。その間、会社の維持費もかかりますし、自身の生活費も必要です。いつか芽が出る時を待ちながら、じっと持久戦を繰り広げる必要も出てきます。
金融機関としては、返済が始まるころに返済できるだけの利益が上がるかどうかを重視します。
具体的には、融資を実行してから返済据え置き期間が終わる「半年後」の時点です。
長いスパンでのビジネスを考えている場合は、即時に売上が立つビジネスと組み合わせるなど、金融機関を説得する材料も考える必要がありますね。
【まとめ】
・「何のために起業するのか」目的はハッキリと認識して表現すること。
・「いつ参入するのか」早くても遅くてもダメ。時期を見極めよう。