前回、「事業計画書の入手と重要な項目」では「事業計画書」の入手方法と特に注視したい重要項目
- 代表者の経験やノウハウ
- 起業の動機
- 理念や将来ビジョン
の1つめ「代表者の経験・ノウハウ」についてお話をしました。
今回は、残りの2つ「起業の動機」、「経営理念、将来ビジョン」についてです。
なぜ起業をするのか?
まず、ひとつ質問させてください。
「あなたは、なぜ起業したいのでしょうか?」
お金持ちになりたいから? 会社員を辞めたいから? 世の中の役に立ちたいから?・・・
その答えは人それぞれだと思います。正解なんてないですよね。
ただ、考えてみてください。創業融資の場合は別です。なぜならその原資が、税金だからです。
単にお金を儲けたいから起業する?
そんなことに税金を投入するでしょうか?
目的がそれだけだとしたら、何も税金を使って支援するようなことではありませんよね。
そう、税金を使ってお金を貸すには大義名分が必要なのです。このことをまず強く意識する必要があります。
応援したくなる理念をもとう
もう一つ大切な視点は、理念なき会社に発展はないという事実です。理念から始まり、目的や将来目指す方向性などに一本筋が通った会社というのは、起業後にメキメキと発展していくものです。事業全体に統一感があり、その思いがお客様にストレートに伝わるからです。
金融機関の職員だって同じこと。応援したくなるような理念を持つ会社であれば、応援せずにいられないものです。事業計画書を書くことをきっかけとしてもう一度、理念、将来ビジョンなどについて、じっくりと考えてみましょう。
たまに、「今、どんなビジネスをすれば儲かりますか?」という質問を受けます。
それは、大事な視点が抜けていると思うのです。「あなたの残りの人生を使って起業して、最終的に何を実現したいですか?」この質問に対する回答が理念や将来ビジョンともいえるでしょう。とことん考えましょう。そして、魂を込めて書いてみてください。
続いて、「事業コンセプトの説明」についてです。
わかりやすく、シンプルな説明を
このあたりは、起業して成功する人とそうでない人の差が、はっきりと現れてくるところです。その違いは何か?
一言でいうと「わかりやすいか」「わかりにくいか」です。
名刺交換をする際、自分の事業をどうやって説明しますか?
優秀な人は自分の事業を30秒以内でスパッと説明します。いや、10秒で説明できると思います。
逆にダメな人は、これを2分、3分とダラダラ説明し、話が飛んでまとまりのない内容に。
そう、話した相手は結局、あなたのアピールポイントは何で、どんな特徴のビジネスかを、後で思い出せないのです。
まさに事業計画書においても同じこと。まずはズバッとひとことで言い表しましょう。その後、補足として端的に説明すればいいのです。
事業計画書を書くこと、融資担当者との面談、補助の審査、名刺交換、営業、プレゼンなどなど。今後あらゆるシーンで相手の印象に残るシンプルな説明が求められます。これを機に、徹底的に考えることをオススメします。
もし、どうしてもシンプルな説明が思い浮かばないようなら、ビジネスモデルそのものがありきたり過ぎるか、あるいは逆に複雑すぎて説明が難しいのか、そのどちらかかもしれません。
他との差別化、優位性、付加価値、シンプルな説明などについて、もう一度練り直してみることが必要となるでしょう。
【まとめ】
・事業計画書の動機・理念は、人に応援してもらえるよう、魂をこめよう。
・「事業コンセプトの説明」はシンプルでわかりやすい説明を心がけよう。